ペギー・スカイラーとは?

ミュージカル『ハミルトン(Hamilton)』より“The Schuyler Sisters”の英語歌詞を見てみると、スカイラー姉妹(the Schuyler Sisters)のひとり、ペギー・スカイラー(Peggy Schuyler)が登場しています。

アンジェリカ(Angelica)、エリザベス(Elizabeth/Eliza)に続いてスカイラー一家の三女であるペギーはどんな女性なのでしょうか?

The Schuyler Sisters”に登場する3人の姉妹!

とってもカッコいい、3人のこの曲が大好きだという方も多いでしょう。ラップ調の曲がメインの『ハミルトン』は苦手意識がありましたが、私はこの曲で『ハミルトン』好きになりました。

さて、このスカイラー姉妹というのはフィリップ・スカイラーという富豪の3人娘(ほかにも兄弟はいる)のことなのですが、長女アンジェリカと次女エリザベスについては別途記事を書いていますので、是非こちらの記事をご覧ください。

 

 

 

フィリップ・スカイラーの娘

スカイラー一家というのはただの一般家族ではありません。まず、エリザベス・スカイラーの父親がどういう人なのか知るところから始めましょう。

父親については、こちらの記事に記載していますので、こちらのリンクからご確認下さい。

 

また、wikipediaを見てみるとこういうことが書かれています。

 

Margarita “Peggy” Schuyler Van Rensselaer (September 24, 1758 – March 14, 1801) was the third daughter of Continental Army General Philip Schuyler. She was the wife of Stephen Van Rensselaer III, sister of Angelica Schuyler Church, Philip Jeremiah Schuyler, and Elizabeth Schuyler Hamilton, and sister in law of John Barker Church and Alexander Hamilton.
Peggy Schuyler(wikipedia)

 

要点をかいつまんでみましょう。

 

  • フィリップ・スカイラー(Philip Schuyler)の三女
  • Stephen Van Rensselaer IIIの妻
  • アンジェリカ(Angelica)、エリザベス(Elizabeth)の妹
  • ジョン・バーカー・チャーチ(John Barker Church)の義理の妹
  • アレクサンダー・ハミルトン(Alexander Hamilton)の義理の妹

 

Stephen Van Rensselaer IIIは『ハミルトン』には登場しないので説明は割愛させて頂きますね。それ以外は、アンジェリカとエリザベスの記事からご確認ください。

 

 

ペギーのキャラクター

ミュージカル内ではアンジェリカとエリザベスほど注目される登場人物ではありませんが、wikipeida上で彼女の性格が分かる実話が書かれていたのでここにご紹介します。

 

On August 7, 1781, a group of Tories and Native Americans forced their way into the Schuyler Mansion in Albany, searching for Philip Schuyler, whom they intended to make a prisoner of war. According to a story which may be legend, family members and guests, including Eliza and Angelica, who were both pregnant, ran upstairs to hide, but soon realized they had left Philip and Catharine Schuyler’s newborn daughter Catharine (1781-1857) downstairs. Peggy went downstairs to get the baby, but was threatened by one of the Native Americans, who asked where Philip was. Thinking quickly, Peggy replied that Schuyler had “gone to alarm the town”. Fearing capture, the raiders fled, but one threw a tomahawk at Peggy, who was running upstairs with the child. The tomahawk left a cut mark in the banister, which the Schuyler family supposedly left in place as a memento. This story begins to appear in published works in the 1830s, but no contemporary evidence of the story can be found in the letters and records of Philip Schuyler or of the Loyalists, under the direction of Captain John Walter Meyer, who raided the home.
Peggy Schuyler(wikipedia)

 

1781年8月7日、ネイティブ・アメリカンがペギーの父親フィリップ・スカイラーを捜しにがオールバニにあるスカイラー・マンション(Schuyler Mansion)に押し入った際、妊娠していたエリザベスとアンジェリカを含む家族や客は上の階に逃げたそうですが、産まれたての赤ちゃんを置き去りにしてしまったことに気付いたそうです。

そこで、ペギーはすぐさま下の階に戻ったのですが、ネイティブ・アメリカンとはち合わせになってしまいました。

彼女を脅しながら父親の居場所を聞かれたペギーは頭をフル回転させ、“gone to alarm the town(町へ危険を知らせに行ったわ)”と嘘の返答したそう。

その言葉に怯えたネイティブ・アメリカン達はすぐに去って行ったのですが、そのうちの1人が赤ちゃんを抱いて上の階に逃げていったペギーに斧を投げつけ、階段の手すりに傷を残しそれはスカイラー家の記憶の1つとして残っているそうです。

はー、すごく勇敢な女性ですね…

自分が殺されるかもしれないのに、家族のために赤ちゃんのために行動を起こせるなんて。しかも、とても機転の利く利口な女性だと分かります。

ちなみに、この話は事実であるかどうかという確証はなく、当時の手紙のやりとりなどではこの出来事に関する記述は未だ見つけられていないようです。ただ、1830年頃の出版物から、こういった記述が書かれるようになったとのこと。

ただ、火のないところに煙は立ちませんから、これに近しい出来事はあったのだと考えて良いでしょう。

 

 

ハミルトンとの関係は?

さて、既にアンジェリカとエリザベスの記事を読んで下さった方はお分かりでしょうが、アンジェリカはハミルトンに好意を抱いていた女性で、エリザベスはハミルトンの妻です。

ハミルトンと濃厚な関係のある2人姉妹ですが、ペギーはどうだったのでしょうか?wikipediaにこんなことが書かれていました。

 

Unlike her sisters Elizabeth, who was married to Alexander Hamilton, and Angelica, who may have had an affair with him, Peggy maintained a correspondence with Hamilton that was purely platonic. She first began writing to him in 1780, after he began courting her sister.
Peggy Schuyler(wikipedia)

 

「2人の姉妹とは異なり、ハミルトンとの文通は純粋に友愛的なものだった」とあります。つまり、恋愛感情は全くなかったということですね。

さっぱりしてる~(笑)

 

 

永遠の眠り、そばにいたのは…

(追記:2017.8.8)

ペギーに関する記事をアップした直後、早速記事を読んで下さったフォロワーのゆめ様(@shiki_sea)からこんな質問を頂きました。

 

※ご本人より掲載許可取得済。

「2幕から登場しなくなるペギー」「実際は病気で亡くなっていた?」…この辺りについては私も調査不足でしたので、早速調べてみました。

 

病におかされ、死す

『ハミルトン』は“What’d I Miss”からが2幕です。
ハミルトンがマリア・レイノルズと関係を持ったことが分かる“Say No To This”が“What’d I Miss”の3曲先で、この「マリア・レイノルズ事件」が1790年代の話しですから、この辺りの時代でペギーがどうだったかが分かれば良いということです。
wikipediaを見てみましょう。

 

Peggy became ill in 1799. Her condition worsened during the winter of 1800-01, and she died on March 14, 1801.
Peggy Schuyler(wikipedia)

 

おぅ…

早速ありましたね、“Peggy became ill in 1799.”。「1799年に病にかかった」とあります。そして、1800~1801年に病状は悪化し、1801年3月14日に亡くなっています。

享年42歳、短命ですね。ですから、2幕からペギーが登場しなかったのは現実に忠実です。「マリア・レイノルズ事件」の頃はまだ生きていましたが、そこから10年程で亡くなっているという計算です。

 

ハミルトンの優しさ

さて、ゆめ様の質問に対しての回答は以上ですが、ペギーが病気だった時の様子がwikipediaに記載されていましたのでご紹介します。

 

According to Ron Chernow, Alexander Hamilton was in Albany for legal business when her health declined. “Hamilton visited her bedside often and kept Eliza posted on developments. When Hamilton finished his court work, Peggy asked him to stay for a few days, and he complied with her wishes.
Peggy Schuyler(wikipedia)

 

まず、“According to Ron Chernow,”に注目しましょう。

Ron Chernow(ロン・チャーナウ)とは、『ハミルトン』の原作となった本の作者です。“According to Ron Chernow,”とは「ロン・チャーナウによると」という意味ですから、彼の見解がここに書かれていることになります。

ペギーの体調が不調だった頃、ハミルトンは仕事でオールバニ(スカイラー家のある土地)にいたようです。そして、よくペギーの枕元に訪れては経過をエリザベス(ハミルトンの妻、ペギーの姉)に報告していたようです。また、ハミルトンの任務が終わりオールバニを去ることになった時も、ペギーにもう数日いて欲しいと頼まれたら応じたとのこと。

互いに恋愛感情はなかったハミルトンとペギーですが、義理兄弟の関係がとても良好だったことが、このエピソードから伺えますね。

ちなみにエリザベスはこの時オールバニにいなかったのか…という疑問ですが、彼女はこの頃子どもの子育ててニューヨーク、フィラデルフィア、オールバニを行き来していたようなので、丁度いなかった時期なのかもしれません。

 

妹の死を告げる、ハミルトンからエリザベスに宛てた手紙

そして、wikipediaはこう続きます。

 

 In mid-March, Hamilton had to send Eliza a somber note: ‘On Saturday, my dear Eliza, your sister took leave of her sufferings and friends, I trust, to find repose and happiness in a better country.’” She was originally buried in the family plot at the Van Rensselaer estate, and later reinterred at Albany Rural Cemetery.
Peggy Schuyler(wikipedia)

 

“ In mid-March, Hamilton had to send Eliza a somber note”は「3月の中旬、ハミルトンはエリザベスに悲しい手紙を出すことになりました」という意味です。3月の中旬とは3月15日前後ですから、ペギーの亡くなった日のことを指しているのでしょう。ハミルトンがエリザベスに宛てた手紙の内容がこうです。

 

“On Saturday, my dear Eliza, your sister took leave of her sufferings and friends, I trust, to find repose and happiness in a better country.”

 

意味合い的にはこんな感じでしょうか…

 

「僕の愛するエリザベス、土曜日に、君の妹が苦しみと友人に別れを告げることになったよ。よりよい国で、休息と喜びを見つけられると、僕は信じている。」

 

なんと素晴らしい文章なのでしょうか…涙がこみ上げてきます。

ミュージカルではあまりスポットを浴びない人物ですが、こんなやりとりがあったなんて、ハミルトンの新しい一面を見るようですね。きっとこの手紙を手にしたエリザベスは涙を流しながらも、妹の旅立ちを受け入れたことでしょう。

“sufferings(苦しみ)”とは病のこと…もうこれ以上苦しむことはないんだという、ハミルトンの気持ちが手に取るように伝わってきます。また、“better country(よりよい国)”とは天国のことでしょうね。ハミルトンの文才が、こういったところからも読みとれます。

 

今回の質問はとても調べる意義のあった内容だと、心から感じています。調べた甲斐がありました!ゆめ様有難うございます。こんな感想も頂きましたよ。

※ご本人より掲載許可取得済。

皆さんも、疑問に思うこと、気になることなどありましたら、お気軽にご連絡下さいね。

 

※ハミルトンの文才については、こちらの記事をご覧ください。

 

ペギーの本名はマルガリータ!?

(追記:2017.8.9)

「今これを言うか!?」という感じなのですが、ずっと気になっていた事をやっと解明できたので追記にて情報を共有させて頂きます。

 

ペギーはあだ名?

『ハミルトン』の中で、ペギーはずっと“Peggy(ペギー)”と呼ばれ続けていましたが、実際の名前は「ペギー」ではないんですね。例えばwikipediaには彼女の名前がこう記されています。

 

Margarita “Peggy” Schuyler Van Rensselaer
Peggy Schuyler

 

英語の名前は、構造的に…

  • first name(名前):Margarita
  • middle name(旧姓):Schuyler
  • last name(名字/結婚後の姓):Van Rensselaer

となっています。

ペギーの場合結婚相手がStephen Van Rensselaer IIIなので、この内訳で間違いないはずなのですが、そうすると“Peggy”に当てはまる項目がないんですよね。しかもあえて“ ”がついているので、余計に気になりますよ。

そこでふと、「“Peggy”はあだ名なのではないか」と頭をよぎり、“Margarita(マルガリータ)”と“Peggy(ペギー)”の関係性について調べてみることにしました。

 

「マルガリータ」と「ペギー」の関係性

この関係性を調べるにあたって、まずたどり着いたのがこちらの「名前の由来、その他」というサイトです。

 

このサイトを見てみると、そもそも「マルガリータ」には「真珠」という意味があることが分かります。例えばマーガリンも真珠色をしていたから、マルガリータが由来になっているとか。

そして読み進めると、次のようなことが書かれていました。(言語によって発音が変わりますが「マーガレット」や「マルガリータ」「マルグリット」は全て元が同じです。)

 

女性の名前のマーガレット Margaret (仏語ではマルグリット Marguerite)やマージリー Margery は真珠という意味ですし、それらの愛称や変形として、マッジ Madge、マギー Maggie、マミー Mamie、マーゴット Margot、メイ May、メグ Meg、ペグ Peg、ペギー Peggy、グレタ Greta、マージ Marge、マージー Margie、マージョリー Marjorie, Marjory などこれらも真珠を意味するといってもよいでしょう。
名前の由来、その他

 

なに?

マーガレット(マルガリータ)の愛称や変形に「ペギー(Peggy)」があるではありませんかっっ!!!

でも…他のものは何となく愛称だな…と分かるものの、ペグとペギーはどう考えても変形しすぎじゃありません?と思って、何故こんな風に変形がされたのか更に調べてみました。

 

MをPに言い変えた

するとこのyahoo知恵袋を発見したんですね。

 

質問はこうです。

 

マーガレットという名前の愛称が、なぜペギーになるのでしょうか?マギーやマーゴット、マッジになるのはわかりますが、なぜ、ペギーにまで変化してしまうのでしょう?Pはどこからきたのでしょう?
マーガレットという名前の愛称が、なぜペギーになるのでしょうか?(yahoo知恵袋)

 

質問者さんの仰る通りです。私の疑問とピッタリ一致します。それに対する回答はこう。

 

P は M の音が変化したところから来てるんです。
マーガレットの愛称は多くあり、マギーやマーゴット、マッジ、そのほかにもメグ、メギーがあります。
このメギー(Meggie) の語頭の M音がP音に変化したのです。M と P の音は音韻学的にはごく近い音なのです。
例えば、Men と Pen を交互に繰り返し発音してみてください。口の開き方、舌の位置、似てるでしょう。
同じように M が P に変化するものにメアリーの愛称、ポリーがあります。
Mary = Moll, Molly, Polly, Maisie, Maidie
http://www.namenerds.com/uucn/advice/nickhistory.html
マーサもマティーを経てパティーへと変化します。
マーガレットの愛称がペギーになるのは語源に関係なく、音韻変化なのです。
マーガレットという名前の愛称が、なぜペギーになるのでしょうか?(yahoo知恵袋)

 

なるほど。確かに日本語の「ま行」と同様“m”から始まる発音って何となく言いづらいところありますよね。そんな感覚で、言いやすいように変形していった結果“p”に変形していったと。

へー!

ということは、wikipediaにあった“Margarita “Peggy” Schuyler Van Rensselaer”の”Peggy”とはやはりあだ名を指していたんですね。

恐らく、ほとんどの人がMargaritaではなく、愛称のPeggyで呼んでおり、Margarita Schuyler Van Rensselaerと呼ばれる方が馴染みがなかったからそう書いているんですね。

はぁ~、スッキリ!細かいことですが、これを知っていると歴史的文献を読むうえでも役に立ちそうですね。突然Margaritaなんて言われても「え?誰?」となってしまいそうですから…

♪『ハミルトン』の曲一覧はこちらから:ハミルトン/英語歌詞を徹底分析!

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