『ハミルトン』の”Yorktown”の一部は実在した歌詞だった!

あきかん

こんにちは!

ミュージカル考察ブロガー、あきかん(@performingart2)です。

ミュージカル『ハミルトン(Hamilton)』より “Yorktown(The World Turned Upside Down)” の後半は、アメリカが勝利し歓喜に満ちる様子が描かれています。

その中で、登場人物の口々にが “The World Turned Upside Down” と歌っているのですが、実はこのフレーズ、アメリカ独立戦争に敗北したイギリス軍が演奏した、実在する曲の一部なのだそうです。

ヨークタウンの戦いで、降伏したイギリス軍が演奏したとされる曲 “The World Turned Upside Down” 。

そのフレーズにかけて、アメリカとイギリスそれぞれの立場から「世界はひっくり返った/立場は逆転した)」と歌っているのがこの曲ですよ。

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 “The World Turned Upside Down” と歌ったのはイギリス軍で、実話

Yorktown(The World Turned Upside Down)” の後半で印象的なのは、折り重なるように歌われる “The World Turned Upside Down” ですよね。

“The World Turned Upside Down” とは「世界はひっくり返った」といった意味ですから、私はずっとアメリカの立場で歌われているんだと思っていました。

アメリカ兵がアメリカの勝利を噛みしめながら、歓喜に満ちていく…そういう歌だと思っていたんです。

しかし、歌詞を見てみたら違ったんです。

HAMILTON:
We negotiate the terms of surrender
I see George Washington smile
We escort their men out of Yorktown
They stagger home single file
Tens of thousands of people flood the streets
There are screams and church bells ringing
And as our fallen foes retreat
I hear the drinking song they’re singing…

ALL MEN:
The world turned upside down

FULL COMPANY:
The world turned upside down
The world turned upside down
The world turned upside down
Down
Down, down, down

LAFAYETTE:
Freedom for America, freedom for France!

(中略)

COMPANY:
The world turned upside down!

―ブロードウェイミュージカル “Hamilton” より “Yorktown (The World Turned Upside Down)” (作詞:Lin-Manuel Miranda)

歌詞にはこんなことが書かれています。

・ イギリスの降伏の条件について交渉し、ジョージ・ワシントンがほほ笑むのを見た

・ イギリス軍は一列縦隊でよろめきながらヨークタウンを出て母国に戻っていった

・ 大勢の人間が通りに溢れ、歓声と教会の鐘が響きわたる

・ そして戦争に負けた我らが敵があの歌を歌うのが聴こえたんだ

・ The world turned upside down(世界はひっくり返った)

つまり”The World Turned Upside Down” と歌っているのは敗北したイギリス軍だったんです。

しかもこれは、イギリス・コーンウォリス軍下の楽団が、ヨークタウンの戦いで降参した時に演奏したとされる、事実のようです。

According to American legend, the British army band under Lord Cornwallis played this tune when they surrendered after the Siege of Yorktown (1781). Customarily, the British army would have played an American or French tune in tribute to the victors, but General Washington refused them the honours of war and insisted that they play “a British or German march.”

The World Turned Upside Down(wikipedia)

本来であれば称賛の意味を示すためにも、勝者側(アメリカもしくはフランス)の曲を演奏するところですが、ジョージ・ワシントンが勝者として称えられることを拒否し「イギリスもしくはドイツの行進曲を演奏するよう」命じたため、この曲が演奏されたようですよ。

実在する “The World Turned Upside Down” は、どんな曲?

“The World Turned Upside Down” は1640年代に出版されたイギリスのバラード。

曲調は『ハミルトン(Hamilton)』で歌われるものと異なり、明るめの曲調です。

歌詞はいくつかあるようですが、ほとんどの場合は “When the king enjoys his own again” という別のバラードの曲調で歌われるそう。

それが、これですね。

“The World Turned Upside Down” の歌詞が書かれた理由は1640年代に、議会が「祝日は厳粛な行事であるべきとし、伝統的な英国のクリスマスのお祝いを違法としたから」だそうです。

議会のやり方に対する抗議として書かれたのがこの歌詞というわけですね。

ちなみに “The World Turned Upside Down” というフレーズは、聖書が元になっているようですよ。

『ハミルトン』で “The World Turned Upside Down” が歌われる意義

Yorktown(The World Turned Upside Down)” という曲名は、表面的には次の2つを意味しています。

・ ヨークタウンの戦い

・ 世界はひっくり返った

しかし、今回調べたようなことが分かると、後者はこのような意味を経ているということも分かります。

・ かつてイギリスが議会を批判するために歌っていた歌

・ ヨークタウンの戦いでイギリスが降伏した時、イギリス軍が演奏した曲

・ 『ハミルトン(Hamilton)』のアンサンブルがイギリスの立場で “The World Turned Upside Down(世界はひっくり返った/立場が逆転した)” と歌っているのは、戦争に負けたことを意味している

・ 『ハミルトン(Hamilton)』の主要人物がアメリカ・フランスの立場で “The World Turned Upside Down(世界はひっくり返った/立場が逆転した)” と歌っているのは、戦争に勝ったことを意味している

いかがでしたか?

このシーンの視点がが1つでも増えたなら嬉しいです!

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