Tango: Maureen⑤Pookie(プーキー)の意味は?

あきかん

こんにちは!

ミュージカル考察ブロガー、あきかん(@performingart2)です。

東宝ミュージカル『レント(RENT)』より “Tango:Maureen” の英語歌詞を見てみると、モーリーンの行動についてマークとジョアンが確認し合っていることが分かります。

お互いに何を聞いて、何と答えているのでしょうか?

※この曲がなぜ「タンゴ」なのかという点を考察してみました!こちらの記事を先に読んでいただくと、より理解が深まりますよ。


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歌詞のおさらい

 

大好きです、この曲!

タンゴのリズムに刻まれながら、頭のキレる両者が素晴らしい論理展開を繰り広げていきますね。過去の恋人であろうが、今の恋人であろうが、結局モーリーンに振り回されている2人が、なんだかんだいって協力しているのが本当に面白いナンバーです。

マークは元恋人であることからモーリーンのことをよく分かっているのに対して、現恋人のジョアンはまだまだモーリーンを理解しきれていない。それが恋敵であるはずのマークによって少しずつ理解を深めざるを得ないところが笑えます。そんなところに注目しながら見ていきましょう。

今回は、お互いがモーリーンの行動について確認し合う場面ですよ。

 

MARK:
Has she ever pouted her lips
And called you ‘Pookie’

JOANNE:
Never

MARK:
Have you ever doubted a kiss or two?

JOANNE:
This is spooky
Did you swoon when she walked through the door?

MARK:
Every time — so be cautious

JOANNE:
Did she moon over other boys –?

MARK:
More than moon —

JOANNE:
I’m getting nauseous
(They begin to dance, with MARK leading.)

―ブロードウェイミュージカル “RENT” より “Tango:Maureen” (作詞:Jonathan Larson)

 

マークからの確認

“Pookie” って呼ばれたことある?

 

マークからの確認は2つあります。1つ目がこれ。

 

  • Has she ever pouted her lips/And called you ‘Pookie’ … 彼女、ふくれっ面して、君のことを「プーキー」って呼んだことない?

 

“Pookie(プーキー)” とは「子猫ちゃん」という意味で “honey(ハニー)” などと同じような使い方をします。エンジェルは “honey” と言ったり “sugar” という言葉を使っていて、いずれも相手への愛情のこもった呼び方ですが、 “Pookie” は少し甘えん坊なニュアンスが含まれるような気がします。

これに対してジョアンは “Never(一度も)” と返しており、そんな甘い呼び名で惑わされるような女じゃないわといったスタンスが伺えますが、この曲の最後で呼ばれてしまうんですね、 “Pookie” と…(笑)。まさにマークの言った通りになってしまいましたね。電話越しにモーリーンから “Pookie” と呼ばれる場合がこちら。

 

  • Honey, we’re… (pause) Pookie?! … ハニー、私たち…プーキーですって?
  • You never call me Pookie … あなた一度も私のことプーキーって呼んだことないじゃない

 

そして結局モーリーンに振り回されていることを自覚し、マークと目を合わせ、「これがモーリーンのタンゴか」と言わんばかりに “The Tango Maureen!” で歌をしめるというオチ。展開が素晴らしい。

 

キスを疑ったことは?

 

もう1つ目の確認はこれ。

 

  • Have you ever doubted a kiss or two? … キスの1、2回を疑ったことは?

 

色々な相手に色目を使うモーリーン。他のお相手ともキスをしているんじゃないかと疑ったことはないかという質問ですね。

これに対してジョアンは “This is spooky” と返しています。 “spooky” というのは「気味が悪い」という意味です。まるでマークが超能力者のように、ジョアンの考えていることを次々と当てるものだから、末恐ろしくなってしまったが故の回答ですね。

 

 

ジョアンからの確

うっとりする?

 

気味が悪くなったジョアンは、マークにこう確認します。

 

  • Did you swoon when she walked through the door? … 彼女がドアを出ていくとき、うっとりする?

 

それに対してマークは “Every time — so be cautious(毎回だよ…だから、用心して)” ですって。ここまで来ると、もう「みんなそうなんじゃん!」と思い始める頃ですが、ジョアンは質問を続けます。

 

他の男に夢中になる?

 

これは決定的な質問ですね。

 

  • Did she moon over other boys –? … 彼女、他の男に夢中になったことある?

 

つまり他の男に目移りするかということを聞いているんですね。現恋人の立場を考えると、確認したくない内容のように思えますが…マークはこう答えます。 “More than moon(夢中になる以上だよ)” と。

このフレーズで注目していただきたいのは、 “moon over” です。一見「月を越える」とか「月が上にある」という意味のように受け取れますが、これは「~に夢中になってぼーっと時を過ごす」という意味なのです。ですから、マークの回答は “more than moon” は「月以上だよ」ではなく、「夢中になる以上だよ」なんですね。

夢中になる以上、とはつまりキスをしたり体の関係を持ったりしているのかしら…きっとそんなことを想像してしまったのでしょう。ジョアンは “I’m getting nauseous(吐き気がしてきたわ)” と嘆きます。

ここで1点気付いたことが!

モーリーンのショーの曲って “Over The Moon” ですよね? “moon over” と凄くにていませんか? “Over The Moon” はどうやらマザー・グースが元となった歌詞だそうですが、それに加えてこの “moon over” とかけているのだとしたら…この歌詞の構成を心の底から尊敬します。

 

あきかん

それでは皆さん、良い観劇ライフを…

以上、あきかん(@performingart2)でした!