“Sex is in the Heel”に登場する3つのブランド

あきかん

こんにちは!

ミュージカル考察ブロガー、あきかん(@performingart2)です。

ミュージカル『キンキーブーツ(Kinky Boots)』の “Sex is in the Heel” は、物語の中でもポイントとなる1曲です。

ドラァグ・クイーンのローラにとって、靴とは何かをヒールに着眼点を置いて歌っています。

曲名は「性別はヒールの中に存在する」というのが直訳ですが、ローラにとってヒールとは何なのかを、登場する3つのブランドと共に見ていきましょう。


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ヒールは気分を上げるもの

 

性別はヒールの中にこそ存在する(The sex is in the heel)」と歌う、ドラァグ・クイーンのローラ。

 

The sex is in the heel
even if you break it
The sex is in the feel
Honey, you can’t fake it
Jack it up ‘cause I’m no flat tire
Mack it up six inches higher
The sex is in the heel
so just embrace it

―ブロードウェイミュージカル“Kinky Boots”より “Sex Is In The Heel”(作詞:Cyndi Lauper)

 

彼女はヒールをどのようなものだと歌っているのでしょうか?

 

  •  even if you break it … もし(ヒールを)壊してしまったとしても
  •  Honey, you can’t fake it … あなた、それ(その事実)は偽れないのよ
  •  so just embrace it … だから、それ(その事実)を受け入れて

 

ドラァグ・クイーンであるローラは、ヒールこそ自分の性を象徴するものだと歌っているます。

自分の性に対して正直でありたい、それを受け入れて欲しいということに加え、ヒールを壊してしまったとしても自分の性は変わらないということが伝わってきませんか?

また、ここの2フレーズでは、ローラがありたい自分の姿をストレートに表現していることが分かります。

 

  •  Jack it up ‘cause I’m no flat tire … ジャッキで持ち上げて、だって私はパンクしたタイヤじゃないんだから
  •  Mack it up six inches higher … 口説いてみせるわ、6インチ(背が)高くなったら

 

ちなみに、6インチは15.24センチメートル。こんな高いヒール、一生履けない気がします(笑)。

そして、後半で歌われるこのパート。(引用の色付きは、あきかんによる。)

 

The sex is in the heel
Fierce as you can make it
The sex is the appeal
Kinky boys can shake it

Pump it up, pump it up
Till it’s ostentatious
Funk it up, funk it up
It’s contagious
The sex is in the heel so just embrace it

―ブロードウェイミュージカル“Kinky Boots”より “Sex Is In The Heel”(作詞:Cyndi Lauper)

 

ローラは、ヒールはこんなものでもあると歌っています。

 

 

キンキーブーツ(ドラァグ・クイーンの履くぶっ飛んだブーツというニュアンス)は、人目を引き、伝染しやすいとも言っています。

伝染するというのは高揚する気持ちが伝染するといった意味合いでしょうね。

 

スティレットヒールとは?

 

ところで、このパートに見慣れない単語があります。(引用の色付きは、あきかんによる。)

 

From London to Milan
stilettos are an “ism”
in red and neon light
Gimme Jimmy Choo Choo Choo Choo Choo Choo shoes
The New York, Paris, Hong Kong
Live it like an ism
Seduction amplified
The heel is the transmission

―ブロードウェイミュージカル“Kinky Boots”より “Sex Is In The Heel”(作詞:Cyndi Lauper)

 

“stilettos” は、日本語にすると「スティレットヒール」というそう。

 

スティレットヒール(stiletto heel,スチレットヒール)とは、かかとが細く尖たシューズ、またヒール。同じように使われる言葉としてピンヒールがある。 スティレットとはもともと短剣の一種で、ヒールが剣のように細長いことからその名前がつけられたと言われている。

スティレットヒール(FASHION PRESS)

 

もともと、スティレットは次のような意味があるようです。

 

  •  stilettos …  (先の細くとがった)小剣、錐刀(すいとう)

 

かかとが尖って小剣のようなので、そういったヒールの名前が付いたんですね。日本語ではピンヒールの方が馴染み深いのではないでしょうか?

またローラは、このスティレットヒールを “ism” だと表現しています。

“ism” は単語の語尾につけることで「〇〇主義」や「〇〇の特性」といった意味合いを表現する接尾語です。

例えばこんなものがあります。

 

  •  capitalism … 資本主義
  •  modernism … 近代主義
  •  optimism … 楽観主義
  •  egoism … 自己中心主義
  •  heroism … 英雄的資質(特性)
  •  Buddhism … 仏教(特性)

 

ローラがここで歌っていることは、ヒールとは自身の「主義」や「特性」を象徴するものだということです。

ヒールこそが、ローラのアイデンティティなんですね。

 

 

登場する3つのブランド

 

ヒールは “seduction(性的に誘惑すること、魅力)” だと歌うローラ。

Sex is in the Heel” の曲中には、3つのブランドが登場します。

 

ジミーチュウ(Jimmy Choo)

 

1つ目はジミーチュウ(Jimmy Choo)です。

“Gimme Jimmy Choo Choo Choo Choo Choo Choo shoes(私にジミーチュウの靴をちょうだい)” と歌っていますね。(引用の色付きは、あきかんによる。)

 

From London to Milan
Stilettos are an ism, in red and neon life
in red and neon light
Gimme Jimmy Choo Choo Choo Choo Choo Choo shoes

―ブロードウェイミュージカル“Kinky Boots”より “Sex Is In The Heel”(作詞:Cyndi Lauper)

 

「靴といったらジミーチュウ」というイメージを持っている方も少なくないのではないでしょうか。(引用の色付きは、あきかんによる。)

 

「ジミーチュウ」(JIMMY CHOO)は、マレーシア出身の同名の靴職人とイギリス版『ヴォーグ』誌の編集者タマラ・メロンの共同創始による、1996年設立のイギリス発のファッションブランド。高級婦人靴やバッグをはじめ、サイフやサングラスなどの製品を展開、大英帝国勲章や数多のファッション賞を受けてきたほか、ダイアナ元皇太子妃など世界中のセレブリティに愛好されてきたことからも著名で、テレビドラマや映画などにも多く登場している。

ジミーチュウ(wikipedia)

 

ジミーチュウの靴の一部を見てみましょう。

 



 

なかなかパンチがあって好きですよ。

 

マノロブラニク

 

2つ目はマノロ ブラニク(Manolo Blahnik)

ここではマノロと省略されていて、 “Won’t go nowhere without m-m-my Manolos(私のマノロなしではどこにも行かない)”と歌っています。(引用の色付きは、あきかんによる。)

 

From London to Milan
Feed that chic hot feeling
In red and neon life
Won’t go nowhere without
M-m-my Manolos

―ブロードウェイミュージカル“Kinky Boots”より “Sex Is In The Heel”(作詞:Cyndi Lauper)

 

マノロブラニクとは、どのようなブランドなのでしょうか?(引用の色付きは、あきかんによる。)

 

マノロ ブラニク(Manolo Blahnik)はイギリスのシューズブランド。目打ち錐のように先のとがった靴で常に細く高いヒールが特徴なスティレットヒールにリボン、ビーズなどを組み合わせたコレクションが目を引く。セクシーでカラフル、エレガントさを待ち合わせたデザインが特徴。(スティレットヒールと言う点ではセルジオ ロッシと同様だがマノロ・ブラ二クのほうが装飾が特徴的なイメージ、逆にセルジオロッシは素材が特徴的)

マノロ ブラニクについて(FASHION PRESS)

 

マノロブラニクの靴の一部を見てみましょう。

 

スティレットヒールが際立つ靴ばかりですね!

 

プラダ

 

3つ目はプラダ(Prada)

“Gotta lotta p-p-p-p-p-p-Prada(沢山のプラダを持ってるわ)” と歌っています。(引用の色付きは、あきかんによる。)

 

From London to Milan
Stilettos are an ism
In red and neon life
Gotta lotta p-p-p-p-p-p-Prada

―ブロードウェイミュージカル“Kinky Boots”より “Sex Is In The Heel”(作詞:Cyndi Lauper)

 

プラダについても見ておきましょう。(引用の色付きは、あきかんによる。)

 

プラダ (Prada S.p.A.) は、イタリアを代表する高級ファッションブランドを展開するアパレル企業である。ミラノに本社を置く。プラダ(レディース・メンズ)のほか、ミュウミュウ(レディース)を展開している。いずれもデザイナーは創業家3代目のミウッチャ・プラダ。自社ブランド以外に、イギリスの靴メーカー チャーチ、CAR SHOEを傘下におく。かつてはジル・サンダー、ヘルムート・ラングも傘下にあった。

プラダ(wikipedia)

 

他2つはイギリス発祥のブランドでしたが、プラダのみイタリアです。

ブランドが登場するフレーズには必ず “From London to Milan(ロンドンからミラノへ)” と、イギリスとイタリアの都市が登場しますから、登場するブランドもまた、それぞれの国のハイブランドになっていますね。

プラダの靴の一部を見てみましょう。

 

こうやってみると、靴ってとても刺激的ですね。

ローラが靴ではなく、ヒールに着眼点を歌うこの曲、とても好きです。セクシーで、パンチが効いていて、パッションがある!

ご観劇の際は、是非足元に情熱を…。

あきかん

それでは皆さん、良い観劇ライフを…

以上、あきかん(@performingart2)でした!

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