劇団四季ミュージカル『ノートルダムの鐘(The Hunchback of Notre Dame)』より「ノートルダムの鐘(The Bells of Notre Dame)」の英語歌詞を見てみると、観客に対して「怪物とは何か、人間とは何か」と問いかける歌詞があります。
この問いかけは作品の根本的なメッセージになりますが、日本語と英語で表現が異なるのをご存知でしたか?
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目次
歌詞の比較
「ノートルダムの鐘(The Bells of Notre Dame)」のオープニングとエンディングで問いかけられるこのフレーズ。
オープニングとエンディングで全く同じフレーズであるにも関わらず、演出によって人間と怪物の差を「表面」と「内面」から考えさせられる一文になっています。
本作品におけるこの重要なメッセージですが、日本語と英語とでは意味が変わってきます。
それぞれの違いを押さえておきましょう。
日本語
まずは日本語歌詞から見ていきましょう。(引用の色付きは、あきかんによる。)
答えて欲しいなぞがある
人間と怪物
どこに違いがあるのだろうさあ高らかに
鳴り響け
鐘よ ノートルダム―劇団四季ミュージカル 『ノートルダムの鐘』 より 「ノートルダムの鐘」(訳詞:高橋知伽江)
注目すべき点はここです。
- 答えてほしい
- なぞがある
- 人間と怪物/どこに違いがあるのだろう
英語
一方の英語歌詞はこうなっています。(引用の色付きは、あきかんによる。)
Now here is a riddle to guess if you can
Sing the bells of Notre Dame
What makes a monster
And what makes a man?Sing the bells,
Bells, bells,
Bells, bells, bells, bells, bells,
The bells of Notre Dame―ミュージカル “The Hunchback of Notre Dame” より “The Bells of Notre Dame” (作詞:Stephen Schwartz)
注目すべき点はここです。
- guess if you can
- riddle
- What makes a monster/And what makes a man?
違いを解説
「なぞ」と “riddle”
まずは「なぞ」と “riddle” ですね。
日本語では “riddle” が「なぞ」と訳されていますが、 “riddle” とは「なぞなぞ」の意味があります。
なので、この日本語訳の「なぞ」を「不可解なもの・迷宮」というニュアンスで理解してしまうと、少し意味が重たくなりすぎてしまうんですね。
よって、問いは「なぞなぞなんだ」ということをまずは押さえておきましょう。
「答えてほしい」と “guess if you can”
次に「答えてほしい」と “guess if you can” です。
日本語だと「答えてほしい」となっていますから、ニュアンス的押しの強い一文になっています。
しかし英語は “guess if you can” です。
“guess” には「言い当てる・解き当てる」という意味があり、 “if you can” は「もし(あなたが)できるならば」です。
ですから、英語は引きのスタンスなんで「もし当てられるなら当てて欲しいんだけどね」というニュアンスになります。
「どこに」と “what makes”
最後に一番注目して頂きたい部分の比較です。フレーズごともう一度見てみましょう。
- 人間と怪物/どこに違いがあるのだろう
- What makes a monster/And what makes a man?
日本語は「人間」と「怪物」という存在を予め提示した上で「どこに違いがあるか」と問いかけています。
一方の英語は「何が~を作るのか」という表現になっていて、「何が怪物を作り、何が人間を作るのか」と歌っています。
つまり「怪物を作るものは何で、人間を作るものは何なのか」ということを問いかけているのです。
英語の方が軽いからツラい!
日本語と英語では表現が異なること、ご理解いただけたのではないでしょうか?日本語は、
- 「人間と怪物ではどこに違いがあるのか」というなぞを答えてほしい
という意味合いですが、英語はそうではありません。
- さて、ここになぞなぞを1つ。あなたは当てられるかな?「何が怪物をつくり、そして何が人間を作るのか」を。
ここをより解釈しやすくするとしたら、「何を怪物と呼び、何を人間と呼びますか?」ということでしょう。
クロパンによって発せられるこのフレーズは、言い回しがとても軽く、とても軽やかに歌われます。
しかし、だからこそその問いの重さをズドンと感じませんか?
「ノートルダムの鐘(The Bells of Notre Dame)」には外見の醜いカジモドと、自分の欲を優先してしてしまうフロローが登場します。
なぞなぞに対するヒントはこの2人でしょう。
クロパンが提示するこのなぞなぞ…。あなたなら何と答えますか?
それでは皆さん、良い観劇ライフを…
以上、あきかん(@performingart2)でした!
こんにちは!
ミュージカル考察ブロガー、あきかん(@performingart2)です。