ミュージカル『ハミルトン(Hamilton)』より “Alexander Hamilton” の英語歌詞を見てみると、アレクサンダー・ハミルトン(Alexander Hamilton)がどんな人物だったのかが分かります。
今回は、彼の人生の転機であるハリケーン来襲について紹介していきますよ。
※ アレクサンダー・ハミルトンについてより詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
※ 『ハミルトン(Hamilton)』を理解する上で、「ラップ」とは何かも押さえておきましょう。
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ハリケーンは人生の転機
歌詞内で歌われていること
最初の曲 “Alexander Hamilton” は、登場人物がそれぞれの立場からアレクサンダー・ハミルトンを説明する歌詞内容となっています。
今回はジェームス・マディソン(James Madison, Jr.)のパートを見ていきましょう。
Then a hurricane came, and devastation reigned
Our man saw his future drip, drippin’ down the drain
Put a pencil to his temple, connected it to his brain
And he wrote his first refrain, a testament to his pain―ブロードウェイミュージカル “Hamilton” より “Alexander Hamilton” (作詞:Lin-Manuel Miranda)
さて、 “Then a hurricane came” のフレーズからセント・クロイ島にハリケーン(大嵐)が来たということが読みとれます。
なぜ、大嵐があったことをわざわざ歌っているのでしょうか?
ハミルトンが大波にのまれたから?それとも生死をさまよったからでしょうか?
いえいえ、違います。
このハリケーンこそが、若干十代のハミルトンにとって、最大かつ最高の転機だったからです!
wikipediaと比較してみよう
このことについてはまず、wikipediaの説明を読むのが一番早いので引用しますね。
1771年にセント・クロイ島で発行されている新聞に自作の詩を掲載され、文才の片鱗を示す。
その翌年に、ハリケーン来襲を報じた手紙が新聞記者に優れた文章として認められ、『ザ・ロイヤル・ダニッシュ・アメリカン・ガゼット』誌に掲載された。
店主と親類縁者の援助により、1773年よりニューヨーク市のキングズカレッジ(現コロンビア大学)に入学し、行政学・政治学を学ぶかたわら、歴史・文学・政治哲学などの広い分野にわたる読書を始めた。この偶然と幸運で貧しい一苦学生に過ぎなかったハミルトンは自らの天賦の才を発揮できる好機を天から授かったのである。
―アレクサンダー・ハミルトン(wikipedia)
ハミルトンはこの頃から文才があったと分かりますが、その極めつけがこのハリケーン来襲を報じた文章だったわけです。
これにより彼の人生は一変し、大学であらゆる学問を学ぶまでに至ります。
周囲の援助があったとはいえ、ハミルトン自身にこれだけの才能がなければきっと援助されることもなかったでしょう。
また文才だけではなく、こういった行動力によって、自身でチャンスを掴みに行ったとも言えます。
ちなみに歌詞内の “Put a pencil to his temple, connected it to his brain” からは、ハミルトンがどんな姿でこの文章を書いていたかが分かります。
“temple” には「寺院」という意味もありますが、ここでは「こめかみ」です。
「鉛筆をこめかみに当て、自身の脳に接続した」という、とてもカッコイイ表現になっています。
ハミルトンの鋭い頭脳が、鉛筆を通じて文字に変わり、優れた文章が紡ぎだされたことがイメージ出来るフレーズではないでしょうか?
ハリケーン、その後
ハリケーン来襲による文章によって、彼が大学教育を受けるに至ったということはwikipediaにも触れられていましたが、実はこれは次のアーロン・バーのパートでこのように歌われています。
Well the word got around, they said, “This kid is insane, man!”
Took up a collection just to send him to the mainland
“Get your education, don’t forget from whence you came, and
The world’s gonna know your name! What’s your name, man?”―ブロードウェイミュージカル “Hamilton” より “Alexander Hamilton” (作詞:Lin-Manuel Miranda)
この出来事により、小さな島にいた少年は「ただ者ではない」と注目を浴びることになるということが読みとれます。
そして3行目の “Get your education” で、大学教育を受けることが触れられています。
そしてそこからハミルトンは有名になっていくのですが、それがバーの言う “The world’s gonna know your name!” の部分で、「世界がお前の名前を知ることになる!」という意味ですね。
で、この直後に “What’s your name, man?(お前、名前は何だっけ?)” とあえて聞いています。
何故「あえて」と申し上げるかというと、このオープニングの曲では、ハミルトンの生涯を簡単に説明している曲なので、誰もが今話題に上がっているのは「ハミルトンだ」と分かっている訳です。
この “What’s your name, man?” の後にハミルトンのパート、
Alexander Hamilton
My name is Alexander Hamilton
And there’s a million things I haven’t done
But just you wait, just you wait―ブロードウェイミュージカル “Hamilton” より “Alexander Hamilton” (作詞:Lin-Manuel Miranda)
につながります。特に後半2行のフレーズは良く出てくるので覚えておきましょう。
意味は「俺が成し得ていないことは山ほどある。でも、今に見てろよ、今に見てろよ。」となります。
かっこいいですねー!
この2行だけでも、向上心とハングリー精神がある人物だと分かりますね。
ハリケーンにまつわる、もう1つの曲
このハリケーンがハミルトンの人生において、どれだけ重要かお分かり頂けたでしょうか?
さて、これだけ重要な出来事ということもあるのでしょうか、実は『ハミルトン(Hamilton)』の終盤に “Hurricane” という曲があります。
こちらの記事についてまとめたら、こちらでリンクを貼らせて頂きますね。
(執筆中)
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それでは皆さん、良い観劇ライフを…
以上、あきかん(@performingart2)でした!
こんにちは!
ミュージカル考察ブロガー、あきかん(@performingart2)です。