Tango: Maureen⑧「直った」のはマイクだけじゃない

東宝ミュージカル『レント(RENT)』より “Tango:Maureen” の英語歌詞を見てみると、 “patched” という単語が出てきます。
普通に訳せば「修理する」という意味ですが、あなたはそのもう1つの意味に気付けましたか?
※この曲がなぜ「タンゴ」なのかという点を考察してみました!こちらの記事を先に読んでいただくと、より理解が深まりますよ。
・曲名:Tango: Maureen
・訳詞:Jonathan Larson
Contents:
歌詞のおさらい
大好きです、この曲!
タンゴのリズムに刻まれながら、頭のキレる両者が素晴らしい論理展開を繰り広げていきますね。過去の恋人であろうが、今の恋人であろうが、結局モーリーンに振り回されている2人が、なんだかんだいって協力しているのが本当に面白いナンバーです。
マークは元恋人であることからモーリーンのことをよく分かっているのに対して、現恋人のジョアンはまだまだモーリーンを理解しきれていない。それが恋敵であるはずのマークによって少しずつ理解を深めざるを得ないところが笑えます。そんなところに注目しながら見ていきましょう。
今回は、最後の締めを見ていきましょう。
JOANNE:
My Maureen (reverb: een, een, een…)MARK:
PatchedJOANNE:
ThanksMARK:
You know — I feel great now!JOANNE:
I feel lousy
(The pay phone rings. MARK hands it to JOANNE.)
Honey, we’re… (pause) Pookie?!
You never call me Pookie…
Forget it, we’re patched.(She hangs up, looks at MARK.)
BOTH:
The Tango Maureen!
―ブロードウェイミュージカル “RENT” より “Tango:Maureen” (作詞:Jonathan Larson)
“patched” に注目
なんやかんやして、調子が悪かったマイクが直りました。その時にマークが言うのが “patched” です。 “patch” には「修理する」という意味があるので、訳すならば「修理完了」といったところです。
“You know — I feel great now!(ねぇ、今、俺最高の気分だよ!)” とは、自分で言ったことが全部ジョアンに当てはまっていたから、面白くて仕方なかったんでしょうね。その上、今まで “Pookie(子猫ちゃん)” なんて言われたことなかったのにそう呼ばれて、「一度もそんな風に読んだことはなかったじゃない…」と困惑するジョアン。これまた大当たりで、マークは大笑いです。
さて、 “patch” はモーリーンとジョアンの電話の会話でも出てきます。先ほど説明した通り「修理する」という意味がありますから、
- Forget it, we’re patched…忘れて、私たち修理したわよ
という意味に受け取れます。これは間違いではありませんが、表面的な意味でしかないというのが私の解釈です。では内面的な意味は、何なのかというと…これです。
- Forget it, we’re patched…忘れて、私たちのけんか収まったわよ
- Forget it, we’re patched…忘れて、私たち仲直りしたわよ
- Forget it, we’re patched…忘れて、私たちの傷は癒えたわ
“patch” にはあらゆる意味があり、その中に「(けんかなど)を収める」、「傷の手当てをする」という意味があるんです!ですから、表面的には「調子の悪かったマイクが直ったよ」と報告をしているのですが、実際は犬猿の仲であったマークとジョアンの関係が、モーリーンの一件を共感することで近くなったことを意味しているんですね。
はー!歌詞って面白い!!

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