ミュージカル『キンキーブーツ(Kinky Boots)』より “Charlie’s Soliloquy” の英語歌詞を見てみると、チャーリーが靴工場に対して抱いている思いが「ひとり言」というかたちで歌われていると分かります。
靴工場に対する思いがマイナスとプラスの両方向から歌われていますが、それぞれどのようなことが歌われているのでしょうか?
『キンキーブーツ』の解説・考察本を執筆しました!
「プライス社は実在したのか?」「キンキーブーツは工場を救ったのか?」
そんな疑問を解消しながら、ミュージカル『キンキーブーツ』の魅力に迫る考察本。映画とミュージカルを比較しながら、実話、時代背景、ジェンダーの3視点から作品に切り込んだ1冊です。
Kindle(電子書籍)、ペーパーバック(紙書籍)、いずれも Amazon で販売中。
Kindle Unlimitedを初めてご利用の方は、体験期間中に0円で読書可能!
“Soliloquy” の意味
“soliloquy” って見慣れない単語ですよね。発音も難しそうです。
“soliloquy” は「ソリロクィ」と発音し、こういう意味を持っています。
- soliloquy … ひとり言
つまり、この曲名は「チャーリーのひとり言」という意味です。
ではチャーリーはどのようなひとり言を歌っているのでしょうか?
チャーリーのひとり言
靴工場に対する「マイナス」の思い
前半のひとり言は、靴工場における自分の立場。
代々受け継がれてきた家業を、自分が受け継ぐことに対する迷いが次々と出てきます。
Do I belong here?
Am I what’s wrong here?
Know what I’m doing?
Or am I a fraud?
Do I fit in?
Where do I begin?
Same old Charlie
Frightened and flawed
So, I pretend
And keep my head up like I
Know how this will end―ブロードウェイミュージカル“Kinky Boots”より “Charlie’s Soliloquy“(作詞:Cyndi Lauper)
チャーリーの迷いをまとめるとこうです。
- 自分はここに属して良いのか
- 問題は自分自身なのか
- 昔と変わらず臆病者で出来損ない
- だからすべて分かっているふりをする
とくに「ふりをする(pretend)」という点では「ペテン師(fraud)」という表現さえしていて、何も出来ない自分が社長になるということに対する強い拒否感が読み取れます。
靴工場に対する「プラス」の思い
後半のひとり言は、靴工場は自分にとってどんな存在か。
不安を覚える一方で、靴工場は自分の居場所だと気付きます。
Punching holes
Into this leather
This kind’a feels like
I’m back homeI’m watching myself
And I know what to do
Hey look at me now
It’s a shoe―ブロードウェイミュージカル“Kinky Boots”より “Charlie’s Soliloquy“(作詞:Cyndi Lauper)
工場に来れば家に帰った気持ちになれる。ここでなら、何をすべきか知っている…。
そして、チャーリーは「靴」が自分にどんなに強く影響しているか気付くんですね。
ここで注目したいのは、チャーリーは靴工場を「家業」と見ているのではなく「家族」と見ている点です。
この視点は次の曲 “Step One” にも影響しています。
It’s not just a factory
This is my family
No one’s gonna shut us down
Not while Charlie Price is around―ブロードウェイミュージカル“Kinky Boots”より “Step One“(作詞:Cyndi Lauper)
ここでは「靴工場は家族だ」と断言しています。
- これはただの工場じゃない
- これは僕の家族なんだ
- 誰にも閉鎖させない
- チャーリー・プライスがいるうちは
“Charlie’s Soliloquy” では、チャーリーが自分自身を見つめ、考え方・見方を変えた結果、風向きが変わっていく起点となる曲と言えるでしょう。
それでは皆さん、良い観劇ライフを…
以上、あきかん(@performingart2)でした!
こんにちは!
ミュージカル考察ブロガー、あきかん(@performingart2)です。