ミュージカル『キンキーブーツ(Kinky Boots)』より “Step One” の英語歌詞を見てみると、家業を継ぐことに及び腰だったチャーリーが、大きな1歩を踏み出す曲だと分かります。
プライス社(靴工場)の息子として、自分自身と向き合うことから避けてきたチャーリーは、どのような1歩を踏み出すのでしょうか?
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「プライス社は実在したのか?」「キンキーブーツは工場を救ったのか?」
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チャーリーの「第1歩」とは
曲名である “Step One” は「第1歩」のことです。
困難な状況下にあるプライス社を放り出さず、立て直すことを決意したチャーリーは、こんな風に歌います。(引用の色付きは、あきかんによる。)
This is time for a shake-up
Look at me wake up, taking control
This is a new beginning, my gears are spinning
Let’s rock’n’roll
Just put
One foot
Onward and forward
I used to be a zero but now I clearly feel that
I may be the hero who reinvents the heel―ブロードウェイミュージカル“Kinky Boots”より “Step One“(作詞:Cyndi Lauper)
まずは意味から見ていきましょう。
- 改革の時だ
- 目覚めた俺を見ろ、舵を取っている俺のことを
- これは新たな始まりだ、俺のギアはフル回転
- 片足を、ただ踏み出すだけ
- 前へ、先へ
- 俺はもともとゼロ状態だった、でも今は感じる
- ヒールを彩発明する、ヒーローになれるかもしれない
この歌詞の素晴らしいところは、足元にフォーカスを当てている点です。
「靴」で改革をしていくと同時に、靴を履く「足」で1歩を踏み出すわけですからね。
“onward” と “forward” の使い分けも素晴らしい!
物理的に踏み出した1歩が、未来へ踏み出した1歩にもなっていると分かります。
また、2番では「こんな行動力が自分の中に潜んでいたなんて信じられない」、「この決断は自分をどこへ連れていってくれるんだろう?」という内容が歌われています。
Who knew I had it in me
Let me begin, see where this could go
I’ve got knowledge and know how
Don’t stop the show now
Don’t stop the flow―ブロードウェイミュージカル“Kinky Boots”より “Step One“(作詞:Cyndi Lauper)
「この流れを止めずに突き進め」という勢いの感じる歌詞ですね。
また、特にチャーリーっぽさが出ているパートがここ。
I used to live in limbo never dying to begin
But now it’s sink or swim, so I’d better dive right in―ブロードウェイミュージカル“Kinky Boots”より “Step One“(作詞:Cyndi Lauper)
“in limbo” は聞き慣れませんが「宙ぶらりんになっている」という意味なので、この2行はこうなります。
- 俺はかつて宙ぶらりんに生きていて、一度も「始める」ということをしなかった。
- でも今は沈む(辞める)か泳ぐ(進む)かの状況、だからいっそ飛び込んでしまおう。
チャーリーのこの行動が全ての始まりだと分かって読むと、感動で鳥肌が立つほど痺れます!
サビで歌われる「1歩」
サビで歌われるのは、想像する未来がどんなものであれ、今日踏み出したのは「第1歩にすぎない」というものです。
I may be facing the impossible
I may be chasing after miracles
And there may be the steepest mountain to overcomeBut this is step one
Yeah this is step one―ブロードウェイミュージカル“Kinky Boots”より “Step One“(作詞:Cyndi Lauper)
歌詞の意味を見ると、自分を奮い立たせていることが分かります。
- もしかしたら、不可能なことに立ち向かっているのかもしれない
- もしかしたら、奇跡を追いかけているのかもしれない
- そして、最も険しい山を乗り越えられるかもしれない
- でも、これは第1歩にすぎない
- あぁ、これはまだ第1歩にすぎないんだ
この1歩を嚙み締めることにチャーリーの決意を感じますし、それと同時にチャーリーが変わる瞬間を見る場面でもあります。
“Step One” は、何か大きなことを成し遂げようとする人に寄り添ってくれる曲。
どんな大きな目標があっても、その1歩を踏み出せるかどうかが重要…そんなシンプルで、重みのあるメッセージを教えてくれる1曲ですよ。
それでは皆さん、良い観劇ライフを…
以上、あきかん(@performingart2)でした!
こんにちは!
ミュージカル考察ブロガー、あきかん(@performingart2)です。