ミュージカルでは分からない、エスメラルダの具体的なルックス

劇団四季ミュージカル『ノートルダムの鐘(The Hunchback of Notre Dame)』の原作本『ノートルダム・ド・パリ』を読んでみると、そこにはエスメラルダの細かな描写が描かれていました。

ミュージカルでは説明されていない彼女のルックスを、“Rhythm of the Tambourine(タンバリンのリズム)”の英語歌詞と比較しながら紹介します。

英語歌詞ではどう表現されているか

劇団四季ミュージカル『ノートルダムの鐘(The Hunchback of Notre Dame)』では、“Rhythm of the Tambourine(タンバリンのリズム)”で初めてエスメラルダが登場しますが、原作本『ノートルダム・ド・パリ(上)』でもやはりエスメラルダが登場するのはお祭りでのダンスシーンです。

まず、“Rhythm of the Tambourine(タンバリンのリズム)”の英語歌詞ではエスメラルダがどのように表現されているか見てみましょう。フロロー、カジモド、フィーバスの3人が交互に歌うシーンですね。

 

Phoebus:
This girl, who is she?

Quasimodo:
This girl, who is she?

Frollo:
She dances like a devil…

Phoebus:
She dances like an angel…

Quasimodo:
An angel…

Phoebus:
She dances like fire…

Frollo:
Such fire…

All:
Who is she?

 

フロローは「悪魔のように踊る」と歌いますが、フィーバスは「天使のように踊る、炎のように踊る」と歌っています。カジモドはフィーバスに重なるように「天使…」と歌っています。

 

 

原作に書かれているエスメラルダのルックス

アンダルシア風の女性

では原作には難と書かれているのでしょうか?少し長いですが、エスメラルダについて説明している箇所は次の通りです。これは、エスメラルダに一目惚れをした詩人、グランゴワールから見たエスメラルダです。

 

(略)この娘が人間なのか、妖精なのか、それとも天使なのか、ちょっと見たときには分からなかった。それほど、彼は女のまばゆいばかりの姿に魅せられてしまったのだ。
娘は背は高くなかったが、細い体がひどくすらりとのびていたので、高く見えるのだった。肌は褐色だったが、昼間なら、その肌はアンダルシアやローマの女たちのように金色に美しく照りはえるに違いない。小さな足もアンダルシアふうだった。あでやかな靴にぴっちり包まれているのだが、少しも窮屈な感じがしないのだ。娘はむぞうさに足もとに投げ広げられた古いペルシアじゅうたんの上で踊っている、舞っている、渦を巻いている。そしてくるくる回りながら、その晴れやかな顔が見物人の前を通りすぎるたびに、黒い大きな目がきらりと光を投げかけるのだった。
―『ノートルダム・ド・パリ(上)』ユゴー作、辻昶・松下和則訳、岩波文庫(p.127~128)

 

素敵な表現ですね。歌詞にも書かれている「天使」という表現が中にありますね。

アンダルシア/Andalucíaというのは、スペインを構成する自治州の1つでスペインの南部に位置する地域だそうです。また、ペルシャ絨毯のペルシャ/Persiaとは、イランのことを指すようです。フランスからは文化も違うエキゾチックな異国。そういった点に、より魅力を感じたのではと思います。

 

エスメラルダの服装

また、こういった表現もありました。こちらも同じくグランゴワールの視点ですね。

 

まわりの見物人はみんなぽかんと口を開けたまま、じっと彼女の姿を見つめている。それもそのはず、ふっくらした清らかな両腕を頭上に高くのばしてタンバリンを叩き、それに合わせてくるくる踊る、スズメバチのようなほっそりした、なよなよしい、生き生きした姿、しわ一つない金色の胴着、ふんわりふくらんだはでな服、あらわな両肩、ときどきスカートの下からちらりとのぞくほっそりした足、黒い髪、炎のような目、それはもうこの世のものではなかったのだ。
《これはまったく火の精だ、水の精だ、女神だ、メナロン山の巫女だ!》と、グランゴワールは思った。
―『ノートルダム・ド・パリ(上)』ユゴー作、辻昶・松下和則訳、岩波文庫(p.128)

 

華奢で、セクシーで、情熱的な容姿が想像できますね。

最後の1行に「火の精」とか、「メナロンの巫女」という表現がありましたので、こちらについて少し調べてみました。

 

 

火の精・水の精

火の精、水の精がどれほどの称賛に値するか…ということですが、これはなかなかの褒め言葉であることが分かりました。

まず、ヨーロッパには「四大精霊/elemental spirits」という概念が存在するそうで、wikipediaでは次のように説明されています。

 

四大精霊(しだいせいれい)は、地・水・風・火の四大元素の中に住まう目に見えない自然の生きもの、あるいは四大元素のそれぞれを司る四種の霊である。(中略)エーテルのみで構成された身体を有する擬人的な自然霊で、パラケルススの論じるところでは、霊でも人間でもなく、そのどちらにも似た生きた存在である。
四大精霊(wikipediaより)

 

四大精霊をより深く理解するには、是非wikipediaを熟読頂きたいのですが、ここで押さえるべきは四大精霊の内の2つである火と水の精で、エスメラルダは表現されているということです。

火の精は「サラマンダー」と呼ばれ、水の精は「ウンディーネ」と呼ばれています。勘の良い方は「ウンディーネ」って「オンディーヌ」に似てるな…と思われたかもしれませんが、ジャン・ジロドゥの戯曲『オンディーヌ』はウンディーネがモデルになっているそうです。

wikipediaにはそれぞれ次のような説明書きがありました。まず火の精「サラマンダー」についてです。

 

ポープの『髪盗人』では、情熱的な女は死後サラマンダーになるとされており、美しい女性の姿で登場している。
四大精霊(wikipediaより)

 

次に水の精「ウンディーネ」についてです。

 

『妖精の書』によれば、形は人間に似るが魂がなく人間の愛を得てようやく人間と同じく不滅の魂を得るとされる。(中略)ポープの『髪盗人』では、心優しい女性が死ぬとウンディーネになるとされ、ヒロインである少女ベリンダの守護精霊として登場している。
四大精霊(wikipediaより)

 

情熱的…不滅の魂…心の優しい女性…この辺りの言葉だけとって考えてみても、エスメラルダにふさわしい表現だとは思いませんか?

 

 

メナロン山の巫女

女神について解説するのは少し記事が長くなりそうですし、大抵の場合女神とは美しいものとしてひょうげんされるので、今回は割愛させて頂きます。続く表現に「メナロン山の巫女」という表現がありますが、こちらは先程の精霊と異なり、こういうものはどうやら存在しないようです。

また、山の名前もメナロンではなく「メロン山/Mount Meron」というものらしいということまで分かっています。

エスメラルダはエジプト方面の女性です(これについては記事を書きましたらリンクを貼りますね)。ですから、イスラエルにあるこのメロン山を指しているのは間違いないと思います。また、ユダヤ教上でとても重要な土地であるということも触れられていました。

 

メロン山には、メロン村とラビのシモン・バル=ヨハイの墓がある。彼の命日のラグバオメルに開かれる祭りまで、数千人が墓の近くでキャンプを張る。ラグバオメル自体にも、この機会に数百人が巡礼に訪れる。
メロン山(wikipediaより)

 

「巫女」と表現されている以上、何か宗教に関係する場所だと思っていましたが、ひとまずここは「まるでとても神聖な土地の巫女のようだ」という感覚で捉えられれば良いでしょう。

いかがでしたか?

こういった具体的な表現がなされると、目に見える以外の部分でも美しさを感じることができます。是非、押さえておきたい情報ですね。

 

「アンダルシア」の位置

それでは最後に、アンダルシアの位置を地図にしますね。大体の位置をイメージ頂けたらと思います。

♪『ノートルダムの鐘』の曲一覧はこちらから:ノートルダムの鐘/英語歌詞を徹底分析!日本語で意味を理解しよう

⇒【ノートダムの鐘】オリジナルキャスト画像集はこちら☆・’

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※CDでは上演される一部の曲しか収録されていないため、本サイトでは、曲名・曲順・歌詞は全て上演内容に順じています。参考サイトは次の通りです。CDの内容とは一部異なりますので予めご了承下さい。(参考サイト:LYRICS TO DISNEY’S HUNCHBACK OF NOTRE DAME MUSICAL (LA JOLLA PLAYHOUSE AND PAPER MILL PLAYHOUSE)



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