“Just Be”で歌われるありのままの姿と多様性の受け止め方

あきかん

こんにちは!

ミュージカル考察ブロガー、あきかん(@performingart2)です。

ミュージカル『キンキーブーツ』より “Just Be” の英語歌詞を見てみると、『キンキーブーツ』の最も伝えたいメッセージと、多様性の受け止め方について歌われていることが分かります。

私達が受け止めるべきメッセージは何で、多様性の受け止め方とはどのようなものなのかみていきましょう。

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「プライス社は実在したのか?」「キンキーブーツは工場を救ったのか?」

そんな疑問を解消しながら、ミュージカル『キンキーブーツ』の魅力に迫る考察本。映画とミュージカルを比較しながら、実話、時代背景、ジェンダーの3視点から作品に切り込んだ1冊です。

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“Just be” の意味

 

“just be” とは「ありのままの姿で」という意味です。

『キンキーブーツ』における、チャーリーとローラのありのままの姿とは、このようなものです。

 

  • チャーリー:老舗の靴工場を守らなければいけない…という殻を破り、自分のやり方で事業を進めていく
  • ローラ:男らしくなければならない…という呪縛を解き放ち、自分のありたい姿で生きていく

 

つまりいずれも、自分に正直に生きるということですね。

チャーリーもローラも父親によって「こうあるべき」を叩き込まれてきましたが、お互いが自分自身と向き合った結果、ドラァグ・クイーン向けの靴を作るという新たな道を切り拓きます

 

『キンキーブーツ』が最も伝えたいのメッセージ

 

『キンキーブーツ』が最も伝えたいメッセージは「自分はどうありたいのか」を常に自問自答して生きていこうということでしょう。

父親から求められる姿、社会的に求められる姿、立場的に求められる姿、性別的に求められる姿…

そういったものを全て取り払って「自分はどうありたいか」を問い、貫き、生き抜いていくということです。

こういったことが “Just Be” のサビでは高らかに歌われています。

 

Just be
Who you wanna be
Never let ‘em tell you who you ought to be
Just be
With dignity
Celebrate yourself triumphantly

―ブロードウェイミュージカル“Kinky Boots”より “Just Be“(作詞:Cyndi Lauper)

 

内容はこうですね。

 

  • ありのままの姿で
  • あなたがありたい姿で
  • あなたがどうすべきかなんて誰にも言わせないで
  • ありのままの姿で
  • プライドをもって生きて
  • あなた自身を誇らしげにたたえて

 

とてもシンプルでストレートな歌詞に涙が出ませんか?

韻を踏みながらも、真逆の意味を対峙させているこの箇所は、特に素晴らしいです。

 

  • wanna be(want to be) … どのようになりたい
  • ought to be … どのようになるべき

 

これを踏まえて、観客に呼び掛けるこの言葉について考えてみましょう。

 

[LOLA] Ladies—

[CHARLIE] —Gentlemen—

[CHARLIE & LOLA] And those who have yet to make up their minds

―ブロードウェイミュージカル“Kinky Boots”より “Just Be“(作詞:Cyndi Lauper)

 

日本語訳では、こうなっていたように記憶しています。

 

  • 紳士淑女、そしてまだどちらか決めかねている皆さん

 

しかしこの表現だと性別のみに着眼し、かつて自分をオープンにすることに後ろめたさを感じていたローラの視点での表現になってしまっています。

これを優柔不断だったチャーリーの視点も含めて訳すと…

 

  • 紳士淑女、そしてまだ自分自身のあり方を決めかねている皆さん

 

となり、作品全体のメッセージとしてしっくりくるのではないかと感じています。

 

(2022/10/4:追記)

このフレーズについて、2022年版から歌詞に変更が入りました。

「どちらか」という表現で男性・女性に2分することなく、あらゆるジェンダーにアプローチできる歌詞になっています。

変更の詳細は、こちらのツイートをご覧ください。

 

 

また、この変更に対して私が考えたことは、こちらのツイートをご覧ください。

 

 

 

多様性を受け入れるために覚えておきたい6つのコト

 

『キンキーブーツ』には、あらゆる価値観の人物が登場しますね。

際立つローラはさることながら、靴工場を守るべきだと考えるチャーリーの父、この先を迷うチャーリー、田舎を出て都会で暮らしたいニコラ、男は男らしくと考えるロンにローラの父…などです。

あらゆる価値観が存在するのは『キンキーブーツ』の中だけでなく、私達が生きる社会でもそう

そんな私達に向けて『キンキーブーツ』は、私達に “Price and Simon secret to success(プライスとサイモンの成功術)” を教えてくれます。

 

One! Pursue the truth
Two! Learn something new
Three! Accept yourself and you’ll accept others too!
Four! Let love shine
Five! Let pride be your guide
Six! You change the world when you change your mind!

―ブロードウェイミュージカル“Kinky Boots”より “Just Be“(作詞:Cyndi Lauper)

 

6つの成功術とは、次の通りです。

 

  1. 真実を追求すること
  2. 新しいことを学ぶこと
  3. 自身を受け入れ、他者も受け入れること
  4. 愛を輝かせること
  5. 誇りを道しるべとすること
  6. 自分が変われば世界は変わる

 

この6つは、全て『キンキーブーツ』の中で実施されていることですね。

シンプルですが、このすべてを行動に移せている方はまだまだ少ないのではないでしょうか?

チャーリーは、元から特別な人間だった訳ではありません。ローラも最初から気高く生きられていた訳ではありません。

自分自身を見つめ、他者の考えを受け入れる努力をしてきたか…が、彼らを大きく変えていきます。

『キンキーブーツ』を観た方なら、きっと視野を広く持てるはず。

是非メッセージを受け止め、「プライスとサイモンの成功術」を行動に移してみてくださいね。

あきかん

それでは皆さん、良い観劇ライフを…

以上、あきかん(@performingart2)でした!