ミュージカル『スリル・ミー』の「スポーツカー(Roadster)」と実話の比較

あきかん

こんにちは!

ミュージカル考察ブロガー、あきかん(@performingart2)です。

 

ホリプロミュージカル『スリル・ミー(Thrill Me: The Leopold & Loeb Story)』より「スポーツカー(Roadster)」の英語歌詞を見てみると、ローブがどのようにしてボビーに声をかけたかが分かります。

今回は「スポーツカー(Roadster)」の内容がどこまで実話に即しているか見ていきましょう。

 

※ 基になっている事件については、次の記事をご覧ください。

※ 記事ではミュージカルにおける「私」を「レオポルド」、「彼」を「ローブ」と表記します。

『スリル・ミー』の解説・考察本を執筆しました!

「レオポルドとローブ事件」はどのような事件だったのか?何故「終身刑+99年」という判決だったのか?そんな疑問を解消しながら、ミュージカル『スリル・ミー』の刺激に迫る解説・考察本。

実際の事件ととミュージカルを比較しながら「実話」、「ニーチェの哲学」、「裁判」の3つの視点から作品に切り込んだ1冊。

Kindle(電子書籍)ペーパーバック(紙書籍)、いずれも Amazon で販売中。

Kindle Unlimitedを初めてご利用の方は、体験期間中に0円で読書可能

 

スポーツカーは誰のものか

 

スポーツカー(Roadster)」という曲は、誘拐殺人を企てたローブが、1人の少年に声を掛け、車に乗せようと誘導する曲です。

ミュージカルではローブが “Would you like to see my roadster?(俺のスポーツカーを見てみないか?)” と歌っていますが、実話においてスポーツカーを所有していたのはレオポルドでした。

レオポルドは赤いウィリス・ナイト(Willys-Knight)という車種を所有していましたが、誘拐するには目立ちすぎるという理由から、レンタカーで犯行に及んでいます

次の写真は、レオポルドがレンタカーの運転席に座っている写真です。

Embed from Getty Images

↓ 被害者ボビー・フランクス

Embed from Getty Images

 

 

ボビーへの声掛けをローブがした背景

 

スポーツカー(Roadster)」において、ローブはボビーにスポーツカーのカッコよさをちらつかせながら、後部座席へと誘導していきます。

例えば、ローブはこのように歌っています。

 

We could cruise around the schoolyard
Be the envy of your pals
If you’re riding with me, shotgun
You’ll impress the pretty gals

―ミュージカル“Thrill Me: The Leopold & Loeb Story”より “Roadster”(作詞:Stephen Dolginoff)

 

意味はこうです。

 

  • 校庭辺りをぶらついても良い
  • 仲間からの注目の的になれよ
  • 俺と一緒に助手席に乗れば
  • 可愛い女の子を感動させられるよ

 

実話においても、ボビーへ声掛けしたのはローブでした。

その背景には、ローブとボビーが遠縁(はとこ)関係にあったことにあります。

2人は以前テニスをしたことがあり、ローブが「テニスラケットのことで話がある」と伝えたことから、車に乗り込んだようです。

 

ターゲットは初めからボビーだったのか?

 

レオポルドとローブのターゲットは初めからボビーだったわけではありません。

実際、2人はターゲットを決めていなかったことから、脅迫状(ransom note)の宛名を書いていませんでした

加えて、ターゲットを決定するまでに数人に声を掛けています。

2人がターゲットを見定めている時間帯に、たまたまボビーがいたことで、彼は帰宅することなく、排水溝で見つかることとなります。

Embed from Getty Images

あきかん

それでは皆さん、良い観劇ライフを…

以上、あきかん(@performingart2)でした!