“Here but for the grace of God go you” とは

あきかん

こんにちは!

ミュージカル考察ブロガー、あきかん(@performingart2)です。

東宝ミュージカル『レント(RENT)』より “Christmas Bells” の英語歌詞を見てみると、 “Here but for the grace of God go you” というフレーズがあります。

使われている単語はそう難しくありませんが、意味の解釈が難しそうです。どういう意味なのでしょうか?


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台詞のおさらい

 

歌詞を見ていただくと2行目にそのフレーズがありますね。

 

ALL FIVE HOMELESS:
Can’t you spare a dime or two
Here but for the grace of God go you
You’ll be merry
I’ll be merry
Tho merry ain’t in my vocabulary
No sleighbells
No Santa Claus
No yule log
No tinsel
No holly
No hearth
No

―ブロードウェイミュージカル “RENT” より “Christmas Bells” (作詞:Jonathan Larson)

 

ウェブで検索してみましたが、これと全く同じフレーズは検索できませんでした。一体どういう意味なのでしょうか?

 

似ているフレーズ

“There, but for the grace of God, go I” とは?

 

フレーズを検索する中で “Here but for the grace of God go you” に非常によく似た表現にこのようなものがありました。

 

  • There, but for the grace of God, go I

 

歌詞に書かれているフレーズとは赤色の部分だけが異なります。この意味がどういうものなのかというと、次の通りです。

 

 

意味

 

どういう時に使うフレーズなのかが英語で説明があったので紹介します。

 

1.A recognition that others’ misfortune could be one’s own, if it weren’t for the blessing of the Divine, or for one’s luck.

2.Humankind’s fate is in God’s hands.

3.More generally, our fate is not entirely in our own hands.

There, but for the grace of God, go I(Wiktionary)

 

要点だけ押さえるとこうです。

 

  1. 不幸や幸運が神の仕業でなければ説明がつかないということ
  2. 人間の運命は神の手に委ねられているということ
  3. 一般的に、運命は自分たちの手だけにあるというわけではないということ
  4. There, but for the grace of God, go I(Wiktionary)

 

つまり、「運命というのは説明がつかないもので、神の仕業としか説明できない時がある」という状況で使ったり、「運命は自分でコントロールできるものではない」という時に使ったりするフレーズなんですね。

先に日本語訳を「神様のおかげがなければそうなっていた」と紹介しましたが、これは不幸があったのに奇跡的に助かった…というような時の意味になるでしょう。

 

“Here but for the grace of God go you” とは?

 

では “There, but for the grace of God, go I” はどう解釈したら良いのでしょうか?仮に、先の訳をベースに考えてみると次のようなフレーズになると考えられます。

 

  • There, but for the grace of God, go I … 神様のおかげがなければ、(私は)そうなっていた

 

” , ” の内側 “but for the grace of God” の部分が「神のおかげがなければ」で、 ” , ” の外側 “There go I” が「私はそうなっていた」でしょう。

しかし、『レント』では ” , ” の外側だけ言い換えられているので、訳すとしたらこうなります。

 

  • Here but for the grace of God go you … 神様のおかげがなければ、(あなたは)こうなっていた

 

意味、分かりますか?

つまりホームレスは “There, but for the grace of God, go I” という慣用句を文字ってこういうことを言っているんです。「(あなたには神のご加護があったから不幸ではないが)、神のご加護がなければ私のように(不幸に)なっていた」

つまり、「あなただって、私のようになるかもしれない」「明日は我が身だ」ということを言っているのです。

このフレーズの直前が “Can’t you spare a dime or two(1、2ダイムも惜しむのかい?)” ですから、お金を恵まない人に対してこの言葉を向けているんですね。1ダイムとは10セントで10円ほど。そういうお金を惜しんで、自分とは関係ないことのように思っているかも知れないけれど、明日は我が身なんだぞ…ということを主張しています。

いかがでしたか?とても奥が深く、痛烈な1フレーズではなかったでしょうか?これを機に、一度ホームレスやお金の価値について考えてみても良いですね。

 

あきかん

それでは皆さん、良い観劇ライフを…

以上、あきかん(@performingart2)でした!