劇団四季版の「陽ざしの中へ」では歌われていないカジモドの気持ち③

劇団四季ミュージカル『ノートルダムの鐘(The Hunchback of Notre Dame)』より“Out There(陽ざしの中へ)”の英語歌詞を見てみると、劇団四季版の歌詞からは知ることの出来ないカジモドの気持ちが沢山書かれていると分かります。

英語歌詞を1つ1つ見ていきながら、カジモドの気持ちをもっともっと深く知っていきましょう。

【ミュージカル“The Hunchback of Notre Dame”/“Out There”/作詞:Stephen Schwartz * 劇団四季ミュージカル『ノートルダムの鐘』/「陽ざしの中へ」/訳詞:高橋知伽江】

歌詞のおさらい

この曲は本作品の中で一番メジャーな曲でしょう。アニメ版を観た際一番印象に残ったのがこの曲で、『ノートルダムの鐘』には何て素晴らしい曲があるのだろうと感銘を受けたのを覚えています。

そして今回、目を潤ませながら向き合ったのがこの歌詞です。

外の世界で過ごす1つ1つのことが彼にとっての憧れで、自分が外に出たらどんな風に1日を過ごしたいかを歌い上げる曲。彼の現実と理想とが絶妙に比較される歌詞を追いかけながら、カジモドの気持ちをしっかりと理解しましょう。

 

英語版

Out there among the millers
And the weavers
And their wives
Through the roofs and gables
I can see them

Everyday they shout and scold
And go about their lives
Heedless of the gift it is to be them
If I were in their skin
I’d treasure every instant
―ミュージカル“The Hunchback of Notre Dame”より “Out There”(作詞:Stephen Schwartz)

 

劇団四季版

ここから見える人たちはみな
わめいたり嘆いたり
平凡な暮らしの幸せ
まるで気づいていない
僕ならそんな毎日大事にする
―劇団四季ミュージカル 『ノートルダムの鐘』 より 「陽ざしの中へ」(訳詞:高橋知伽江)

 

カジモドの気持ちに拍車がかかっているシーンですね。

 

いつも目にしてきた人たちとは

まずはこのパート1ブロック目、“Through the roofs and gables/I can see them”から見ていきましょう。

“roofs”とは「屋根」、“gables”とは「破風」という壁の一種で、カジモドはそれらの合間から彼らを見てきた…と歌っているのがこのフレーズの意味です。ではどんな人々を見てきたのかというと、以下の通りです。

 

  • millers…粉屋
  • weavers…織工
  • their wives…彼らの奥さん

 

特別な人たちではなく、いたって一般的な日常にいる人たちのことを歌っていると分かりますね。

 

 

どんなことをしている?

では、カジモドが毎日のように見てきた彼らはどんなことをしていたかというと、こういうことをしていました。

 

  • Everyday they shout and scold…毎日、怒鳴ったり叱ったりして
  • And go about their lives…人生を送っている

 

つまり、何でもない毎日を送っているということです。劇団四季版では「わめいたり嘆いたり/平凡な暮らしの幸せ」と訳されていますね。

そして“Heedless of the gift it is to be them”とありますから、彼らはこういった毎日に無頓着(heedless)だと分かります。カジモドが“gift”と歌っている点に着目すると、自分にとってはそのような毎日は恩恵のあるものだと分かります。

ですから、「まるで気づいていない」に含まれるカジモドの気持ちは、「毎日怒鳴ったり叱ったりして人生を送っているという素晴らしい恩恵に、彼らはなんて無頓着なんだろう」となります。

 

もし自分が彼らだったら

ここは歌っている内容こそ違いませんが、表現が劇団四季版とまるで異なります。

劇団四季版では「僕ならそんな毎日大事にする」とありますが、英語版は“If I were in their skin/I’d treasure every instant”です。

“If I were in their skin”は「もし僕が彼らの皮膚の下にいたなら」が直訳になりますが、イメージとしては「もし僕が彼らになったら」という感覚です。“I’d treasure every instant”の内の“treasure”とは「宝物」のほかに「大事にする」という意味があります。また、“every instant”は「一瞬一瞬」ですから、カジモドは「もし僕が彼らになったら、(外の世界の)一瞬一瞬を大切にするのに」と歌っているのです。

外の世界で暮らしている人たちにとっては何でもないことが、カジモドにとっては喉から手が出るほど体験してみたいこと。そういった渇望が1つ1つの単語から伺えますね。

 

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『ノートルダムの鐘(The Hunchback of Notre Dame)』の曲一覧はこちら



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