ザズの朝の報告、英語版は超難解なギャグだった②

劇団四季ミュージカル『ライオンキング(The Lion King)』より「朝の報告(The Morning Report)」の英語歌詞を見てみると、ザズが早口で朝の報告をしていることが分かります。

日本語ではおやじギャグのようになっていますが、英語はかなり難解なギャグ。高度な内容ですが、1つずつ解説していきますのでついてきてくださいね。

 

朝の報告(The Morning Report)」は、動物に対する印象が異なる点が最大の違いです。

 

他言語のジョークを理解することほど難しいことはありませんが、分かると二重の楽しみが味わえますよ!

※前半をお読みでない方は、先にこちらをご覧ください。

 

Music from the Musical・作品名:ライオンキング(The Lion King)
・曲名:朝の報告(The Morning Report)
・訳詞:浅利慶太(作詞:Elton John and Tim Rice)
・楽譜:The Morning Report
アルバムを視聴/楽譜 ・アルバム(日本語):ライオンキング
・アルバム(英語):The Lion King
・楽譜:

 

歌詞の比較

日本語

 

まずは日本語を見てみましょう。

 

バッファローは今年の草に
評価はがっかり

イボイノシシのすごい
オナラで あたりはガス中毒

フラミンゴはダンスを
ピンクのドレスで
今朝から特訓中

サフラン色の黄色の絨毯
只今 制作中
朝から言うのも何ですが
気がつきゃカバの落とし物

チェックをしてみりゃ
フンコロガシがクソまみれ

―劇団四季ミュージカル 『ライオンキング』 より 「朝の報告」(訳詞:浅利慶太)

 

英語

 

では英語はどうでしょうか?

 

The buffalo have got a beef
About this season’s grass
Warthogs have been thwarted
In attempts to save their gas

Flamingoes in the pink
Chasing secretary birds

Saffron is this season’s color
Seen in all the herds
Moving down the rank and file
To near the bottom rung

Far too many beetles are
Quite frankly in the dung

―ブロードウェイミュージカル “The Lion King” より “The Morning Report” (作詞:Elton John and Tim Rice)

 

登場する動物

日本語

 

ジョークの中で使われる言葉が、動物の名前にかけていたり、鳴き声にかけていたりするのが日本語です。

 

・ バッファロー … がっかり(バッファローの音の響きとかけている?)

 

・ イボイノシシ … オナラ

 

・ フラミンゴ … ピンク

 

・ カバ … 落とし物(フン)

 

・ フンコロガシ … くそまみれ

 

今回は前回と比べてちょっと下品な言葉が多いですね(笑)。

「サフラン色の~」の部分だけは動物ではないですが、これはこのサバンナの大地のことを言っているのだと考えられます。

 

英語

 

では英語はどうなっているのでしょうか?

 

・ buffalo(バッファロー) … have got a beef

 

・ Warthogs(イボイノシシ) … gas

 

・ Flamingoes(フラミンゴ) … in the pink

 

・ beetles(フンコロガシ) … dung

 

これだけ見ると「何のこと?」と思われるでしょう。

分かるのは、登場している動物がほとんど一緒だということだけ。

では、どういう内容になっているのでしょうか?

 

 

ジョークの解説

バッファロー

 

“The buffalo have got a beef”

 

“grass” は「草」ですから、今季の草(this season’s grass)について何か言っていると検討がつきます。

分からないのは “have got a beef” の部分で、これを「牛肉を持っている?」と訳してしまうと、なんのことだかさっぱり分からない文章になってしまう訳です。

しかし “have a beef with ~” には「~について不満・苦情がある」という意味があるので、このようになります。

 

・ 表の意味:バッファローは不満があります

 

・ 裏の意味:バッファローは牛肉を持っています(ウシなだけに)

 

日本語では「バッファローは今年の草に/評価はがっかり」とありますから、意味は同じですね。

しかしバッファローは草の何に不満がっているのでしょうか?

 

イボイノシシ

 

“Warthogs have been thwarted/In attempts to save their gas”

 

ここは、難しい単語が2つありますね。

 

・ thwarted … 妨害、邪魔する、~に反対する

 

・ attempts to … ~するよう試みる

 

イボイノシシは何かをするために「邪魔をした」ということが分かります。

では何をするために邪魔をしたのかというと “save their gas” ですから「オナラを蓄えられるように…」ということです(笑)。

しかし、これでは「オナラを蓄えるために、何を邪魔した」のかが分かりません。

…と、ここでピンと来ました。あ、もしかして…バッファロー!?

バッファローもイボイノシシも草食動物ですよね。ということは、同じような草を食べているはずです。

「オナラを蓄える」には沢山ご飯を食べなければいけないので、草を沢山食べている。バッファローが食べる分も横取りするくらい蓄える食べていると想像がつきます。

つまり、バッファローとイボイノシシの話はつながっていて「バッファローはイボイノシシが草を沢山食べすぎて邪魔をしていくので、不満を言っている」という訳です。

そして、イボイノシシは草を食べたところで、臭いオナラしかしないじゃないか!という皮肉を交えたのが「オナラを蓄える」に含まれているのでしょう。

はー、そういうことか。何だかとってもスッキリした!…て、何の解説を一生懸命にやっているんだ、私は(笑)。

 

 

フラミンゴ

 

“Flamingoes in the pink”

 

このまま読むと「フラミンゴはピンク色」と、かなり当然のことを報告しているように思えますよね。

しかし、ここのフレーズのミソは “in the pink” にを理解すること。「とても元気/健康で」という意味がありますから、こうなります。

 

・ 表の意味:フラミンゴはピンピンしています

 

・ 裏の意味:フラミンゴはピンク色です(フラミンゴなだけに)

 

ピンピンしたフラミンゴが何をやっているのかというと、ショキカンチョウを追いかけまわしているようですよ。

 

サフラン色

 

“Saffron is this season’s color/Seen in all the herds”

“Moving down the rank and file/To near the bottom rung”

 

ここは動物ではないですが、ジョークになっているので引き続き見ていきましょう。

日本語では「サフラン色の黄色の絨毯/只今 制作中」となっているパートです。

“this season’s color” は「今季(流行り)の色」という意味で、 “the herds” は「下層民、群衆」という意味だそうです。

“herds” だけであれば「動物の群れ」という意味になりますが、 “the” がつくことで軽蔑的な意味が含まれるようになるんですね。

もしかしたら、 “the” にそこまで深い意味を持った歌詞ではないかもしれません。

しかし、ここは皮肉を言っているのだと仮定すると、このような意味になります。

 

・ 下層民の間では、サフラン色が流行っているようです

 

サフラン色は草のないエリアの地面を表しており、そこに住んでいる者は低俗だ…といっているのではないでしょうか。

つまり、スカーやハイエナ達のことを暗に指しているのではないかなと思いました。

というのも、続くフレーズの “rank and file” や “bottom rung” に、これらの意味があったからです。

 

・ rank and file … 平社員の、庶民、一般大衆の

 

・ bottom rung … 最下層

 

つまりここのフレーズはこんな皮肉交じりなフレーズだと想像できます。

 

・ Saffron is this season’s color/Seen in all the herds … 最下層の民の間では、サフラン色が流行っているようです

 

・ Moving down the rank and file/To near the bottom rung … 一般庶民からなり下がった、最下層民の間では

 

…え?

皮肉が怖い…。軽蔑が激しい…。

ザズが今いる地位へのプライドと下層民を毛嫌いする空気が、ひしひしと感じられますね。

 

フンコロガシ

 

“Far too many beetles are/Quite frankly in the dung”

 

“beetle” は「カブトムシ」であると同時に、甲虫類全般を指す単語です。

直訳するとこうなります。

 

・ あまりにも多くの甲虫が、明らかに糞まみれになってしまっています

 

日本語では「チェックをしてみりゃ/フンコロガシがクソまみれ」となっていますから、ここで言う「甲虫」とはフンコロガシのことでしょう。

 

…とここでシンバの飛びつきにより、モーニング・レポートは終了します。

いかがでしたか?

なかなか難解なザズのモーニング・レポートですが、意味が分かってすっきりした方も多いと思います。

ムファサとシンバの動向が気になるシーンでもありますが、是非ザズの報告にも耳を傾けてみてくださいね。

 

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