ハミルトン好きのアンジェリカが、エリザベスに言った実際の言葉

ミュージカル『ハミルトン(Hamilton)』より“Helpless”の英語歌詞を見てみると、ハミルトンと付き合いだしたエリザベスに対してアンジェリカがあることを言っています。

その「あること」について調べてみると、事実に基づいたフレーズであると分かりました!

Helpless”はエリザベス一目惚れから恋、そして結婚までを描いている曲です。姉のアンジェリカによる粋な計らいによって、付き合うだすことになった2人ですが、アンジェリカのフレーズで1つ気になるものがありました。次の青文字部分です。

 

ELIZA AND WOMEN:
One week later

ELIZA:
I’m writin’ a letter nightly
Now my life gets better, every letter that you write me
Laughin’ at my sister, cuz she wants to form a harem

ANGELICA:
I’m just sayin’, if you really loved me, you would share him

ELIZA:
Ha!
―ミュージカル“Hamilton”より“Helpless”

 

このフレーズが、何となく実際にやりとりされた言葉のような気がして仕方なかったので、調べてみました!

※ちなみに…※

writin’、Laughin、sayin’のように末尾が「in’」となっているのは「ing」をカジュアルにした言い方です。口語体…といったら良いのでしょうか。「ing」は「イング」という発音なのに対して、「in’」は「イン」となります。従ってそれぞれ次のようになりますよ。

  • writin’(ライティン)=writing(ライティング)
  • laughin(ラッフィン)=laughing(ラッフィング)
  • sayin’(セィイン)=saying(セィイング)

 

cuzも同じようなもので、これは“because(何故なら)”のカジュアルな口語になります。何故because(ビカーズ)をcuz(カーズ)と書くかといえば、becauseを短縮した時の発音がそう聞こえるからですね。

  • cuz=because(何故なら)

 

付き合いだしたハミルトンとエリザベスの様子

“One week later”に至るまでは、冬の舞踏会(A Winter Ball)におけるハミルトンとエリザベスの出会いが歌われています。そして、この“One week later”から場面が切り替わっていますね。

冬の舞踏会についてはこちらのリンクからご確認下さい。

 

つまり、ここで言う“One week later”というのはこの冬の舞踏会から1週間後のことを指しています。その時の2人の様子が、次のフレーズで歌われていますよ。

 

  • I’m writin’ a letter nightly
  • Now my life gets better, every letter that you write me

 

まず、“nightly”が「夜ごとに、毎晩」という意味ですから、1つ目のフレーズは「私は毎晩手紙を書いていた」となります。スマホのない時代、インクのペンで文字を書くエリザベスの後ろ姿が想像できますね。

2つ目のフレーズの“my life gets better”は「私の人生はより良いものとなっていく」です。何によって良いものになっていくかというと、“every letter that you write me(あなたが私に宛てて書いた手紙)”ですね。「あなた」とはもちろんハミルトンのこと。互いに毎晩のように文通して、愛を確かめ合っていたことが分かります。

可愛いですね、恋って感じですね!

 

 

姉の気持ちを知らないエリザベス

それに続く2つのフレーズは、アンジェリカとエリザベスのやりとりです。これは追って“Satisfied”関連の記事でも説明しますが、エリザベスの姉・アンジェリカは、ハミルトンに好意を抱いています。これについては次の記事も併せて是非お読みください。

 

そんな姉の気持ちを恐らく知らないエリザベスは、恋に夢中、そして姉の言葉にも耳を傾けません。そんな様子が分かるのがこの次のフレーズです。

 

  • Laughin’ at my sister, cuz she wants to form a harem

 

このフレーズの意味ですが、まず“Laughin’ at my sister”でエリザベスが姉・アンジェリカに対して笑っていることが分かります。その理由がcuz(何故なら)を挟んで歌われていますね。笑っている理由は“she wants to form a harem”です。

“harem”とは読んでその通り「ハーレム」で、1人の男性を女性たちが取り囲む様子を指します。そんなハーレムを作りたい…とアンジェリカが言うものだからエリザベスは笑ってしまった訳です。まさか、そんなこと本気で言っている訳ない…と思ったからですね。

ですが、先程も申し上げた通り、アンジェリカはハミルトンに好意を抱いています。ですから、このフレーズは半ば本気でしょう。それ故、“I’m just sayin’, if you really loved me, you would share him”のフレーズがあるわけです。

 

 

“I’m just sayin’, if you really loved me, you would share him”について

フレーズの意味

前置きが長くなってしまいましたが、“I’m just sayin’, if you really loved me, you would share him”ついて説明します。「ハーレムを作りたいなんて言うから笑っちゃった」といった様子のエリザベスに対する返答がこのフレーズなのですが、意味はこうです。

 

「私はただ、もしあなたが私のことを本当に愛しているなら、彼のことを共有しても良いんじゃない?って言っているのよ。」

 

先の記事でも紹介している通り、アンジェリカはハミルトンに好意があるので、これを完全にジョークだとは捉えづらいんですね。そこでこれが実際にあったやりとりなのかどうか、裏付けがある台詞なのかを調べてみました。

 

フレーズの裏付け

参考になる情報を入手しましたので共有致します。注目して頂きたいのは青文字の部分です。

 

Angelica wrote Alexander affectionate letters and joked with Eliza that she should share her husband. “I love him very much and if you were as generous as the Old Romans,” she wrote Eliza in 1794, “you would lend him to me for a while.” In the musical, Miranda riffs on this line by having Angelica sing to Eliza, “I’m just sayin’, if you really loved me, you would share him.” While Angelica’s letters to Alexander are not any more affectionate than other letters between sisters and brothers-in-law, it’s possible that Angelica had romantic feelings for him. Miranda imagines this to be the case, and Angelica sings that “when I fantasize at night/It’s Alexander’s eyes…”
The flirtatious friendship of Alexander Hamilton and Angelica Church hits Broadway(OUPblog)

 

アンジェリカがハミルトンに宛てた手紙の中で、エリザベスと話した冗談について触れられていたそうです。そして1794年、エリザベスに宛てられた手紙にはこう書いてあったそう。

 

「私(アンジェリカ)は彼(ハミルトン)のことをとても愛していて、もしあなた(エリザベス)が古代ローマ人ほど寛容なら、彼のことをしばらく私に貸してくれたって良いんじゃない?」

 

ふーっ!言い方がカッコいい、言い方がっ!

もちろん、仲の良い姉妹のじゃれあいであったのでしょうが、アンジェリカはきっと本気で言っていたでしょう。この引用内でも書かれていますが、アンジェリカとハミルトンの文通は、仲の良い義理の兄弟以上の内容だったことから、アンジェリカがハミルトンに恋心を抱いていた事はほぼ確実と言えるわけです。

この事実を知った上で、“Helpless”では“I’m just sayin’, if you really loved me, you would share him.”というフレーズに置き換えられて、歌われているんです。言い回しは違えど、しっかりとした裏付けがされている一文だということが分かりましたね。

そして、これを受けてエリザベスが“Ha!”と言い放つのは、「ジョークもほどほどにしてっ!」といった気持ちが込められているんでしょう。日本語に置き換えれば「ははは!あー、面白い!」といった具合でしょうか。

さて、“Helpless”は“Satisfied”とセットで理解して初めて成立します。ハミルトンを取り巻くエリザベスの視点とアンジェリカの視点。“Helpless”は有頂天になるほどハッピーで、“Satisfied”は後ろ髪をひかれながらも前に進まなければならない、涙なくして読めない歌詞になっています。

是非併せてお読みくださいね。

(リンク生成中)

♪『ハミルトン』の曲一覧はこちらから:ハミルトン/英語歌詞を徹底分析!

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