「オーリム」と「いつか」の歌詞は同じだった!ラテン語の意味を解読

劇団四季ミュージカル『ノートルダムの鐘』が大好きな、そこのあなた。
『ノートルダムの鐘』のオープニングで歌われる曲「オーリム/いつか(Olim)」の歌詞の意味、ご存知ですか?

この曲は全てラテン語で歌われているので、読み解くことを諦めてしまいそうですよね。
しかし調べてみたところ、2幕で歌われる「いつか(Someday)」と歌詞が一緒だと分かりました。
意味を知らないと、オープニングから損をしてしまいますよ!
Music from the Musical
・作品名:ノートルダムの鐘(The Hunchback of Notre Dame)
・曲名:オーリム (いつか)(
Olim)
・作詞:Stephen Schwartz
Contents:
「オーリム」と「いつか」は同じ歌詞!?
「オーリム/いつか(Olim)」と「いつか(Someday)」の歌詞が同じ?本当に?
…と思われた方も多いでしょう。私も初めは、そう思いました。
しかし実際にラテン語を紐解いていくと、歌詞の内容が「いつか(Someday)」にぴたりと合うのです。
オーリム:ラテン語歌詞
まずは、ラテン語の「オーリム/いつか(Olim)」から見ていきましょう。
Olim olim deus accelere
Hoc saeculum splendidum
Accelere fiat venire olim―ミュージカル “The Hunchback of Notre Dame” より “Olim” (作詞:Stephen Schwartz)
うーん…全く意味が分かりませんね(笑)。
ラテン語を1つずつ調べてみると2つ目までは分かりました。
・olim … かつて
・deus … 神
…が、3つ目の “accelere” から迷宮に入ってしまったのです。
オーリム:英訳歌詞
それでも諦めないのがこの私。
「悔しい…どうしても理解したい…」と情報をあさったところ、ラテン語パートが英訳された歌詞を発見しました!
Someday, someday, God speed
This bright millenium
Let it come someday― “The Bells of Notre Dame” (The Disney Wiki)
なるほど。それぞれのラテン語はこういう意味だったんですね。
・olim … someday … いつか
・deus … God … 神
・accelere … speed … 成功
こんな風に単語を1つ1つ照らし合わせていくと、あることがふと頭をよぎります。
あれ?この歌詞どこかで見たことがあるような気が…
そこで、私は気付きました。2幕、エスメラルダが処刑前に歌う「いつか(Someday)」と歌詞がほぼ同じだということに!
いつか:英語歌詞
本当に同じなのか「いつか(Someday)」の英語歌詞と比較してみてみましょう。
God speed
This bright millennium
On its way someday
Let it come
someday―ミュージカル “The Hunchback of Notre Dame” より “Someday” (作詞:Stephen Schwartz)
どうです?
ほぼ「オーリム/いつか(Olim)」を英訳した歌詞と一致しますよね。
…ということは「いつか(Someday)」をラテン語で歌ったのが「オーリム/いつか(Olim)」だと言えます。
『ノートルダムの鐘』に込められたメッセージ
この曲名が「オーリム/いつか」と日本語訳されているのは、次の構図が成り立つからです。
olim = someday = いつか
ラテン語も英語も、歌っている内容は全く同じ。
歌われているのは「いつの日か祝福の日が訪れるだろう 明るく輝くその黄金時代が、いつか来ることを期待していこうではないか」ということです。
「いつか(Someday)」では「いつか差別や貧困がなくなり 皆平等になる願い」が歌われています。
そのフレーズがオープニングで歌われるということは、これこそが『ノートルダムの鐘』のメッセージであるといえるでしょう。
理解できないと思われていたラテン語で歌われていた内容が、こんな意味を持っていたなんて…!
『ノートルダムの鐘』を観る際は、必ずこの事実を押さえてからオープニングを迎えて、全身でそのメッセージを受け止めて下さいね。
曲のポイント
・「オーリム/いつか(Olim)」と「いつか(Someday)」は、同じ歌詞
・オープニングから「平等な世界への願い」を歌っていた
「いつか」に見る、フィーバスの強い意志
(追記:2017.7.5)
この記事をお読み頂いた方は『ノートルダムの鐘』における「いつか」という意味の重要性をお分かり頂けたと思います。
ここでもう1つ、注目して欲しいことがあります。
それは「いつか」と歌う、エスメラルダとフィーバスの使う単語が異なっているということです。
・エスメラルダ … someday (いつか)
・フィーバス … one day (いつか)
いずれも日本語にすると「いつか」という意味になるのですが、英語では何故使い分けられているのでしょうか?
去る者は “someday” と。残るものは “one day” と。
この使い分けの違いについては、次の記事をご覧くださいね。
また、他のラテン語歌詞については、こちらをご覧ください。
「オーリム/いつか(Olim)」の、他の記事はこちらから。
