『キンキーブーツ』の幼いローラにとって、靴は自分でいられるもの

 
こんにちは!

ミュージカル考察ブロガー、あきかん@performingart2)です。

ミュージカル『キンキーブーツ(Kinky Boots)』より “The Most Beautiful Thing in the World” の英語歌詞を見てみると、各登場人物にとって「靴」がどんな存在なのかが分かります。

The Most Beautiful Thing in the World” は「この世で最も美しいもの」という意味。

この曲の面白いところは「この世で最も美しいもの」が、どの登場人物にとっても「靴」であるということにありますが、その理由が登場人物によって異なるのがポイントです。

ここでは、幼いサイモン(ローラ)にとっての靴の存在を解説します。


お知らせ!
『キンキーブーツ』の解説・考察本を執筆しました!

「プライス社は実在したのか?」「キンキーブーツは工場を救ったのか?」そんな疑問を解消しながら、ミュージカル『キンキーブーツ』の魅力に迫る考察本。映画とミュージカルを比較しながら、実話時代背景ジェンダーの3つの視点から作品に切り込んだ1冊です。

Kindle(電子書籍)、ペーパーバック(紙書籍)、いずれでも販売中

Kindle Unlimitedを初めてご利用の方は、30日間の無料体験が可能!:0円で読む!



「実話を知ったら欲しくなる」グッズ!


 

幼いサイモンにとって「靴」とは

 

幼いチャーリーの場面と入れ替わるようにして登場するのが、後にドラァグ・クイーンのローラになる幼いサイモンです。

彼はこっそりとハイヒールに足を忍ばせ、こんな風に歌います。

 

YOUNG SIMON:
Feels like I’m dancing across the high wire
Or bravely soaring off into the blue
Just like a rocket looks with sparks and fire
Feels like the magic never ends inside these—

―ブロードウェイミュージカル“Kinky Boots”より “The Most Beautiful Thing in the World”(作詞:Cyndi Lauper)

 

どんな風に気持ちがたかぶっているかが手に取るように分かりますね。

 

  •  まるで高いワイヤーの上でダンスしているような気分だ
  •  もしくは青の中に勇敢に舞い上がるよう
  •  まるでロケットがきらめきと炎の中に見えるよう
  •  履いている限り魔法がとけないみたいだ、これらの…

 

“into the blue(青の中)” とは「」のこと。

また “Just like a rocket looks with sparks and fire(まるでロケットが~)” というのは、ロケットが打ち上がる瞬間を表現しているんですね。

最後の “magic never ends inside these—” の後に続くはずだった言葉は “shoes“。つまり「これらの靴を履いている限り、魔法はとけないみたいだ」と歌いたかったのです。

しかし、それを父親が止めてしまいます。

 

SIMON’S FATHER:
Take those things off your feet and get inside here, you stupid boy!

―ブロードウェイミュージカル“Kinky Boots”より “The Most Beautiful Thing in the World”(作詞:Cyndi Lauper)

 

サイモンの父親は、息子がハイヒールなどに興味を持ってしまったことを真っ向から非難

「足からそんなものを外して中に入れ、バカ息子が!」といった具合に怒鳴りつける訳ですね。

『キンキーブーツ』における重要な要素の1つは、息子と向き合わず、自分の考え・価値観を押し付けようとする父親の存在です。

チャーリーの父親もそういった人物でした。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

 

 

それぞれの登場人物にとっての「靴」とは

 

今回は、幼いサイモン(ローラ)にとっての「靴」について着目してみました。

では、他の登場人物にとっての靴とはどのようなものなのでしょうか?最後のパートで歌われているのでみてみましょう。

 

MR. PRICE:
These shoes are symbols of our family’s history

NICOLA:
These shoes will carry me to where I wanna be

YOUNG SIMON:
Feels like I’m dancing

(中略)

YOUNG SIMON:
Don’t you go anywhere ‘cause you belong to me

CHARLIE:
You all do realize you’re talking about shoes?

―ブロードウェイミュージカル“Kinky Boots”より “The Most Beautiful Thing in the World”(作詞:Cyndi Lauper)

 

1人ずつみていきましょう。

 

  •  チャーリーの父親:靴はうち代々の象徴と言えるもの
  •  ニコラ:靴は私が行きたい場所へ導いてくれるもの
  •  幼いサイモン(ローラ):(靴は)僕を踊る気にさせるもの、(靴よ)どこにも行かないで、君は僕のものなのだから
  •  大人になったチャーリー:ねぇ、みんな「靴」のこと話してるって自覚してる?

 

こうやって皆熱っぽく歌っていますが、大人になったチャーリーは既に靴に対して冷めてしまっていることが分かりますね。

 

いかがでしたか?

是非、他の登場人物とも比較して、それぞれにとっての「靴」がどのような存在なのか理解を深めておきましょう。


もっと考察を読みたい方は、曲一覧から!


それでは皆さん、良い観劇ライフを…

以上、あきかん@performingart2)でした。

***

『キンキーブーツ』の考察本を執筆しました!実話、映画、ミュージカルを徹底的に比較しながら、解説もしています。

『キンキーブーツ』の本質的な面白さ【ミュージカル『キンキーブーツ』が魅力的な3つの理由:~ 実話、時代背景、そしてジェンダー ~】にまとめています。

観劇前後にお読みいただき、繰り返し『キンキーブーツ』をお楽しみくださいね!

Kindle(電子書籍)、ペーパーバック(紙書籍)、いずれでも販売中

Kindle Unlimitedを初めてご利用の方は、30日間の無料体験が可能!:0円で読む!