ミュージカル『RENT』はプッチーニのオペラが元になっていた!

あきかん

こんにちは!

ミュージカル考察ブロガー、あきかん(@performingart2)です。

東宝ミュージカル『レント(RENT)』が好きなみなさんは、この作品がオペラを元にしていたということをご存知ですか?

元になったプッチーニのオペラ『ラ・ボエーム』のあらすじをご紹介します。

『ラ・ボエーム』と聞いてまずイメージするのは、『RENT』で歌われる “La Vie Boheme” でしょう。もともとミュージカルの題名を『ラ・ボエーム』にしようとしていたそうですから、『RENT』がどれだけこのオペラに影響を受けたかが分かりますね。

“La Vie Boheme” は、『RENT』の中核とも言える歌です。その点についてはこちらの記事でまとめていますので、是非ご覧くださいね。


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オペラ『ラ・ボエーム』とは

 

まずはオペラ『ラ・ボエーム』とはどんな内容の作品なのか見ていきましょう。

 

登場人物

 

  • ミミ … お針子
  • ムゼッタ … 歌手
  • ロドルフォ … 詩人
  • マルチェッロ … 画家
  • ショナール … 音楽家
  • コッリーネ … 哲学者
  • ブノア … 家主

 

時代設定

 

場所:パリ

時代: 1830年代

 

あらすじ

 

第一幕:クリスマス・イヴ/パリのカルチェ・ラタン/ボヘミアン仲間が暮らす屋根裏部屋にて

※ボヘミアンの意味についてはこちらの記事をご覧ください。

 

マルチェッロ(画家)とロドルフォ(詩人)が火の気のない部屋で仕事をしていると、コッリーネ(哲学者)が帰宅し金になることがなかったとぼやく。そこへ、ショナール(音楽家)が食料や薪などを運ぶ従者達と陽気に帰ってくる。どんな方法で稼いだかを得意気に話すが誰も耳を貸さず、食料に飛びつく。そこでショナールが「クリスマス・イブだからカフェ・モミュスへ行こう」と提案し、一同賛成。

そこへブノア(家主)が未払いの家賃を催促しにやってくる。3人はショナールの金を見せ安心させ、ワインをすすめると、ブノアが妻があるにも関わらず浮気をしている話しをし出し、一同憤慨したふりをしてブノアを追い出してしまう。

家賃になるはずの金を手に皆カフェへ出かけるが、ロドルフォは書きかけの原稿があるといって一人残る。そこへミミ(お針子)が火を借りに来るが、めまいをして倒れてしまう。ロドルフォに介抱され落ち着いたところで去ろうとするミミだが、鍵を忘れて戻ってくる。すると風が火を吹き消してしまう。暗闇の中鍵を探しロドルフォが先に見つけるが、それを隠しミミに近寄って愛を確かめようとする。すると、ロドルフォを待っていた一同がたまりかねてドア越しに声をかけ、ミミも含めてパリの街へ出かけることになる。

 

 

第二幕:クリスマス・イヴ/パリのカルチェ・ラタン/カフェ・モミュス

ボヘミアン仲間はカフェに集まり食事を始め、ロドルフォはミミに帽子を贈る。するとそこへマルチェッロ(画家)の元恋人ムゼッタ(歌手)がアルチンドロ(金持ちのパトロン)とともにやってくる。ムゼッタはしきりにマルチェッロの気を引こうとするが、マルチェッロは意地でも無視。そこでムゼッタは靴がきつくて痛いと騒ぎアルチンドロを靴屋に行かせ、募った想いが2人を抱き合わせる。

勘定をしようとしたところ、資金が底をついていることに気付き、ムゼッタが支払いをアルチンドロに支払わせることにする。そこへ軍隊の行進がやってきたのを見て、皆その行進に紛れてカフェを後にしてしまう。状況を知らないアルチンドロがカフェへ戻ると店員から勘定を求められ、額に驚き椅子に座りこんでしまう。

 

第三幕:翌年2月/明け方/ダンフェール門の市外との関税所前

ミミが激しく咳き込みながら登場。マルチェッロが看板を描いているという居酒屋に尋ねる。その居酒屋ではムゼッタが歌っているのが聴こえる。ミミはロドルフォが嫉妬深く、自分に冷たく、生活が上手くいかないという悩みをマルチェッロに話す。そしてロドルフォは前の晩、家を出てしまったという。

ロドルフォは宿屋で眠っていることをマルチェッロが明かすと、目を覚ましたロドルフォが彼を探しに来たのでミミは隠れる。マルチェッロがロドルフォにミミについて尋ねると、ミミの病気が重く自分とは暮らしていては助からないので別れなければならないことを打ち明ける。しかしそれを聞いていたミミが泣きながら咳き込むので気付いてしまい、心配して大袈裟に言っただけだとミミを慰める。

マルチェッロが席を立つと、ロドルフォの気持ちを察したミミが別れを告げる。以前住んでいた屋根裏部屋に戻り、身の周りのものは誰かに取りに行ってもらうと淡々と話すが、プレゼントしてもらった帽子だけはロドルフォにとっておいて欲しいと別れを告げる。

これと並行するように、奔放な性格のムゼッタとマルチェッロの良い争いが起こり、こちらのカップルも喧嘩別れしてしまう。

 

 

第四幕:数ヵ月後/屋根裏部屋

ロドルフォとマルチェッロが仕事をしているが、二人とも恋人の事が忘れられず仕事にならない。そこへショナールとコッリーネが食料を持って帰り、豪勢な食事であるかのように食べていたところ、戸口まで一緒に来たミミが今そこで倒れたと、ムゼッタが血相を変えて駆け込んでくる。ロドルフォは急いで助けに行く。

金持ちのところで世話になっていたミミが死ぬ前に一度ロドルフォに会いたいというので連れてきた、とムゼッタは話す。ミミは皆との再会を喜ぶが、ミミの薬を買うお金を得るために、ロゼット以外は質屋へ向かう。

2人きりになるとロドルフォが帽子を見せ、ミミは喜び二人の出会いと幸せな暮らしのことを語りあうが、再び気を失い皆が集まってくる。ミミは再び目覚めるが、眠りにつくとそのまま息絶えてしまう。それをムゼッタがそっと皆に知らせると、ロドルフォは周囲の様子に事態を察し、ミミの亡骸にすがりついて泣き崩れる。

 

 

ミュージカル『RENT』の比較

 

さて、あらすじの説明が長くなってしまいましたが、いかがでしょうか?大分『RENT』に近い内容であることをご理解頂けたと思います。

登場人物

 

登場人物は、分かりやすい程似ていましたね。『ラ・ボエーム』と『RENT』とを比較すると次のようになります。

 

  • マルチェッロ … 画家
    → マーク … 映像作家
  • ロドルフォ … 詩人
    → ロジャー … ロックバンドのリードボーカル
  • ショナール … 音楽家
    → エンジェル … ストリートドラマーにしてドラァグ・クイーン
  • コッリーネ … 哲学者
    → コリンズ … 「コンピューター時代の哲学」を教える大学講師
  • ミミ … お針子
    → ミミ … ゴーゴーダンサー
  • ムゼッタ … 歌手
    → モーリーン … アングラパフォーマー
  • アルチンドロ … 金持ちのパトロン
    → ジョアン … エリート弁護士
  • ブノア … 家主
    → ベニー … ビルの家主

 

どうです?名前も仕事もかなり近しいことが分かりますね!

 

時代設定

 

時期がクリスマス・イヴである設定は変わりなく、土地がパリなのかニューヨークなのか…という違いがあるくらいですね。

年代については『ラ・ボエーム』が1830年代です。『レ・ミゼラブル』の時代設定が1815~1833年ですから同じ時代を設定にした作品と言っていいでしょう。一方の『RENT』は1989年が舞台です。

ストーリー構成は大きく変わりませんが、年代を変えらゆる問題を盛り込むことで、更に奥の深い作品になっていることが分かります。

 

あらすじ

 

ここでは簡単に、内容の比較をしていきます。他にも分かることがあれば、今後追記していきますね!情報ありましたら、是非コメントからお知らせ下さい。

 

  • マルチェッロ(画家)とロドルフォ(詩人)が火の気のない部屋で仕事をしており、火を起こすために作品を燃やす
  • ボヘミアン達、カフェへ向かう
    → 中盤に出てくる “La Vie Boheme” のシーン
  • ミミ(お針子)が火を借りに来る
  • 暗闇の中鍵を探す
    → 暗闇の中ヘロインを探す
  • カフェ・モミュスの支払いをアルチンドロが行う
    → カフェの支払いをベニーが行う( “La Vie Boheme” のシーン)
  • ミミ、この世を去る
    → ミミ、一命を取り留める

 

 

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METライブビューイング

 

普段は比較的お値段の高いオペラを、ライブビューイングという形でお手頃な価格で観られるチャンスです!この企画で上映される10作品の中に『ラ・ボエーム』が入っています!

興味のある方はお見逃しなく!!

 

上映期間:2018年3月31日(土)〜4月6日(金)
※東劇のみ4月13日(金)までの2週上映

指揮:マルコ・アルミリアート
演出:フランコ・ゼフィレッリ
出演:ソニア・ヨンチェヴァ、マイケル・ファビアーノ、スザンナ・フィリップス、 アレクセイ・ラヴロフ、ルーカス・ミーチャム、マシュー・ローズ
上映時間:2時間55分(休憩2回)
MET上演日:2018年2月24日
言語:イタリア語

―ラ・ボエーム(METライブビューイング

 

 

 

あきかん

それでは皆さん、良い観劇ライフを…

以上、あきかん(@performingart2)でした!