ミュージカル『キンキーブーツ(Kinky Boots)』の “The History of Wrong Guys” は、ローレンがチャーリーを好きだと自覚してしまう、とっても可愛いらしい曲です。
ローレンは今まで好きになった男子を『ダメ男遍歴(The History of Wrong Guys)』とひとくくりにし、彼女がいるチャーリーもその歴史の1つにしようとしています。
ローレンの今までの恋愛を踏まえて、チャーリーにどんな想いを抱いているかみていきましょう。
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目次
“The History of Wrong Guys” とは、どういう意味?
歌詞を理解する前に、曲名を理解するところから始めましょう。
“The History of Wrong Guys” とは「(私の)ダメ男遍歴」という意味で、ローレンが今までに好きになった男性を1まとめにした、空想上の本の題名と理解すると良いでしょう。
そう分かるのは、ローレンが今まで好きになった男たちを “Chapter(章)” ごとに例えて歌うパートがあるからです。
The history of wrong guys:
Chapter One – He’s a bum
Two – He’s not into you
Three – He’s a sleaze
Four – Loves the girl next door
Five – Loves the boy next door
Six – Don’t love you no more
Makes you insecure
Makes you so unsure
Is so immature
Loves his mother more
Or
Has a girlfriend named Nicola―ブロードウェイミュージカル“Kinky Boots”より “The History of Wrong Guys”(作詞:Cyndi Lauper)
ローレンのダメ男の歴史は次の通りです。
『ダメ男遍歴』
- 第1章:彼は遊び人
- 第2章:彼はあなた(ローレン)に夢中じゃない
- 第3章:彼はだらしない
- 第4章:彼は隣に住む子のことが好き
- 第5章:彼は隣に住む男のことが好き
- 第6章:彼はあなた(ローレン)のことがもう好きじゃない
- とっても幼稚
- 私よりもママの方が好きか
- もしくは、ニコラという名前の彼女がいる
ローレンに男運がないということが、よく分かりますね…。
こういった失恋が度重なれば、当然ながら恋愛に対して自信がなくなり、不安にさえなります。
その上で彼女持ちのチャーリーを好きになってしまうわけですから、自分の気持ちを抑え込もうと必死です。
“The History of Wrong Guys” で歌われていること
同じ過ちをおかしたくないのに、恋してしまうローレン
失恋を繰り返して「何でいつもこうなの!?」と絶望さえ感じてしまうのが、ローレンの正直な気持ち。
特にサビ前では「また同じ間違いを繰り返すの?」といった内容が歌われています。
But I’ve been here before
Have I come back for more?
Another chapter in the history of wrong guys
You used to be so “eh”
A limp lackluster bore
But now you’re changing into something I just can’t ignore―ブロードウェイミュージカル“Kinky Boots”より “The History of Wrong Guys”(作詞:Cyndi Lauper)
内容はこうです。
- 私、これ経験したことある。
- また、ここに戻ってきちゃったわけ?
- これでまた『ダメ男の歴史』に新たな章が追加されちゃう
- あなたは今まで「え…」って感じだったし
- モサッとして、パッとしない、つまんない人って感じだったのに
- 今じゃ、私にとって無視できない存在になり始めている
これ、あるあるですよね(苦笑)。
今まで何とも思っていなかった人のことが、急に気になり始めてしまうという現象…。
ちなみに、2番ではこんなことが歌われています。
Yesterday no spark
No heart aching allure
But today I’m feeling something I just can’t ignore―ブロードウェイミュージカル“Kinky Boots”より “The History of Wrong Guys”(作詞:Cyndi Lauper)
こちらも、あるあるです。
- 昨日までは輝きがなくて
- 魅惑的な胸キュンもなかったのに
- 今日になったら、無視できない感情を感じている
そして、ローレンはサビで「チャーリー、ほんとに、私、今までもこんな風にして傷ついてきたの」と、恋愛感情が高まりを抑えようとしていることが分かります。
Charlie, honestly
I’ve been hurt like this before―ブロードウェイミュージカル“Kinky Boots”より “The History of Wrong Guys”(作詞:Cyndi Lauper)
胸の高まりを抑えきれず、嘆くローレン
しかし本能は止められず、こんな嘆きも見られます。
Why are they only nice when they’re unavailable?!
―ブロードウェイミュージカル“Kinky Boots”より “The History of Wrong Guys”(作詞:Cyndi Lauper)
「どうして見込みがない時ほど、男達ってイイ人なわけ?」という意味ですね。
「見込みがない時」というのは、彼女がいる、妻がいる、好きな人がいる時のことで、チャーリーの場合は婚約者(ニコラ)がいるという意味。
また、友達でいた方が幸せ…という嘆きもあります。
Don’t wanna be another star-crossed lover
We all know how that ends
I’m better off without him
We’re better off as friends.―ブロードウェイミュージカル“Kinky Boots”より “The History of Wrong Guys”(作詞:Cyndi Lauper)
“star-crossed lover” は「幸薄き恋仲」という意味です。
見込みのない相手と一緒になっても、先は見えている。だったら、友達どまりの方が幸せですよね?
でも、そうはさせてくれないのが恋心…。そんな理性と本能に振り回されるローレンです。
とってもお茶目で、ちょっぴり残念な “The History of Wrong Guys” 。
ダメ男に恋した時や失恋をした時に聴けば、ローレンに激しく同意すること間違いなしの1曲です。
それでは皆さん、良い観劇ライフを…
以上、あきかん(@performingart2)でした!
こんにちは!
ミュージカル考察ブロガー、あきかん(@performingart2)です。