劇団四季ミュージカル『ライオンキング(The Lion King)』より「シャドウランド(Shadowland)」の英語歌詞を見てみると、ところどころにアフリカのズールー語歌詞が入っています。
出来ればズールー語の歌詞も含めて理解をしたいという方のために1つずつ調べましたので、一緒に見ていきましょう。
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ズールー語とは?
「シャドウランド(Shadowland)」。
『ライオンキング』の曲の中でも、人気の高い曲の1つではないでしょうか?
我が故郷のために、土地を離れ前に進もうとするナラ。
別れや悲しさよりも、彼女のぶれない意志と、故郷の支えを強く感じられるのがこの曲でしょう。
今回は、世界観を際立たせているズールー語パートだけ抜き取って解説していきます。
この歌が歌われている言語「ズールー語」についての詳しい説明は、次の記事に記載しておりますので、併せてご覧くださいね。
ズールー語の歌詞の意味
今回お世話になったのは、LYRICS TRANSLATEという英語のサイトです。
フランス語版の歌詞を英語に訳しているサイトなのですが、その過程でズールー語パートも英語に訳されていたので、これを参考に内容を解釈していきましょう。
ナラの故郷
まず、この曲の冒頭部分です。
Fatsche leso lea halalela(The land of our ancestors is holy)
Fatsche leso lea halalela(The land of our ancestors is holy)―ブロードウェイミュージカル “The Lion King” より “Shadowland” (作詞:Hans Zimmer, Lebo M, and Mark Mancina
“The land” は「この大地(国)」。
このパートではナラの故郷であるプライドロックがイメージ出来るでしょう。
“our ancestors” は「我々の先祖」で、彼らの国・プライドロックで死んでいったライオン達の先祖を指していると考えられます。
そして “holy” は「神聖な」という意味がありますから、 “Fatsche leso lea halalela” は「この国の、我々の先祖は神聖だ」という意味になります。
ただ「神聖」という言葉はピンとこないので、ここは「この国の、我々の先祖は尊い」といったようなニュアンスでとらえられれば十分です。
中盤でコーラスがナラのバックで歌う歌詞の中には次の2種があります。これは、先程のフレーズを二分したものですから、意味は同じです。
Lea halalela(Is holy)
―ブロードウェイミュージカル “The Lion King” より “Shadowland” (作詞:Hans Zimmer, Lebo M, and Mark Mancina
Fatsche leso(Our land)
―ブロードウェイミュージカル “The Lion King” より “Shadowland” (作詞:Hans Zimmer, Lebo M, and Mark Mancina
故郷への約束
そして、この曲の最後ではこう締めくくられています。
Giza buyabo(I will be back)
Besu bo(I will be back)―ブロードウェイミュージカル “The Lion King” より “Shadowland” (作詞:Hans Zimmer, Lebo M, and Mark Mancina
日本語版でも、この曲のクライマックスで「戻ってくるわ」と歌っていますが、ズールー語で言うとこういうフレーズになるのですね。
曲の最後にこのフレーズを持ってくることで、「戻ってくる、必ず戻ってくるから」という、去り際のナラの強い心を感じられることが出来、目頭が熱いです…。
ズールー語に含まれる2重の意味
意味だけを理解するならばこれで以上ですが、果たしてこれらの歌詞がこの場面のことだけを歌っているのかどうか…という点を改めて考えてみましょう。
実際、ムファサが亡くなる前のシーンでも、ムファサがシンバに「先祖(偉大なる王たち)が空から見守ってくれている」という話しをしているので、 “our ancestors” がライオンの先祖だと考えること自体は間違っていないと思います。
しかし、今まで調べたズールー語には全て、過去のアフリカの歴史の背景を含んだ歌詞構成になっているということが分かっています。
そう考えるとこの歌詞も同じだと言えないでしょうか?
アフリカの大地で亡くなっていった尊い祖先たち。
彼らは神聖であり、自分たちの誇りだ…自分は今からこの土地を去るが、必ず祖先たちのいる大地に戻ってくる…というニュアンスが含まれているように感じて仕方ないのです。
是非そういうことを感じながら歌詞を見てみて下さい。
他のズールー語もチェックしよう
また、ズールー語といえば、全ての歌詞がズールー語で歌われている「ワン・バイ・ワン(One by One)」が印象的でしょう。
この歌詞の意味を知らずして『ライオンキング』は語れません!是非併せてお読みください。
「シャドウランド(Shadowland)」の、他の記事はこちらから。
それでは皆さん、良い観劇ライフを…
以上、あきかん(@performingart2)でした!
こんにちは!
ミュージカル考察ブロガー、あきかん(@performingart2)です。