エスメラルダは本名ではない?…その名前の由来と意味


劇団四季ミュージカル『ノートルダムの鐘(The Hunchback of Notre Dame)』の原作『ノートルダム・ド・パリ(上)』を読んでみると、エスメラルダは本名ではないことが分かりました。
では、エスメラルダとは何なのでしょうか?
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ミュージカル『ノートルダムの鐘』を観てみても、エスメラルダがどういう意味なのかについては触れられていません。触れられているとしたらカジモドくらいですよね。
そこで原作を読んでみたところ、彼女の名前について触れられている箇所がありました。
エスメラルダに一目惚れをしたグランゴワールという詩人と、エスメラルダの会話の中にこういったものがあります。
エスメラルダが首から下げているお守りが気になったグランゴワールが、それは何かと尋ねたシーンです。(引用の色付きは、あきかんによる。)
娘は、
クルミの身の鎖で首からさげていた細長い小袋みたいなものを、 胸から引っぱり出した。樟脳の香りが袋からぷんぷんもれてきた。緑色の絹で包んであって、 真ん中にエメラルドまがいの大きな緑色のガラス玉がついている。「きっと、この袋を持っているので、 エスメラルダと呼ばれるのでしょう」と、娘が言った。 ―『ノートルダム・ド・パリ(上)
』ユゴー作、辻昶・松下和則訳、岩波文庫(p.207)
この文章から読みとれるのは、エメラルドまがいのガラス玉の付いた小袋を身につけているために「エスメラルダ」と呼ばれるということです。
ここで勘の良い方はお気付きでしょう。そうです、エスメラルダとは「エメラルド」という意味なのです。
エスメラルダ(Esmeralda)とは、エメラルドを意味するスペイン語およびポルトガル語である。
―エスメラルダ(wikipedia)
つまり、エスメラルダは「エメラルド色をしたガラス玉を持っている子」というニュアンスで付けられたニックネームだったのですね。
エスメラルダの持っているものは、本物のエメラルドではありませんが、とても魅惑的な色のガラス玉だったことでしょう。
