なぜ「イヴのりんご」?「酒場の歌」に出る酒場の名前の由来とは

劇団四季ミュージカル『ノートルダムの鐘(The Hunchback of Notre Dame)』より「酒場の歌(The Tavern Song/Thai Mol Piyas)」英語歌詞を見てみると、酒場の名前が「イヴのりんご」だと歌われています。
英語では “La Pomme d’Eve!” とありますが、何故このような名前が付いたのでしょうか?
Music from the Musical
・作品名:ノートルダムの鐘(The Hunchback of Notre Dame)
・曲名:酒場の歌(
he Tavern Song/Thai Mol Piyas)
・訳詞:高橋知伽江(作詞:Stephen Schwartz)
Contents:
「イヴのりんご」とは
「イヴのりんご」と聞いてピンと来た方は一体どれくらいいらっしゃるでしょうか?
アダムとイヴ話しを少しでも聞いたことのある方なら「イヴ」がどういう人で、「りんご」が何をもたらしたかは大体説明が出来るでしょう。
今回は「イヴのりんご」が持つ意味と、何故このシーンの酒場の名前がそう名付けられたかを私なりに考察してみました。
これが絶対正解…という訳ではありませんが、是非参考にしてください。
日本語歌詞では「イヴのりんご」と歌われていますが、英語歌詞では “La Pomme d’Eve!” となっています。
これはフランス語で “pomme” は「りんご」、 “Eve” は「イヴ」ですから、どちらの歌詞でも「イヴのりんご」と歌っていることが分かります。
では「イヴのりんご」とは一体何なのでしょうか?検索すると「禁断の果実」にヒットしたので、この説明を見てみましょう。
創世記では、禁断の果実とは、善悪の知識の木(知恵の樹)の果実を指す。
アダムとイヴはエデンの園にある果樹のうち、この樹の実だけは食べることを禁じられるが、イヴはヘビにそそのかされてこの実を食べ、アダムにも分け与える(イブが先と書くのは旧約聖書においてであり、イスラム教のクルアーンにおいてはどちらが先に口にしたかは書かれていない)。
この果実を口にした結果、アダムとイブの無垢は失われ、裸を恥ずかしいと感じるようになり局部をイチジクの葉で隠すようになる。これを知った神は、アダムとイブを楽園から追放した。彼らは死すべき定めを負って、生きるには厳しすぎる環境の中で苦役をしなければならなくなる。
―禁断の果実(wikipedia)
神が創造した最初の男がアダム、女がイヴで2人は楽園で生活をしていましたが、ある時口にしてはいけない果物(これが「りんご」)を口にしてしまい、「恥ずかしい」という感情が生まれてしまったということです。結果楽園からも追放されます。
この物語についてはなんとなく聞いたことある方もいらっしゃるでしょう。
なぜ酒場の名前が「イヴのりんご(La Pomme d’Eve)」?
「禁断の果実(イヴのりんご)」は、次のような意味を持つようにもなります。
禁断の果実(きんだんのかじつ、Forbidden fruit)とは、それを手にすることができないこと、手にすべきではないこと、あるいは欲しいと思っても手にすることは禁じられていることを知ることにより、かえって魅力が増し、欲望の対象になるもののことをいう。
―禁断の果実(wikipedia)
つまり「立入禁止」と書いてあれば入りたくなるし、「見ないで」と言われれば見たくなるし…という現象を「禁断の果実」とも表現するんですね。
そう考えた時にどうでしょう…「酒場」の関係性を見出すことはできますか?
私は、フロローにとっての「禁断の果実」を指していると解釈しました。
フロローはこの酒場に集まるジプシー達を徹底的に軽蔑しています。しかしその一方で目が背けられないのです。興味津々なんですね。
飲めない「酒」、抱けない「女」、軽蔑する「ジプシーたち」…
フロローにとっての「手を出してはいけないのは分かっている…でも…」が、この酒場には埋め尽くされているんですね。
これってまさに「禁断の果実」状態だと思いませんか?
だからこそ、この酒場は「イヴのりんご」と名付けられ、演出的にも歌詞的にもフロローの欲情をよりかきむしるような内容になっているのだと考えられます。
こういった細かい描写から内容を読み解いたり、想像したり、考察したりすると、途端に作品の深さが見えてきて興味がどんどん広がっていきますよね。
是非、単語1つ1つに興味を持って調べてみてください。
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