『キンキーブーツ』のキンキーの意味、実はとっても「変態」だった

あきかん

こんにちは!

ミュージカル考察ブロガー、あきかん(@performingart2)です。

ミュージカル『キンキ―ブーツ(Kinky Boots)』の虜になっている皆さんは「キンキー(kinky)」の意味について深く考えたことはありますか?

何気なく使っているこの単語ですが、実はとっても過激な意味を持ち合わせていたのです…!

この記事では “kinky” の具体的な意味を解説します。

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kinky(キンキー)はsex(セックス)と関係のある単語

作品名が和訳されない場合、そのままの響きで覚えてしまうため、あえて意味なんて考えないかもしれません。

しかし “kinky” の意味を知らずして「キンキー大好き!」なんて言った日には、ちょっとびっくりした目つきで見られてしまうかもしれません(苦笑)。

“kinky” の意味はというと…

  • kinky:(性的に)異常な、変態の、倒錯した
  • kinky:Something relating to, having, or appealing to unconventional tastes especially in sex.(型破りなセックスに関すること、すること、好むこと)

つまり、この単語は「性的に変態な好みを持っていること」を意味しています。

踏み込んで言えば「セックス・プレイがかなり過激であること」を暗に意味する単語だそうです。

そのため『キンキ―ブーツ(Kinky Boots)』というタイトルは、英語話者にとってはかなりキャッチーだと分かります。

誤解される「近畿大学」と「Kinki Kids」

“kinky” の意味がどれだけ過激かは、日本で話題になったニュースを見ても分かります。

「近畿(kinki)」は日本では聞き慣れた単語ですが、この単語を英語話者が見聞きすると “kinky(キンキー)” と誤認してしまうそうです。

「へー、そうなんだ」で話しが終われば良いのですが、頭を悩ませた大学があります。それが「近畿大学」です。

近畿大学(大阪府東大阪市)が、これまで「KINKI UNIVERSITY」としていた英語表記を2016年4月から「KINDAI UNIVERSITY」に変更すると発表した。「KINKI」を英語で発音した場合、「『KINKY』(風変わり)と聞こえる場合がある」として、以前から変更を検討していたという。

「変態」どころではない「過激な性的倒錯」と誤解も 近大が英語発音「キンキ(ー)」にビビった理由(Jcast ニュース)

“Kinki University” と表記することで「性的異常趣味がある大学」と誤認されてしまうことから、 “Kindai University” に変更せざるを得なくなった近畿大学。

“Kindai University” に変更したところで、日本語話者としては「近大大学?」とツッコミたくなりますが、英語表記を変更せざるをえないほど、深刻になる単語だということです。

ちなみに、近畿大学と同じ理由で、アイドルグループの「Kinki Kids」も「Kinky Kids」と誤解されることがあるそうです。

「キンキーブーツ」で “kinky” が意味するものは?

では、改めて『キンキ―ブーツ(Kinky Boots)』とは、どのような意味を持つのでしょうか?

“kinky” は過激な単語だと分かりましたが、ミュージカルは性的に異常な趣味を内容にしたものではありません。

タイトルに “kinky” を使った理由には、次があると考えています。

  • 歴史ある紳士靴メーカーが、何を血迷ったかドラァグ・クイーンのブーツを作り始めたことがkinky(異常)
  • ターゲットとなる顧客がドラァグ・クイーンであることがkinky(変態)
  • ブーツのデザイン自体がkinky(過激)

つまり『キンキ―ブーツ(Kinky Boots)』は「由緒正しき靴メーカーが、変態向けの過激なブーツを作るという異常な物語」なので “kinky” という単語を使っている…と考えています。

もちろん「ドラァグ・クイーン=変態」だと言いたいわけではありません。

ただ、イギリスの片田舎ノーサンプトンでは、ドラァグ・クイーンへの偏見(もしくは存在すら知らないこと)から、ドラァグ・クイーンに対するイメージは “kinky” だったはずです。

しかし、この偏見を含んだ “kinky” という単語は、1幕終盤から前向きな意味合いに変わっていきます。

1幕ラスト “Everybody Say Yeah” では、このように歌われるパートがあります。

(Charlie) You can throw out the old way, ‘cause it’s been done.
(Lola) We’re getting ready for the new.
(Charlie) Witness the future of price and son.
(Lola) Owww! Papas got a brand new shoe. A life of broken heels, got you down
(Charlie) Well we’ve got your solution.
(Lola) Get up
(Charlie) Get it on and get in step
(Both) With our kinky revolution

ミュージカル “Kinky Boots” より “Everybody Say Yeah” (作詞:Cyndi Lauper)

会話の内容は、次の通りです。

  • チャーリー:古い過去は捨てよう、だってもうそれは終わったことだから。
  • ローラ:私達は新しい未来へ準備万端。
  • チャーリー:プライス&サンの未来を目撃するんだ。
  • ローラ:あら、パパが新しい靴を手に入れたわ。壊れたヒールで落ち込まないで。
  • チャーリー:僕たちなら解決策を知っているよ。
  • ローラ:立ち上がって。
  • チャーリー:動き出して、踏み出して。
  • 2人:僕たちの “kinky revolution” で。

時代は移り変わっていくことが、前向きに歌われている、このパート。

最後の “kinky revolution” をどう訳すかですが、私は「変態な革命」や「過激な革命」がしっくりくるのではないかなと思ってます。

そして、プライス&サンの未来とはどんなものなのかを、チャーリーは次のように説明しています。

(Spoken) Welcome to our future.
No longer are we making shoes,
We are making two and a half feet of irresitable tubular sexxxx.
So let’s do it

ミュージカル “Kinky Boots” より “Everybody Say Yeah” (作詞:Cyndi Lauper)

言われているのは、次のようなニュアンスです。

  • 僕らの未来へようこそ。
  • 僕たちはもはや靴を作っていくんじゃないんだ。
  • 僕たちが作るのは、2.5フィートの悩殺的ないかしたセックスさ。
  • さあ、始めよう。

“two and a half feet of irresitable tubular sex(2.5フィート/約76.2cmの悩殺的な、いかしたセックス)” とはもちろん、ドラァグ・クイーンの履くブーツのこと。

“tubular” は「筒状・チューブ状の」という意味ですが「いかした、かっこいい」という意味も持ち合わせています。

ブーツ自体が筒状なので「筒状のいかした靴」といったダブルミーニングで使っていると言えますね。

いかがでしたか?

ミュージカル『キンキ―ブーツ(Kinky Boots)』では “kinky” という単語が、あらゆる意味合いで使われています。

タイトルには作品の核が詰め込まれているので、意味を把握して、作品をより深く理解をしていきましょう!

あきかん

それでは皆さん、良い観劇ライフを…

以上、あきかん(@performingart2)でした!

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