『ハミルトン』に登場する、ヘラクレス・マリガンとはどんな人?

あきかん

こんにちは!

ミュージカル考察ブロガー、あきかん(@performingart2)です。

ミュージカル『ハミルトン(Hamilton)』より “Alexander Hamilton” の英語歌詞を見てみると、ヘラクレス・マリガン(Hercules Mulligan)が “We fought with him(俺たちは共に戦った)” と歌っていることが分かります。

今回は、ヘラクレス・マリガンがどのような人物だったのかを紹介しますよ。


『スリル・ミー』の解説・考察本を執筆しました!

「レオポルドとローブ事件」はどのような事件だったのか?何故「終身刑+99年」という判決だったのか?そんな疑問を解消しながら、ミュージカル『スリル・ミー』の刺激に迫る解説・考察本。

実際の事件ととミュージカルを比較しながら「実話」、「ニーチェの哲学」、「裁判」の3つの視点から作品に切り込んだ1冊。

Kindle(電子書籍)ペーパーバック(紙書籍)、いずれも Amazon で販売中。

Kindle Unlimitedを初めてご利用の方は、体験期間中に0円で読書可能

ヘラクレス・マリガンとは

ヘラクレス・マリガン。

『ハミルトン(Hamilton)』の音楽では「ハーキュリーズ・マリガン」と聞こえるのですが、日本語では「ヘラクレス・マリガン」と読むらしいですね。

彼に関する情報が日本語で書かれていなかったので、ここでは私が英語で調べた範囲で分かったことをまとめます。

まず、ヘラクレス・マリガンは、アイルランド系アメリカ人で、仕立て屋の息子だったそうです。

Hercules Mulligan (September 25, 1740 – March 4, 1825) was an Irish-American tailor and spy during the American Revolutionary War. He was a member of the Sons of Liberty.

Hercules Mulligan(wikipedia)

そして “Sons of Liberty(自由の息子たち)” のメンバーでもありました。

「自由の息子たち」とは初耳ですね…。どのようなものなのでしょうか?

自由の息子達(じゆうのむすこたち、英語: Sons of Liberty)とは、アメリカ独立戦争以前における北米13植民地の愛国急進派の通称であり、やがてこの名を冠した市民組織が各地で結成され、独立革命に一定の役割を果たした。

自由の息子たち(wikipedia)

なるほど。独立に際し、アメリカへの愛国心を持った若者たちということなのでしょう。

Born in Ireland to Hugh and Sarah Mulligan, Hercules Mulligan and his family emigrated to North America in 1746, settling in New York City. Mulligan attended King’s College (now Columbia University) in New York City. After graduating, Mulligan worked as a clerk for his father’s accounting business. He later went on to open a tailoring and haberdashery business, catering to wealthy British Crown force officers.

Hercules Mulligan(wikipedia)

マリガンは1746年に北米へ移住し、ニューヨークで生活していたようです。

ハミルトンが通っていたキングス・カレッジ(現在のコロンビア大学)に通っており、卒業後は父親の仕事を会計士として手伝っていましたが、その後裕福なイギリス軍人を相手にした、仕立て業と紳士装飾品を扱う仕事を始めたようです。

また、アメリカ独立戦争時にはスパイでもあったそうですね。

…ん?スパイ?そうなの?

an Irish tailor named Hercules Mulligan, who became a spy for the Patriot cause during the Revolutionary War, as well as fellow students at King’s college. During the War, he befriended the Maquis de Lafayette and a number of others with whom he served.

The Hamilton Cookbook: Cooking, Eating, and Entertaining in Hamilton’s World [ Laura Kumin ](p.9)

ヘラクレス・マリガンは、独立戦争自体にキングス・カレッジの同級生らと共にスパイになったそうです。

聞いた話によると、ジョージ・ワシントン殺害を画策されていたところ、彼らのスパイ活動によって阻止されたようですから、なかなかの活躍ぶりですよね。

作品内からも分かる通り、ラファイエットとも仲が良いそうです。

ハミルトンとの関係

では、マリガンとハミルトンの関係はどのようなものだったのでしょうか?

Mulligan was introduced to Alexander Hamilton shortly after Hamilton arrived in New York. The men were introduced by Mulligan’s brother, Hugh; Mulligan also knew the Crugers, for whom Hamilton had clerked in St. Croix. (中略)After Hamilton enrolled at King’s College, he lived with Mulligan in New York City. Mulligan had a profound impact on Hamilton’s desire for revolution.

Hercules Mulligan(wikipedia)

ハミルトンがニューヨークへ来た直後、マリガンは自分の兄弟によってハミルトンを紹介されたそうです。

また、ハミルトンがキングス・カレッジに入学した後、マリガンとハミルトンはニューヨークで共に生活をしていたとのことなので、とても近しい間柄にあったと見受けられます。

While staying with the Mulligan family, Alexander Hamilton came to share Mulligan’s views. Initially siding with the British before coming to New York, Hamilton was persuaded to change his views and joined the Sons of Liberty. (中略)When George Washington spoke of his need for reliable information from within New York City in 1776, after the Continental Army was driven out, Hamilton recommended Mulligan due to his placement as tailor to British soldiers and officers.

Hercules Mulligan(wikipedia)

ハミルトンがマリガンの家族と共に生活していた際、ハミルトンはマリガンによって「自由の息子たち」への考え方を変え、「自由の息子たち」に加わることにました。

そして、ジョージ・ワシントンが信用のある情報提供をニューヨークから求めた際(1776年)、マリガンがイギリス人に対する仕立て屋の商売をしているという理由から、ハミルトンは彼を推薦したようです。これが、スパイ活動の一環なのかもしれませんね。

英語歌詞から分かること

(追記:2020.5.23)

ミュージカル『ハミルトン(Hamilton)』では、マリガンが自分のことを次のように説明している箇所があります。

先に記載した情報と一致しているので、歌詞をしっかりと把握してくださいね!

My Shot

ハミルトン、バー、ラファイエット、ローレンスの4人がアメリカ独立に向けて闘志を燃やすこの曲で、マリガンは自分のことをこう歌っています。

Yo, I’m a tailor’s apprentice
And I got y’all knuckleheads in loco parentis
I’m joining the rebellion cuz I know it’s my chance
To socially advance, instead of sewin’ some pants
I’m gonna take a shot!

―ブロードウェイミュージカル “Hamilton” より “My Shot” (作詞:Lin-Manuel Miranda)

歌っているのは次のようなことです。

・ 俺は仕立屋の見習い

・ 俺は暴動に加わる、何故ならこれは俺の社会進出へのチャンスだと分かっているから

・ パンツを縫うよりも、俺は挑戦してやるぜ

Yorktown (The World Turned Upside Down)

また、独立戦争を決定的にしたと言われるヨークタウンの戦いの場面では、次のように歌っています。

A tailor spyin’ on the British government!
I take their measurements, information and then I smuggle it

To my brother’s revolutionary covenant
I’m runnin’ with the Sons of Liberty and I am lovin’ it!
See, that’s what happens when you up against the ruffians
We in the shit now, somebody gotta shovel it!
Hercules Mulligan, I need no introduction
When you knock me down I get the fuck back up again!

―ブロードウェイミュージカル “Hamilton” より “Yorktown (The World Turned Upside Down)” (作詞:Lin-Manuel Miranda)

歌っているのは次のようなことです。

・ イギリス政府をスパイしている仕立屋

・ 俺は奴等のサイズをとり、情報をとり、秘密をこっそり持ち出す

・ 俺は「自由の息子たち」と一緒に活動している、これは最高だ

・ 見ろよ、これが悪党どもに直面した結果だ

・ 俺らはクソの中(最悪な事態)にいる、誰かが片付けなきゃいけない

・ ヘラクレス・マリガン、紹介はいらねぇ

・ お前が俺を打ち倒すならやり返してやるよ

「仕立屋」も「自由の息子たち」も「スパイ」も、全て歌詞に登場してきましたね。

この3点を押さえられれば、マリガンを理解出来たといっても過言ではないでしょう!

Alexander Hamilton” の、他の記事はこちらから。

あきかん

それでは皆さん、良い観劇ライフを…

以上、あきかん(@performingart2)でした!

ブロードウェイで『ハミルトン(HAMILTON)』を観てみたいけど、英語が不安…。そんな方は日本語でチケット予約ができる【VELTRA(ベルトラ)】をご利用ください!

icon icon

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください