『ハミルトン』より “My Shot” の振付の意味を解説!

ミュージカル『ハミルトン(Hamilton)』より “My Shot” の振付を振付師が解説している動画を見つけました!

1つ1つの動作にどんな意味が含まれているのか知ると、もっとこの曲が好きになるはず。

今回は何度も繰り返される有名なフレーズの振付について紹介します。

Music from the Musical

・作品名:ハミルトン(Hamilton)

・曲名:My Shot

・カラオケ:My Shot (Instrumental)

・楽譜:My Shot

・作詞:Lin-Manuel Miranda

アルバムを視聴する/楽譜を見る ・アルバム(英語):Hamilton
・カラオケ:The Hamilton Instrumentals
・楽譜:

 

振付師が解説する “My Shot” の振付動画

 

ミュージカル『ハミルトン(Hamilton)』のかっこよさは、アレクサンダー・ハミルトンの生き様とラップが軽快な音楽だけではありません。

その、ダンスの緻密さも見どころです。

この作品の振付を行ったのはAndy Blankenbuehler(以下、アンディ)という人物ですが、今回 “My Shot” で何度も繰り返される次のフレーズに当てた振付について解説されている動画を見つけましたので、一緒にみていきましょう。

 

“My Shot” を振りつけるに当たって重視したこと

情報量が多い歌詞とリズム

 

My Shot” で何度も繰り返される有名なフレーズとは、ここの部分です。

 

I am not throwing away my shot
I am not throwing away my shot
Hey yo, I’m just like my country
I’m young, scrappy, and hungry
And I’m not throwing away my shot

―ブロードウェイミュージカル “Hamilton” より “My Shot” (作詞:Lin-Manuel Miranda)

 

このフレーズは劇中で何度も繰り返されるため、アンディは振付を特別なものにしたかったと語っています。

 

The beauty of what Lin does is that he matches in a amazing way that rythem of lyric with the rythem of music. So, as I’m going into the choreography, I can choose so many things to follow, because the lyrics are so rythemic.

Choreographing “Hamilton”: The Meaning Behind the Moves(youtube)

 

『ハミルトン(Hamilton)』の歌詞、音楽、演出を担当したのはリン=マニュエル・ミランダ(Lin-Manuel Miranda)ですが、アンディは彼の音楽性を称賛しています。

「リンの美しさというのは、詩のリズムが音楽のリズムに絶妙にマッチしている点です。詩がとてもリズミカルなので、私が振付を行う時に従うべき情報が非常に沢山ありました。」と話しています。

まさに仰る通りで、この歌詞にはこのリズムしかない、このリズムにはこの歌詞しかないと言い切れるほど、リンの音楽的センスは抜群ですよね。

言葉もリズムも豊富な中で、どこにどう動きを当てていくかを考える過程は一筋縄ではいかなかったことでしょう。

 

際立たせたいフレーズの特定

 

また、このフレーズについては次のようにも話しています。

 

One of the things that I loved about the score was that Lin had written this theme tha repeat all through the show. So I knew that we needed to find the vocabulary, physical vocabulary, that also pull these theme through the show.

Choreographing “Hamilton”: The Meaning Behind the Moves(youtube)

 

「この音楽の中で私が大好きなことの1つは、リンがこのテーマを作品を通して何度も繰り返している点です。なので、動きのある単語をその中から見つけ、作品を通して際立たせる必要があった。」ということです。

My Shot” はハミルトンの性格や闘志、これから独立に向かうアメリカの様子が描かれていますから、このフレーズは『ハミルトン(Hamilton)』のメインテーマと言っても過言ではないんですよね。

それをアンディは歌詞と音楽からくみとり、動きを当てていったということになります。

 

特別な主張

 

繰り返されるフレーズの中でも特に重要視したのは “just like my country I’m young, scrappy, and hungry and I’m not throwing away my shot” の部分でした。

 

One of the biggest ones in “My Shot”,  “just like my country I’m young, scrappy, and hungry and I’m not throwing away my shot”, so that was the phrase that I wanted to written make really special and very repeatable, and we do do it lots of different ways in the show and lots of different times.

Choreographing “Hamilton”: The Meaning Behind the Moves(youtube)

 

フレーズの意味は、こうですよ。

 

I am not throwing away my shot … 俺は自分の野望を諦めたりはしない

 

Hey yo, I’m just like my country … 俺はまるで俺の国(独立前のアメリカ)みたいに

 

I’m young, scrappy, and hungry … 若くて、好戦的で、飢えている

 

And I’m not throwing away my shot  … だから俺は自分の野望を諦めたりはしない

 

ハミルトン自身が独立に向けて奮起するアメリカと自分を重ね合わせて歌っているフレーズ。

アンディは「このフレーズを特別にしたかったし、繰り返されるものにしたかった」と話していますが、まさにその通りのものになったと言えるでしょう。

 

My Shot” の詳しい意味についてはこちらをご覧ください。

 

 

振付の意味

 

それではここからは、この場面における振付の意味を見ていきましょう。

 

 

my shot/ I’m

 

まずはここのフレーズですね。まず直前の歌詞 “my shot” 辺りでは、このような動作になっています。

 

・ we are in the second position like in the spirit of the American people at that time nice and strong … 当時のアメリカ人の強い精神を表すポジション

 

まさに野望を抱いているハミルトンにぴったりの振付といえますね。

 

just like my country/ I’m young

 

そして続く歌詞の振付がこうです。

 

・ just like my:we are reaching out as if to gesturing all those people over there, all those people over there … 両側にいる全ての人に手を伸ばすイメージで手を広げる

 

・ country/ I’m young:then we lean hand to the heart, so it comes up almost like an Pledge of Allegiance … 胸に手を当てる、忠誠の誓いを示すようなイメージ

 

ハミルトンが持っている強い精神を、周囲にも強く訴えかけるような振付ですよね。

 

scrappy, and hungry/ And

 

この部分を振り付けるに当たって、アンディはこのようなことを言っています。

 

so right away it’s about saying that we disregard the rules, we do what ever we want, but we do it with lots of flavor

Choreographing “Hamilton”: The Meaning Behind the Moves(youtube)

 

彼が言っているのは「ここはルールを無視し、やりたい事は何でもやるけど、味のあるやり方でやってやる…ということを表現しているところです。」ということです。

なるほど。確かにこれから立ち向かうぞといった闘志が、音楽と歌詞からも感じられますもんね。

 

・ scrappy, and:so the “scruppy” has a lot of pop to it like flipping a pen off from the hand …  “scruppy” では手からペンをパッと落とす感じの動作をし、

 

・ hungry and:and when we do this boxing stand but it’s not just combative, it’s alomost like a dance groove … ボクシングのポーズは好戦的なイメージというよりは、ダンスステップ寄りの動きです

 

文才のあるハミルトンがペンを捨て、イギリスによる抑圧へ立ち向かうようなイメージが湧き出てゾクゾクします。

 

I’m not throwing away my shot

 

そして肝とも言えるこのフレーズはどうでしょうか。ここは少し複雑です。

 

…and right away we establish this vocabulary that we do all night long at the end of the show obviously Hamilton does throw away the shot.

so we are throwing away his bullet up in the air but in the beginning of the show we snap it down as if to say he’s not gonna miss any opportunities, but we plant the seeds for the throwing away vocabulary that’s gonna come back much later

Choreographing “Hamilton”: The Meaning Behind the Moves(youtube)

 

ここでアンディが話しているのは次のようなことです。

 

ハミルトンは作品を通して、野望を諦めない(not throwing away my shot)と言い続けますが、最終的にハミルトンは野望を捨てるthrow away)ことになるので、彼の弾丸を空に放ちます(throw away)。

 

しかし、最初の段階ではどんな機会も逃さないがと言わんばかりに、指を下で鳴らします。

 

“throwing away” という単語に深い意味があるというのはずっと後に分かることですが、そのための伏線をここでははっていることになります。

 

血気盛んな若干19歳のハミルトンは作品を通して「俺には野望がある、その野望は絶対に捨てない(not throwing away my shot)」と歌っています。

しかし、最終的には宿敵アーロン・バーとの決闘(デュエル)により夢破れ、夢半ばにしてこの世を去ることになります。

しかも最後の決闘の場面で、ハミルトンはデュエルを放棄しようと空に向かってピストルを掲げますから、 “My Shot” におけるこの歌詞・振りは伏線になっているということです。

 

 

お分かりいただけたでしょうか?歌詞の深掘りはもちろん、振付の深掘りも面白いですよね!

それにしてもアンディの動きは本当に美しい。動画をどこで留めても綺麗(←彼の話を文字起こしするのに、何度も動画を留めた私)!

同じテンポで体を動かしてみましたが…ほど遠すぎて悲しくなったので、すぐに辞めました(笑)。

ダンスがお得意な皆さんは、是非意味を理解した上で、この振付を習得してみてくださいね。

 

My Shot” の、他の記事はこちらから。


『ハミルトン(Hamilton)』の登場人物と相関図はこちらをご覧ください。

『ハミルトン(Hamilton)』のオリジナルキャストはこちらをご覧ください。

『ハミルトン(Hamilton)』 解説・考察トップ





コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください