awaitとwaitで異なる「壁の向こう」でジャスミンを待つもの

劇団四季ミュージカル『アラジン(Aladdin)』より「壁の向こうへ(These Palace Walls)」 の英語歌詞を見てみると、全く同じフレーズに見える最後の2行、実は1つ決定的に異なる単語がありました。

その単語とは “awaits” と “waits” 。これらの意味の違いを知ると、ジャスミンが壁の向こうへどのような心持ちで導かれたかが分かりますよ。

Music from the Musical

・作品名:アラジン(Aladdin)

・曲名:壁の向こうへThese Palace Walls

・楽譜:These Palace Walls

・訳詞:高橋知伽江(作詞:Chad Beguelin)

アルバムを視聴/楽譜 ・アルバム(日本語):アラジン
・アルバム(英語):Aladdin
・楽譜:

 

微妙に異なる歌詞はどこ?

 

歌詞を読んでいても見逃してしまいそうですし、曲を聴いていても聞き逃してしまいそうなこの違い。もし気づいた方がもしいらっしゃったとしたら…それはもう素晴らしいとしか言いようがありません!それくらい、非常に微妙な違いなんです。

かくいう私も、たまたま気づきました…「あれ?これ単語違う…間違いではないの?」と。

今回注目するのはこのパート。曲の終わりの方でジャスミンが…

 

JASMINE:
Why shouldn’t I fly so far from here’
Something awaits beyond these palace walls

―ブロードウェイミュージカル “Aladdin” より “These Palace Walls” (作詞:Chad Beguelin)

 

と歌い、そのあと女中3人も含めて

 

ALL:
Something waits beyond these palace walls

―ブロードウェイミュージカル “Aladdin” より “These Palace Walls” (作詞:Chad Beguelin)

 

と歌います。

確かに赤文字部分が違いますね。どういう意味の違いがあるのでしょうか?

 

“await” と “wait” の違い

 

まずは辞書的な意味の違いから見ていきましょう。

 

・ await … ~を待ち受ける、~に用意されている、~を待ち構えている

 

・ wait … 待つ、用意されている

 

…何となく分かるような、分からないような感じですね。ニュアンス的に違うのかな?ということが感じられるくらいです。調べ続けてみると、

 

・ awaits … wait forと同義、口語、他動詞+前置詞をつかないで目的語がつく

 

・ waits … awaitと同義、フォーマル、自動詞+前置詞がつく

 

などがありましたが、う~ん、違う…そういう回答を求めているのではなく、もっとこうなんか…決定的な感情的な違いはないのかしら?そう思っていたところ見つけたのがこの回答。

 

To await has the connotation that you are expecting something or someone important. “She awaited his return. He awaited her response.” Also notice, you say “to await something/someone” but “to wait FOR something/someone.”

await と wait はどう違いますか?(HiNative)

 

要点だけ押さえると、こういうことが書いてあります。

 

・ ”await” とは何か(もしくは誰か)とても重要なものを期待する意味を含む。

 

そうそう、こういうこと!こういう回答が欲しかったんです。そして一方の “wait” についてはこうあります。

 

“wait”は何かが起こるまでずっとその時間が過ぎるということを表します。

【単語】wait / await / hope / expect の違いについて Hideka(英会話アカデミーCLOVER)

 

この2つの説明で、何となく違いを分かっていただけたのではないでしょうか?

 

 

それぞれの歌詞の意味

 

つまり、こういう違いがあるということです。

 

・ awaits … 期待して待っている

 

・ waits … その時が来るまでずっと待っている

 

そうすると、それぞれの歌詞はこうなると思いませんか?

 

・ Something awaits beyond these palace walls … 壁の向こうで、何かが期待しながら待っている

 

・ Something waits beyond these palace walls … 壁の向こうで、何かが(その時が来るまで)ずっと待っている

 

「何か」がジャスミンを期待しながら待っていて、そしてその「何か」はジャスミンをずっと待っている…そういう違いが表現されているのです。

これは、すごい!

一見同じフレーズに見えますが、違いは明らかですね。この歌の直後、ジャスミンは外の世界に導かれるように宮殿を抜け出しますが、「何かが私を待っているわ!」と期待が最高潮に達したのが、この曲の終わりなんですね。最高の流れです!

劇団四季版では次のように訳されていますから、意味としては同じです。

 

何かが待っているわ

―劇団四季ミュージカル 『アラジン』 より 「壁の向こうへ」(訳詞:高橋知伽江)

 

ただ、英語版の方が2つの意味での「待っている」がありますから、表現としての幅が広いです。

こちらの記事も読んで頂けると、より展開がつかめると思いますので、是非併せてご覧くださいね。

 

壁の向こうへ(These Palace Walls)」 の、他の記事はこちらから。


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