『キンキーブーツ』のニコラにとって、靴は過去との決別

 
こんにちは!

ミュージカル考察ブロガー、あきかん@performingart2)です。

ミュージカル『キンキーブーツ(Kinky Boots)』より “The Most Beautiful Thing in the World” の英語歌詞を見てみると、各登場人物にとって「靴」がどんな存在なのかが分かります。

The Most Beautiful Thing in the World” は「この世で最も美しいもの」という意味。

この曲の面白いところは「この世で最も美しいもの」が、どの登場人物にとっても「靴」であるということにありますが、その理由が登場人物によって異なるのがポイントです。

ここでは、チャーリーの婚約者ニコラとっての靴の存在を解説します。

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ニコラにとって靴とは

 

大人になったチャーリーには、ニコラという婚約者がいます。

チャーリーと同様、靴工場で栄えたノーサンプトンに住んでいましたが、ダサい故郷でなく華のロンドンに目を向けており、チャーリーと共にロンドンに住むことを半ば強引に進めていきます。

キャリアウーマンで不動産業に就いているニコラは、靴工場の跡取り息子チャーリーに高級なハイヒールを見せながらこう話します。(引用の色付きは、あきかんによる。)

 

NICOLA:
Charlie, here are the shoes I told you about! Come have a look-see!
Aren’t they the most necessary things ever?
If you want to slip a ring on my finger, you’ll first slip these shoes on my feet

CHARLIE:
It’s a tad posh for life in Northampton, wouldn’t you say?

―ブロードウェイミュージカル“Kinky Boots”より “The Most Beautiful Thing in the World”(作詞:Cyndi Lauper)

 

ニコラの価値観がよく分かるのは色付きの2行です。

 

  •  この世で一番必要なものだと思わない?
  •  もし私の指に指輪をはめるなら、この靴をわたしの足に履かせて

 

しかし、これに対してチャーリーはこう言います。

 

  •  ノーサンプトンには、ちょっと派手すぎると思わない?

 

すると、ニコラの価値観が更に色濃く出ます。(引用の色付きは、あきかんによる。)

 

NICOLA:
Then good thing we’re moving to London!
And won’t they make a fittin’ farewell to the stink of cattle farms and tanning leather?
Oh, we may have been born in a small factory town
But we sure as hell don’t have to die there!

CHARLIE:
You see the price? There’s three months rent!

NICOLA:
Pinch ‘em or pay for ‘em, that is up to you, but these shoes are in my future!

―ブロードウェイミュージカル“Kinky Boots”より “The Most Beautiful Thing in the World”(作詞:Cyndi Lauper)

 

「高級な靴が欲しい」ということだけでなく、靴工場で密集する小さな町と決別したいという強い意志が表れていますね。

 

  •  それなら、ロンドンに引っ越すのは良いことね!
  •  畜産農家となめし革の臭いとおさらばできる良いきっかけになるわ
  •  この靴は私の未来には存在する(はず)のものなの

 

靴を作っている小さな町ではなく、靴を履いて華やかな生活を送れる場所を求めていることが分かります。

そして最後にはこう歌います。

 

To new beginnings
Hello to sunny days
We’re upward mobile now
Goodbye to small town ways
‘Til it’s impossible to find
A trace of what we left behind
And our defining element is in these
Shoes!

―ブロードウェイミュージカル“Kinky Boots”より “The Most Beautiful Thing in the World”(作詞:Cyndi Lauper)

 

ここでは「今まで住んでいた小さな町にさよならを告げ、見つけられないくらい遠くへ行こう、そのためにはこの靴が必要よ」という内容です。

こういった気持ち、大都会に憧れる人なら分かるのではないでしょうか。

今までの私なんて、私がありたい私ではない。お洒落をし、新しい自分に生まれ変わりたい…そんな気持ちが凝縮したパートです。

 

 

それぞれの登場人物にとっての「靴」とは

 

今回は、ニコラにとっての「靴」について着目してみました。

では、他の登場人物にとっての靴とはどのようなものなのでしょうか?最後のパートで歌われているのでみてみましょう。

 

MR. PRICE:
These shoes are symbols of our family’s history

NICOLA:
These shoes will carry me to where I wanna be

YOUNG SIMON:
Feels like I’m dancing

(中略)

YOUNG SIMON:
Don’t you go anywhere ‘cause you belong to me

CHARLIE:
You all do realize you’re talking about shoes?

―ブロードウェイミュージカル“Kinky Boots”より “The Most Beautiful Thing in the World”(作詞:Cyndi Lauper)

 

1人ずつみていきましょう。

 

  •  チャーリーの父親:靴はうち代々の象徴と言えるもの
  •  ニコラ:靴は私が行きたい場所へ導いてくれるもの
  •  幼いサイモン(ローラ):(靴は)僕を踊る気にさせるもの、(靴よ)どこにも行かないで、君は僕のものなのだから
  •  大人になったチャーリー:ねぇ、みんな「靴」のこと話してるって自覚してる?

 

こうやって皆熱っぽく歌っていますが、大人になったチャーリーは既に靴に対して冷めてしまっていることが分かりますね。

 

いかがでしたか?

是非、他の登場人物とも比較して、それぞれにとっての「靴」がどのような存在なのか理解を深めておきましょう。


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それでは皆さん、良い観劇ライフを…

以上、あきかん@performingart2)でした。

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