エポニーヌにとっての夜はどんなもの?

帝劇ミュージカル『レ・ミゼラブル(Les Misérables)』より“On My Own(オン・マイ・オウン)”の英語歌詞を見てみると、エポニーヌの孤独が歌われていることが分かります。

かなり忠実に訳された帝国劇場版ですが、微妙に異なるところや描き切れていない部分を詳しく説明していきます。今回は歌い出しの部分です。

【ブロードウェイミュージカル“Les Misérables”/“On My Own”/作詞:Herbert Kretzme * 東宝ミュージカル『レ・ミゼラブル』/「オン・マイ・オウン」/訳詞:岩谷時子】

この曲、良いですよね…凄く好きです。好きなのに届かない、好きなのに振り向いてもらえない切なさと孤独が、見事に表現された曲だなと思います。

そして、この曲に対する日本語訳も素晴らしいです。よく、原形を崩さずにここまで忠実に訳したなと感動してしまったほど。

そんな中でも、帝国劇場版では描き切れていないエポニーヌの心の移り変わりを説明していこうと思います。

歌詞のおさらい

英語版

And now I’m all alone again,
Nowhere to go, no one to turn to.
I did not want your money, sir
Came out here cuz I was told to.
And now the night is near,
Now I can make believe he’s here.

Sometimes I walk alone at night
When everybody else is sleeping.
I think of him, and then I’m happy
With the company I’m keeping.
The city goes to bed,
And I can live inside my head.
―ブロードウェイミュージカル “Les Misérables” より “On My Own”(作詞:Herbert Kretzmer)

 

帝国劇場版

またあたしひとり 行く処もないわ
暖かい家もあたしどこにもない
もう夜だね 今夢をみよう

人みな眠る夜 ひとりで歩こう
あの人思えば幸せになれるよ
街は眠り あたしはめざめる
―東宝ミュージカル 『レ・ミゼラブル』 より 「オン・マイ・オウン」(訳詞:高橋知伽江)

 

「独り」を表す、様々な表現

まず本題に入る前に、この曲にはあらゆる「独り」という表現が出てきます。曲題の“on my own”はもちろんですが、日本語訳では「ひとり」となっている部分は、次のような様々な表現がなされています。

 

  • on my own
  • alone
  • without him
  • he is gone

 

こういったところにも注目して、歌詞を読み進めていきましょう。

 

 

エポニーヌにとっての夜

曲の冒頭ではエポニーヌにとっての夜が歌われていますね。それぞれどのようなものでしょか?

 

起きながらにして見る「夢」

まず、夜について触れているところは、この部分ですね。

 

  • もう夜だね
  • 今夢をみよう

 

「もう夜だね/今夢をみよう」というのは一見すると当然のことのように思えます。夜、眠れば夢を見ますもんね。

しかし、この「夢」とは「想像する、妄想する」という意味で、現実には起こりえないことを「思い描いている」というニュアンスになります。ここが英語でどう歌われているかというと

 

  • もう夜だね…And now the night is near(そしてもう、夜は近い)
  • 今夢をみよう…Now I can make believe he’s here(やっと彼がここにいると思い描くことができる)

 

あぁ、辛い…あぁ、辛い…。もう、涙が出ます、ここだけで。

まずどちらのフレーズにも“now”が出てきますが、2つ目のものは「今やっと」という意味で使われています。例えば、ずっと拘束されていて「やっと自由になれた」というようなときには“now I’m free!”という風に言いますよ。

“make believe”というのは「~のふりをする、~と見せかける、空想する」という意味です。「信じること(belive)」を「作る(make)」ですから、そのような意味になるんですね。ここの部分は英語の方が、胸にずんと重いものがのしかかる感じで私は好きです。

 

眠らぬ「夜」

夜に関して日本語で歌われている部分はこうです。

 

  • 人みな眠る夜
  • ひとりで歩こう
  • 街は眠り
  • 私はめざめる

 

夜とは基本的に眠る時間帯です。ですから「人はみな眠り、街も眠り」ます。これらに対応している英語歌詞はこのようになっています。

 

  • ひとりで歩こう…Sometimes I walk alone at night(私は時々夜ひとりで歩く)
  • 人みな眠る夜…When everybody else is sleeping(みんなが寝ている時)
  • 街は眠り…The city goes to bed(街は眠りにつき)
  • 私はめざめる…And I can live inside my head(そして私は頭の中で生きることができる)

 

夜こそが、エポニーヌにとって身も心も自由な時だと分かりますよね。

また、エポニーヌとそれ以外の人にとっての夜が異なることが、比較によって上手く表現されているからこそ、彼女にとっての夜というものが引き立つように思います。

 

 

幸せになれる「夜」

エポニーヌにとっての夜は空想できる時間帯、そして自分にとっての自由がある時間帯だということが分かりました。

そして、エポニーヌにとっての幸せは、その空想する内容です。

 

  • あの人思えば
  • 幸せになれるよ

 

先に説明した通り、夜がくればエポニーヌはマリウスが傍にいると空想することができます。そして、この部分は英語でこのように歌われています。

 

  • I think of him
  • and then I’m happy with the company I’m keeping

 

“I think of him”は文字通り「私は彼のことを考える」です。そして2つ目ですが、“keep me company”で「誰かと付き合って一緒にいる状態にする」ことを示すフレーズだそうです。(次の記事が分かりやすかったので、是非併せてご覧くださいね:アメリカ留学物語

ですから「そして私はあなたと一緒なら幸せ」という意味になり、帝国劇場版はその通り訳していることになりますね。

いかがでしたか?

エポニーヌがどんな気持ちで歌い始めるか、そして彼女にとっての夜はどういうものなのかを理解いただけたのではと思います。曲の後半には彼女にとっての「朝」についても触れられているので、こちらの記事も是非ご覧くださいね。

 

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