劇団四季ミュージカル『ノートルダムの鐘(The Hunchback of Notre Dame)』より「地獄の炎(Hellfire)」英語歌詞を見てみると、日本語と英語でニュアンスが全く異なるフレーズがあります。
そのフレーズとは「悪魔は人より 強い魔力を持っているのだ」の部分。この違いを知ることで、フロローの人間味を味わえるはずです。
また、その人間味を味わう上で、絶対に理解したいのがラテン語パート!
まだ、次の歌詞をご覧になっていない方は、是非併せてお読みくださいね。
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歌詞の比較
劇団四季版
まずは劇団四季の歌詞から見ていきましょう。
私は(Mea culpa)
悪くない(Mea culpa)
あのジプシー
あいつのせい(Mea maxima culpa)悪魔は(Mea culpa)
人より
強い魔力を
持っているのだ
―劇団四季ミュージカル 『ノートルダムの鐘』 より 「地獄の炎」(訳詞:高橋知伽江)
「自分は悪くない…悪いのはエスメラルダ。悪魔は人より強い魔力を持っているから、人は悪魔の魔力にかかってしまうのだ。」と言いたげな歌詞ですね。
「エスメラルダという悪魔のせいで、こんなことになってしまった。」と、彼女に全責任を負わせるようなニュアンスが伺えます。
英語版
一方の英語歌詞はどうでしょうか?(引用の色付きは、あきかんによる。)
It’s not my fault!(Mea culpa)
I’m not to blame!(Mea culpa)
It is the gypsy girl
The witch who sent this flame(Mea maxima culpa)It’s not my fault(Mea culpa)
If in god’s plan
He made the devil
So much stronger than the man!
―ミュージカル “The Hunchback of Notre Dame” より “Hellfire” (作詞:Stephen Schwartz)
この赤字の部分が、劇団四季版では訳されていない箇所。次から1つ1つ解説していきます。
神が創造した悪魔の存在
フロローの嘆きが歌われていた 2ブロック目の3行に注目してみましょう。
ここで歌われている内容は、いかにも聖職者らしく、非常に嘆きの深い内容になっています。 分かりやすく2つの文章に分けるとこうなります。
- If in god’s plan
- He made the devil so much stronger than the man!
1つ目は読んでその通り「もし神の計画の中で」です。
2行目は「○○ stronger than ●●」 となっており「○○が●●より強い」という意味になります。
ですからここは「悪魔は人間より強い」ですね。
これに “He made (the deil)” と “so much (stronger)” が加わりますから「彼(神)が作った悪魔は、人間よりずっと強い」となります。
え?劇団四季版と大して変わらないじゃん…と思われた方、もう一度よく読んでみましょう。
まず、フロローは悪魔とは神の作った創造物だということを認めています。
しかも、この文の直前に「もし神の計画の中で」とした上で言っているため、ここの3行とはこういった嘆きの意味になるんですね。
- 神よ、もしあなたの計画の中に悪魔の創造があったのであれば、それはあまりに人間より強いではありませんか…!
聖職者としてのニュアンスを強く感じるフレーズ
ずっと、ずっと、神に尽くしてきたフロローが感じた、裏切りにも似た「恋」という仕打ち。
その仕打ちは、悪魔を創造した神からのものなのでしょうか?
聖職者の立場として絶対に体験すべきではない異性への愛、その一方で貫きたい神への忠誠心。
そんな感情の狭間でフロローは「あんまりじゃないか…」とひとり嘆いているのです。
これら全ての内容を劇団四季版では「魔力」という言葉で説明しているんですね。 いかがでしたか?
英語版ではフロローの聖職者たる嘆きが見て取れたのではないかと思います。
比較的断定的な劇団四季版と比べて、より人間らしいフロロー。そんな違いを是非劇場でも体感してみてくださいね。
さて、ここまでお読みいただいた方は、「ちょっと待って! “The witch who sent this flame” の部分の説明がないじゃない!」と思われたことでしょう。
もちろん、忘れてはいませんよ。この意味については次の記事でご覧くださいね。
それでは皆さん、良い観劇ライフを…
以上、あきかん(@performingart2)でした!
こんにちは!
ミュージカル考察ブロガー、あきかん(@performingart2)です。