u/s、standbyとは?PLAYBILLの見方を『ハミルトン』で解説

ブロードウェイの劇場で手渡される冊子PLAYBILL(プレイビル)。

冊子のほとんどがブロードウェイ関係の宣伝・紹介記事ですが、真ん中あたりキャスト紹介があります。

それが “WHO’S WHO IN THE CAST(直訳:キャストの誰が誰なのか)” というコーナーです。

今回は、私が『ハミルトン(Hamilton)』を観た時にもらった PLAYBILL を元に、キャスト紹介の見方を説明していきますよ。

キャストの紹介

ベテラン

“WHO’S WHO IN THE CAST” はアルファベット順や配役順並んでいるのではなく、どうやら実績のあるベテラン俳優順に並んでいるようでした。

私が当日もらったPLAYBILLでは、アーロン・バー役のDANIEL BREAKERから始まっていました。

記載されていた内容は以下の通りです。

DANIEL BREAKER(Aaron Burr). Broadway:The Book of Mormon, The Performers, Shrek: The Musical (Drama Desk nomination), Passing Strange (Tony Award nomination, Drama Desk nomination, Theatre Workd Award, AUDELCO Award), Cymbeline, Well. Fim:Sisters, Limitless, He’s Way More Famous Than You, Redhook Summer,(dir. Spike Lee), Passing Strange(dir. Spike Lee). Television: “Unbreakable Kimmy Schmidt”,  “Mozart in the Jungle”, “Unforgettable”, “Law & Order: Criminal Intent”.

―PLAYBILL/RICHARD ROGERS THEATRE (2018.3.10配布分)

書いてあるのは、主に今までどのような役をやってきたのかといった実績ですね。

頭から順に説明していきましょう。まず、名前の部分はそれぞれこうなります。

・ DANIEL BREAKER … 役者の名前

・ (Aaron Burr) … 作品内での配役

そして次に “Broadway(ブロードウェイ)” 、 “Film(映画)” 、 “Television(テレビ)” に出演した作品の名前が続いています。

Daniel Breaker の場合は、次の作品に出ているということですね。

※( )内は獲得した賞や監督の名前が書いてあります。

・ Broadway(ブロードウェイ)
The Book of Mormon
The Performers
Shrek: The Musical (Drama Desk nomination)
Passing Strange (Tony Award nomination, Drama Desk nomination, Theatre Workd Award, AUDELCO Award)
Cymbeline
Well

・ Film(映画)
Sisters
Limitless
He’s Way More Famous Than You
Redhook Summer(dir. Spike Lee)
Passing Strange(dir. Spike Lee)

・ Television(テレビ)
Unbreakable Kimmy Schmidt
Mozart in the Jungle
Unforgettable
Law & Order: Criminal Intent

DANIEL BREAKER は、ふつふつと湧き上がるハミルトンへの嫉妬を抑えながら対応する演技が、ものすごく良かったです。

2役行う場合

ハミルトン、アーロン・バー、アンジェリカのように1人1役の場合もあれば、ペギー・スカイラーとマリア・レイノルズのように1人で2役行うこともあります。

そういう場合は、このように書かれています。

JOANNA A.JONES(Peggy Schuyler/Maria Reynolds). (以下略)

―PLAYBILL/RICHARD ROGERS THEATRE (2018.3.10配布分)

つまりこういうことですね。

・ JOANNA A.JONES … 役者の名前

・ (Peggy Schuyler/Maria Reynolds) … 作品内での配役。2役以上行う場合、配役名を「 / 」で区切っている

JOANNA A.JONES の1幕のペギーはとってもお茶目でおてんばなのに、2幕でマリアになると一変。

妖艶さ、色気、そして儚さ…そういうものを一度に出してきます。本当に美しいマリアを見ることができました!

他にも1人2役には、こういった役がありますよ。

・ Marquis de Lafayette/Thomas Jefferson … ラファイエット/トマス・ジェファーソン

・ Hercules Mulligan/James Madison … ムリガン/ジェームズ・マディソン

・ John Laurens/Philip Hamilton … ローレンス/フィリップ・ハミルトン(ハミルトンの息子)

新人

新人の場合はこういった感じで書かれています。

RODDY KENNEDY(Swing). Broadway debut! (中略) Thanks to God and my amazing family, friends and all my teachers. @Roddy_Rodiddy

―PLAYBILL/RICHARD ROGERS THEATRE (2018.3.10配布分)

役者名と配役の後ろに “Broadway debut! (ブロードウェイ・デビュー!)” と書かれています。これを読むと、新人だと分かりますね。

新人の場合は今までの出演作に続いてメッセージとツイッターアカウントを入れるのが通例のようです。

RODDY KENNEDY の場合はこうなっています。

・ Thanks to God and my amazing family, friends and all my teachers … メッセージ(訳:神と素晴らしい家族、友達そして全ての先生方に感謝します。)

・ @Roddy_Rodiddy … ツイッターアカウント

代役が分かる用語

u/s

PLAYBILLを見ていると、ところどころに「u/s」という表示が出てきます。これはどういう意味なのでしょうか?

LAUREN BOYD(Ensemble, u/s Peggy/Maria). Broadway debut! National tours: Wicked(Ensemble), West Side Story(Begecita, us/ Consuela). (以下略)

―PLAYBILL/RICHARD ROGERS THEATRE (2018.3.10配布分)

まず、今まで通りの見方でいうとこうなります。

・ LAUREN BOYD … 役者の名前

・ (Ensemble) … アンサンブル

なので、LAUREN BOYD は今回アンサンブルだったということが分かります。

しかし、Ensemble に続いて u/s Peggy/Mariaと書いてありますよね。これはこういう意味なのです。

・ understudy Peggy/Maria … Peggy/Maria の代役

understudyとは「代役」という意味ですが、具体的には「主役・準主役が出演できなくなった時に代役を務めるアンサンブル」を指します。

プリンシパルの代役。プリンシパルが体調不良や諸事情により出演できないときに主役や準主役の代役として出演する人のことを指します。アンサンブルがこの役割を兼ねる事が多いです。

ブロードウェイ専門用語まとめ(あっとブロードウェイ)

standby

一方、standbyという表現もあります。

ANDREW CHAPPELLE(Standby for Aaron Burr, Lafayett/Jefferson, Mulligan/Madison, Laurens/Phillip, King George)

―PLAYBILL/RICHARD ROGERS THEATRE (2018.3.10配布分)

これは、こういう意味です。

・ ANDREW CHAPPELLE … 俳優の名前

・ Standby for Aaron Burr, Lafayett/Jefferson, Mulligan/Madison, Laurens/Phillip, King George … Aaron Burr, Lafayett/Jefferson, Mulligan/Madison, Laurens/Phillip, King Georgeの代役

standbyには「いざという時に頼りになるもの、(非常時用)交替要員」という意味があることから「公演中に突然プリンシパル・キャスト(予定していたキャスト)に何かあった場合に、すぐに代役として舞台に立てる俳優」を指しています。

プリンシパルの代役。アンサンブルの役はカバーせずに、プリンシパルの役のみカバーします、プリンシパルが不在のときのみ出演します。不測の事態に備えて、毎公演劇場にいる必要があります。

ブロードウェイ専門用語まとめ(あっとブロードウェイ)

つまりANDREW CHAPPELLEは、メインとなるキャストの代役はいつでもできるということなんですね。すごい…。

PLAYBILLを読むと、1人の俳優が別の役をやっているところも想像できるので、新たな楽しみ方ができますよ。

是非、こういうところにも注目しながら読んでみて下さいね。

この投稿をInstagramで見る

akikan(@love_performing_art2)がシェアした投稿

ブロードウェイで『ハミルトン(HAMILTON)』を観てみたいけど、英語が不安…。そんな方は日本語でチケット予約ができる【VELTRA(ベルトラ)】をご利用ください!

icon icon

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください