“Ten Duel Commandments”で歌われている、デュエル10の掟

あきかん

こんにちは!

ミュージカル考察ブロガー、あきかん(@performingart2)です。

ミュージカル『ハミルトン(Hamilton)』の英語歌詞を見てみると、 “Ten Duel Commandments” ではデュエル(決闘)の10の掟について歌われていることが分かります。

現在では禁止されているデュエルとはどんなものなのか、歌詞に沿ってみていきましょう。

この場面でデュエルをするのは、ジョン・ローレンスとチャールズ・リー。

ワシントンの名誉を傷つけたチャールズ・リーに対して激怒したハミルトンの代わりに、ローレンスがデュエルを申し込んだことから始まっています。

ローレンスのセコンド(介添人)はハミルトン、リーのセコンドはアーロン・バーです。

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 “Ten Duel Commandments” はどういう曲なのか

Ten Duel Commandments” の意味は「デュエル10の掟」です。

『ハミルトン』の中には全部で3つのデュエル・シーンがありますが、初めてのデュエル・シーンが “Ten Duel Commandments” です。

デュエルするのは、ジョン・ローレンスとチャールズ・リーで、結論を先に言うと両者同時に発砲し、ローレンスの弾がリーに当たり、リーが降参します。

Ten Duel Commandments” 1曲前の “Stay Alive” では、デュエルをすることになった経緯が歌われています。

ジョージ・ワシントンに指揮をとるように任命されたチャールズ・リー将軍でしたが、戦地でワシントンの指示に逆らった結果、将軍から外されラファイエットが指揮することに。

それに腹を立てたチャールズ・リーは、ワシントンのあることないことを言いふらし、名誉を傷つけます

ワシントンの名誉が傷つけられ頭に来たハミルトンはリーと決闘したいと思うのですが、喧嘩っ早いハミルトンの性格を知っているワシントンに事前に止められたために、ハミルトンの親友であるローレンスがリーに決闘を申し込みます

そして2人がデュエルするに当たり、歌われる掟というのが “Ten Duel Commandments” なんですね。

デュエル10の掟

では10の掟がどのようなものか、1つずつみていきましょう。

デュエルか、謝罪か

LAURENS:
The challenge: demand satisfaction
If they apologize, no need for further action

―ブロードウェイミュージカル “Hamilton” より “Ten Duel Commandments” (作詞:Lin-Manuel Miranda)

デュエルは、名誉を傷つけられ裁判などでも決着がつかない場合に行われるので「デュエルをするか、謝罪するか」というのが第一条件になってきます。それが1つ目に歌われている内容です。

ローレンス:挑戦するか、謝罪を要求するか

もし相手が謝罪すれば、これ以上の行動する必要はない

セコンドを用意せよ

LAURENS:
If they don’t, grab a friend, that’s your second

HAMILTON:
Your lieutenant when there’s reckoning to be reckoned

―ブロードウェイミュージカル “Hamilton” より “Ten Duel Commandments” (作詞:Lin-Manuel Miranda)

デュエルをすることに決まったならば、双方にセコンド(介添人)が必要となります。

このシーンでは、ローレンスのセコンドがハミルトンリーのセコンドがバーです。

構図を見て分かる通り、ハミルトンとバーが対立する立場になっているため、双方意見が違うことも気に留めておきましょう。

ハミルトンとバーが皮肉交じりの補足を入れていく点も見ものです。

ローレンス:もし謝罪がないなら、友達を連れてこい、それがお前のセコンドだ

ハミルトン:あんたに、あてになる人がいればの話だけどね

セコンド同士、交渉せよ

LEE:
Have your seconds meet face to face

BURR:
Negotiate a peace…

HAMILTON:
Or negotiate a time and place

―ブロードウェイミュージカル “Hamilton” より “Ten Duel Commandments” (作詞:Lin-Manuel Miranda)

交渉は本人たちではなく、セコンドが行います

平和的解決をするか、デュエルを実行するか…という交渉ですね。

ここではバーとハミルトンが交渉していますが、お互い “negotiate(交渉する)” という単語を使いながらも、交渉方向が真逆なところで性格の違いが見え面白いですね。

リー:セコンド同士、対面する

バー:平和的解決を求める…

ハミルトン:もしくは、時刻と場所の決定を求める

ちなみに、これに対してバーはこんな皮肉を言っています。

BURR:
This is commonplace, ‘specially ‘tween recruits

COMPANY:
Most disputes die, and no one shoots

―ブロードウェイミュージカル “Hamilton” より “Ten Duel Commandments” (作詞:Lin-Manuel Miranda)

こういうこと(すぐ決闘をしたいというということ)は、新米の間ではよくあること。口論することがなくなれば、誰も銃を撃ったりしないのにね。」というのが、バーの言い分。

話し合いを持って、平和的解決を求める方法だってあるというバーの考えと同時に、デュエルの在り方も説明されている分かりやすい補足です。

医者を用意せよ

LAURENS:
If they don’t reach a peace, that’s alright
Time to get some pistols and a doctor on site

HAMILTON:
You pay him in advance, you treat him with civility

BURR:
You have him turn around so he can have deniability

―ブロードウェイミュージカル “Hamilton” より “Ten Duel Commandments” (作詞:Lin-Manuel Miranda)

デュエル決行が決まったら、万一の場合に備えて医者を用意します。

ハミルトンは、医者を立ち会わせる前提で話をしていますが、バーは医者に拒否権を持たせることで、デュエルを回避することもできると歌っています。

ローレンス:平和的解決ができなくても、構わない。それなら銃と医者を用意しろ

ハミルトン:事前に支払いを済ませ、礼儀正しく挨拶をしておくように

バー:彼にその場から背を向けさせ、否認権を持たせることもできるけどね

死に場所を決めよ

LEE:
Duel before the sun is in the sky

COMPANY:
Pick a place to die where it’s high and dry

―ブロードウェイミュージカル “Hamilton” より “Ten Duel Commandments” (作詞:Lin-Manuel Miranda)

ここは掟というよりは、心構えが近いかもしれません。

“high and dry” には「一人取り残されて、見捨てられて」という意味があります。

リー:太陽が昇っているうちに決闘を

アンサンブル:自らが取り残される、死に場所を決めろ

親族にメモを残せ

HAMILTON:
Leave a note for your next of kin
Tell ‘em where you been. Pray that hell or heaven lets you in

―ブロードウェイミュージカル “Hamilton” より “Ten Duel Commandments” (作詞:Lin-Manuel Miranda)

ハミルトンは、こちらが勝つ気満々です。

ハミルトン:親族にメモを残せ、どこに向かったかを示せ。地獄か天国のどちらが迎えてくれるか祈れ。

対決者と対面せよ

LEE:
Confess your sins. Ready for the moment of adrenaline when you finally face your opponent

―ブロードウェイミュージカル “Hamilton” より “Ten Duel Commandments” (作詞:Lin-Manuel Miranda)

いよいよ、対決者とのご対面です。

リー:罪を告白しろ。ついに対決者とのご対面、湧き出るアドレナリンに備えよ。

交渉、最後のチャンス

LAURENS/LEE/HAMILTON/BURR:
Your last chance to negotiate
Send in your seconds, see if they can set the record straight…

―ブロードウェイミュージカル “Hamilton” より “Ten Duel Commandments” (作詞:Lin-Manuel Miranda)

ここが、デュエルを回避できる最後のチャンス。交渉はセコンドにかかっています。

ローレンス、リー、ハミルトン、バー:交渉できる最後のチャンスだ。セコンドを出せ、誤解を解きたいならば。

では、ハミルトンとバーはどのように交渉しているでしょうか?

BURR:
Alexander

HAMILTON:
Aaron Burr, sir

BURR:
Can we agree that duels are dumb and immature?

HAMILTON:
Sure
But your man has to answer for his words, Burr

BURR:
With his life? We both know that’s absurd, sir

HAMILTON:
Hang on, how many men died because Lee was inexperienced and ruinous?

BURR:
Okay, so we’re doin’ this

―ブロードウェイミュージカル “Hamilton” より “Ten Duel Commandments” (作詞:Lin-Manuel Miranda)

このやりとりはこのようになっています。

まさに最後の交渉というやりとり。バーは努めて平和的解決に持って行きたい、ハミルトンはワシントンの名誉を晴らすために決闘をしたいという構図です。

バー:アレクサンダー

ハミルトン:何でしょう、アーロン・バーさん

バー:デュエルは愚かで大人げない行為だという事には同意してくれるか?

ハミルトン:もちろんさ。でも、それならお前がセコンドを務めている男(リー)は自分の発言を釈明しなきゃね

バー:彼の命をもって?それはお互い馬鹿げたことだとは思いませんか?

ハミルトン:ちょっと待てよ、リーが未熟で無茶をしたせいでどれだけの命が犠牲になったと思っているんだよ?

バー:分かった、じゃあやるってことだな。

銃を構えろ

HAMILTON:
Look ‘em in the eye, aim no higher
Summon all the courage you require
Then count

MEN:
One two three four

FULL COMPANY:
Five six seven eight nine

HAMILTON/BURR:
Fire!

―ブロードウェイミュージカル “Hamilton” より “Ten Duel Commandments” (作詞:Lin-Manuel Miranda)

とうとう決着をつける時です。

ハミルトン:互いに目を合わせ、狙いは高すぎず

奮い起こせ、必要な勇気の全てを振り絞れ、そしてカウントだ

アンサンブル:1、2、3、4、5、6、7、8、9、10歩だ

ハミルトン、バー:撃て!

勝者、決まる

10個目は掟ではなく、決着ですね。

そして内容は次の曲 “Meet Me Inside” に引き継がれています。

HAMILTON:
Lee, do you yield?

BURR:
You shot him in the side!
Yes, he yields!

LAURENS:
I’m satisfied

BURR:
Yo, we gotta clear the field!

HAMILTON:
Go! We won

COMPANY:
Here comes the General!

BURR:
This should be fun

WASHINGTON:
What is the meaning of this? Mr. Burr, get a medic for the General

―ブロードウェイミュージカル “Hamilton” より “Meet Me Inside” (作詞:Lin-Manuel Miranda)

リー、負けを認めろ」というハミルトンに対し、「リーは脇腹を撃たれた、降参する」と言うバー。これで勝者はローレンスに決定です。

しかし、そこで終われば満足で終わったものの、ワシントンが登場し事態は複雑に…。

バーの “This should be fun” は、皮肉交じりの「これは面白くなりそうだ」というのは、「面倒くさくなりそうだ」という意味でしょう。

いかがでしたか?

ハラハラドキドキするデュエルシーンの中で、うまく10の掟について説明されていて感心しています。

曲もとてもカッコイイので、掟を頭に叩き込んで聴き込むと、残りの2つのデュエル・シーンも楽しめますよ。

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