Christmas Bells/麻薬常習者の歌の内容

あきかん

こんにちは!

ミュージカル考察ブロガー、あきかん(@performingart2)です。

東宝ミュージカル『レント(RENT)』より “Christmas Bells” の英語歌詞を見てみると、登場人物のあらゆるやりとりが同時進行的に描かれているため、とても目まぐるしいですよね。とくに後半なんてあちらこちらで会話がなされているので、追いついていくのに精一杯の方もいるでしょう。

今回は麻薬常習者のパートを抜き取って解説していきますので、しっかり内容を把握してくださいね。

警察官の歌はこちらからご覧ください。


『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』の解説・考察本を執筆しました!

ヘドウィグが探し求めた「カタワレ」とは?何故「ベルリンの壁」が登場するのか?「愛の起源」を解説しながら、ミュージカル『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』の中毒性に迫る考察本。

台本と映画を踏まえてながら、プラトンの『饗宴』に影響を受けた「愛の起源」、ドイツの歴史、旧約聖書「アダムとイヴ」の3つの視点から作品に切り込んだ1冊。

Kindle(電子書籍)ペーパーバック(紙書籍)、いずれも Amazon で販売中。

Kindle Unlimitedを初めてご利用の方は、体験期間中に0円で読書可能

 

“Got any ~?” に続くのは麻薬の隠語

 

他のいくつかの記事でも書いていますが、 “Got any ~” は「~を(1つでも)持ってる?」の意味です。そして、その先には麻薬の隠語が並びます。

“junkies” とは「麻薬常習者たち」のことです。 “junk” には「がらくた、くずもの」という意味がある一方で「麻薬(ヘロイン)」を指しますよ。

それでは歌詞を見ていきましょう。

 

JUNKIES:
Got any C man?
Got any D man?
Got any B man?
Got any X? — Crack?
I’m willin’ — I’m illin’
Gotta get my sickness off
C-D help me
Follow the man — follow the man
Follow the man
Jugie boogie — jugie boogie
Follow the man — follow the man
Any crack any X any jugie boogie boy
Any blow any X any jugie boogie boy
Got any D man, got any C man
Got any crack — any X — any jugie boogie?

―ブロードウェイミュージカル “RENT” より “Christmas Bells” (作詞:Jonathan Larson)

 

麻薬の隠語に当たるのは次の通りです。

 

  • C=Cocaine … 局所麻酔薬として用いられ、また精神刺激薬にも分類される
  • D=LSD … リゼルグ酸ジエチルアミド、幻覚剤の一種
  • B=Amount of marijuana to fill a matchbox … マッチ箱に入るマリファナの量
  • X=Ecstacy … メチレンジオキシメタンフェタミン(MDMA)として知られる向精神薬がドラッグとして使用される
  • Crack=Cocaine
  • jugie boogie = CocaineHeroin

    NoSlang.com Drug Slang Translator

 

どんな薬でも良いから…と手を出している姿が想像できますね。

 

 

薬物に染まったjunkies

 

麻薬を求めている…ということはよく分かりましたね。では、他にどんなことを言っているのでしょうか?

まず、 “Follow the man ” とは「あの男を追え」という意味になりますが、このシーンで特定されている “the man” とは、麻薬を持っている男のこと、つまり麻薬を売っている男のことです。

何故そうなるかということは次の記事でも説明していますが、 “follow the man with his pockets full of the jam” というフレーズがポイントです。

 

この3行はどうでしょうか?

 

I’m willin’ — I’m illin’
Gotta get my sickness off
C-D help me

―ブロードウェイミュージカル “RENT” より “Christmas Bells” (作詞:Jonathan Larson)

 

“willing” は「求めている」ですが、 “illing” という単語は正確にはありません。 “ill” に-ingを付けて “willing” と韻を踏ませ、印象付けているんですね。 “ill” は「病気」という意味です。

“gotta” は “got to” の短縮形です。カジュアルな言い方ですので、正式に直すと “have got to” となり、「~しなければならない」という意味です。

従ってこのような意味になります。

 

  • I’m willin’ — I’m illin’ … 俺は望んでる、俺は病んでる
  • Gotta get my sickness off … この病気を拭い去らなきゃ
  • C-D help me … C、D助けてくれよ

 

もちろんお分かり頂けていると思いますが、 “my sickness” とは具体的な病気にかかっている訳ではありません。日常の辛さ、現実と立ち向かえないもやもやを追い払うために薬を使い、薬に助けを求めている、そういったことを描いているのがこのシーンなんですね。

 

あきかん

それでは皆さん、良い観劇ライフを…

以上、あきかん(@performingart2)でした!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください