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ハミルトンの野心溢れる自己紹介とその内容

ミュージカル『ハミルトン(Hamilton)』より“My Shot”の英語歌詞を見てみると、ハミルトンが自分自身を周囲に紹介しているシーンがあると分かります。

自己紹介というよりも演説に近い彼のソロから、彼の過去、現在、そして目指す場所を知りましょう。

【ブロードウェイミュージカル“Hamilton”/“My Shot”/作詞:Lin-Manuel Miranda】

この曲はハミルトンの野望(my shot)を歌った曲で、ハングリー精神が旺盛な曲になっています。

何度も繰り返されるフレーズにその全てが凝縮されているので、まずはそのフレーズの意味を理解してくださいね。詳しくはこちらにまとめてありますのでご覧ください。

 

頭脳

アメリカの独立に向けて、自分がいかに有力な人物であるかを示しながら鼓舞しているのがこのパートです。

 

I’mma get scholarship to King’s College
I probably shouldn’t brag, but dag, I amaze and astonish
The problem is I got a lot of brains, but no polish
I gotta holler just to be heard
With every word I drop knowledge
―ブロードウェイミュージカル “Hamilton” より “My Shot”(作詞:Lin-Manuel Miranda)

 

次のように改行し直すと、意味を理解しやすいですよ。

 

  • I’mma get scholarship to King’s College
  • I probably shouldn’t brag, but dag, I amaze and astonish
  • The problem is I got a lot of brains, but no polish
  • I gotta holler just to be heard with every word I drop knowledge

 

King’s College(キングズカレッジ)は現在のコロンビア大学のことで、“scholarship”は「奨学金」です。貧しかったハミルトンは、「キングズカレッジに入学するために奨学金を獲得するぞ!」と歌っているんですね。ちなみに“I’mma”とは、“I am going to”の略ですよ。

“I probably shouldn’t brag”は「自慢するべきではないんだろうけど」という意味です。“amaze”も“astonish”も「びっくりさせる、驚かせる」という意味ですから、「自慢するべきじゃないんだろうけど、俺は皆を驚かせることが出来る」と歌っています。彼の自信が伺えますね。

しかし“the problem is”とあるので、100%の自信ではないということが分かります。それは“I got a lot of brains, but no polish(沢山の頭脳はあるが、磨かれていない)”ということです。キレ者の彼ではありますが、洗練されていないがために彼の持つ能力を発揮しきれていないのが問題だという訳です。

そのためどうしているか…彼はこう続けています。

“I gotta holler(俺は叫ばなきゃいけない)”、“just to be heard(ただ聴いてもらうために)”、“every word I drop knowledge(言葉の1つ1つに知識を落とし込みながら)”。つまり、知識が洗練されている人と比較した時に、彼は洗練されていなかったが故に彼は主張をする時に声を大にして話さなければならなかったし、知識をひけらかさなければいけなかったということを歌っているのです。周囲に必死に食らいついていくハミルトンの姿を容易に想像できますよね。

 

話す力

先ほどのブロックに“I got a lot of brains, but no polish(沢山の頭脳はあるが、磨かれていない)”という表現がありましたが、次のブロックでもハミルトンは同じようなことを別の表現でしています。

 

I’m a diamond in the rough, a shiny piece of coal
Tryin’ to reach my goal, my power of speech: unimpeachable
Only nineteen, but my mind is older
―ブロードウェイミュージカル “Hamilton” より “My Shot”(作詞:Lin-Manuel Miranda)

 

1行目の部分ですね。

 

  • I’m a diamond in the rough…俺はダイアモンドの原石だ
  • (I’m a)a shiny piece of coal…(俺は)光輝く石炭のひとかけらだ

 

ここで彼が伝えたいのは、磨けば誰にも負けない輝きを放つことが出来るということです。ダイアモンドと石炭の成分は同じですから、「石炭のひとかけら=ダイアモンドの原石」というニュアンスととって良いかと思いますが、ダイアモンドになる素質があるということを2通りの方法で歌っているといって良いでしょう。

続けて、彼は自分自身をこのように自己分析しています。

 

  • Tryin’ to reach my goal
  • my power of speech: unimpeachable
  • Only nineteen, but my mind is older
  • The plan is to fan this spark into a flame

 

“tryin’ to reach my goal”は「自分の目標を達成するために突き進んでいる」です。

“my power of speech”は「弁口」、言い換えれば「話す力、スピーチ力、演説力」のことです。それを彼自身がどう評価しているかというと“unimpeachable(非の打ち所がない)”、つまり「俺は弁が立つ」と歌っているんですね。

その上で、“Only nineteen, but my mind is older(たった19歳だが、精神はずっと大人)”と自覚し、これはこのブロックの最後に出てくる表現ですが「自分の計画は火花を煽って炎にすることだ(The plan is to fan this spark into a flame)」と明言していますから、大したものです。

 

 

貧しさ

はぁー、なんと自信家なこと!…と思いますが、そんな彼にも背負うものがありました。それが“ev’ry burden”、“ev’ry disadvantage”以降で歌われています。

 

These New York City streets getting colder, I shoulder
Ev’ry burden, ev’ry disadvantage
I have learned to manage. I don’t have a gun to brandish
I walk these streets famished
The plan is to fan this spark into a flame
―ブロードウェイミュージカル “Hamilton” より “My Shot”(作詞:Lin-Manuel Miranda)

 

整理するとこうなります。

 

  • I shoulder ev’ry burden, ev’ry disadvantage I have learned to manage
  • I don’t have a gun to brandish
  • I walk these streets famished

 

“ev’ry”は“every”の略、それに続く単語はそれぞれ「重荷、苦しみ」、「不利な立場」です。貧しく、両親も亡くした彼には自分に引け目を感じる部分があったことでしょう。しかしそんな彼も“I have learned to manage(それらとの上手い付き合い方を学んだ)”と言っていますから、精神的に大人になったことも伺えます。

“brandish”は「振り回す」という意味で、“famished”は「飢えて」です。従って、続く2行は「俺は得意げに振り回すことのできる銃なんて持ってやいないし、空腹状態でこの町の通りを歩く」という意味になります。ハミルトンがいかに貧しく、何も持ち合わせないことが分かります。

でも、外見はそうでも中身はまるで逆。闘志に満ち満ちていて、頭脳明晰なのがハミルトンの強みでしたよね。

 

名前

そしてここまで自己紹介した彼は、周囲に自分の名前を伝えます。

 

But damn, it’s getting dark, so let me spell out my name
I am the—

HAMILTON, LAFAYETTE, MULLIGAN, LAURENS:
A-L, E-X, A-N, D
E-R—we are—meant to be
―ブロードウェイミュージカル “Hamilton” より “My Shot”(作詞:Lin-Manuel Miranda)

 

But damn, it’s getting dark, so let me spell out my name”は「それにしても、あぁもう暗くなってきてきたから、俺の名前を言わせてくれ」といったニュアンスです。「今日は俺の名前でも覚えて帰ってくれよ!」とでも言いたげですね。“spell out”は「綴りを言う」ことを指しているので、ラファイエット、ムリガン、ローレンスも“Alexander”の綴りを1つずつ声に出しているのです。

ちなみに“we are ment to be”とは「私たちはなるべくしてこうなった」という意味になります。例えば、恋愛のシーンでこの表現が成された場合には「私たちは出会うべくして出会った」「運命が私たちを引き合わせた」というようなニュアンスになります。ここでは「俺たちは出会うべくして出会った」でしょう。

ハミルトンの自己紹介はいかがでしたか?自分の強みを前面に押し出しつつも、彼の持っていなかったものや、未だ発展途上であることを歌っているところに人間味と強い向上心を感じることができますね。

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