Christmas Bells/コリンズとエンジェルのやりとり

東宝ミュージカル『レント(RENT)』より“Christmas Bells”を見てみると、登場人物のあらゆるやりとりが同時進行的に描かれているため、とても目まぐるしいですよね。とくに後半なんてあちらこちらで会話がなされているので、追いついていくのに精一杯の方もいるでしょう。

今回はコリンズとエンジェルの会話を抜き取って解説していきますので、しっかり内容を把握してくださいね。

エンジェルからのクリスマスプレゼント

コートの売り子を発見

モーリーンのライブ前の時間を、コリンズとエンジェルは買い物に費やしています。コートを盗まれてしまったコリンズのために、コートをクリスマスプレゼントするわ…というエンジェル。新品ではなく中古品ですが、とても温かい気持ちになれるやりとりで彼らの会話は始まります。

 

VENDOR #2:
How about a fur
In perfect shape
Owned by an MBA from uptown
I got a tweed
Broken in by a greedy
Broker who went broke
And then broke down

COLLINS:
You don’t have to do this

ANGEL:
Hush your mouth, it’s Christmas

COLLINS:
I do not deserve you, Angel

COLLINS:
Give–give
All you do
Is give
Give me some way to show
How much you’ve touched me so

ANGEL (simultaneously):
Wait–what’s on the floor?
Let’s see some more…
No–no–no…

ANGEL:
Kiss me — it’s beginning to snow
―ミュージカル“RENT”より“Christmas Bells”

 

まず売り子が何か売っているので見ていきましょう。大きく分けると2つで、こんなことを言っています。

 

  1. How about a fur in perfect shape
    …完璧な状態の毛皮なんてどうだい
    owned by an MBA from uptown
    …住宅街に住んでいるMBA(Master of Business Administration/経営学修士)が持っていたものだよ
  2. I got a tweed broken in by a greedy broker
    …ツイードもあるよ、貪欲なブローカー(仲買人)が着たおしたもの
    who went broke and then broke down
    …破産して破滅した奴のね

 

コートを売りながら、以前の持ち主の話をしているんですね。売り文句なので本当かどうかは分かりませんが…前者は良いとしても、後者は売り文句になるかどうかは微妙なところですよね(苦笑)

文章としては後者がとても難しく非常に悩みました。“ broke in”は「押し入る」という意味があるので、押し入られてとられたのかな…と思ったりもしたのですが、恐らく「使い古す、着たおす」という解釈で間違いないと思います。

ここのフレーズの面白いところは、breakという言葉が多様されているところ。

 

  1. broken in
  2. broker
  3. broke
  4. broke down

 

と、全て“break”から派生した単語が使われています。言葉遊びの上手い売り子さんですね。

コリンズはコートを買おうとしてくれているエンジェルに遠慮をしますが、エンジェルはクリスマスだからと選ぶ手を止めません。エンジェルがすることは与えることだけ…そんなエンジェルにコリンズは、どうしてそんなに優しく出来るのか問いますが、エンジェルは答えず「キスして」と言うばかり。美しい展開ですね。本当に天使。

ちなみにコリンズの言う“I do not deserve you, Angel”の“deserve”とは「ふさわしい、見合う」という意味があり、ここでは「エンジェル、僕は君にふさわしくないよ」という意味になりますが、『ウィキッド』でこの“deserve”が多用される曲があります。それは“Dancing Through Life”です。色々な側面を見せる“deserve”をこの曲から感じ取っていただけるとても美しい曲なので、記事を書いたらリンクを貼りますね。

↑記事が出来ましたのでご覧ください!(追記:2018.1.18)

 

 

売っているのはどんなコート?

さて、コートの売り子が何か言っていますね。

 

COAT VENDOR:
L.L Bean
Geoffrey Beene
Burburry zip out
Lining
―ミュージカル“RENT”より“Christmas Bells”

 

お分かりになった方もいるかもしれませんが、売り子は洋服のブランド名を口に出して客を呼び込もうとしています。

 

 

L.L BeanとGeoffrey Beeneは韻を踏んでいます。Burburryはあのチェック柄で有名なブランド。売り子は上質な中古を扱っていることをアピールしたいのでしょう。どんなブランドか知りたい方は、各ブランド名からHPに飛べますので見てみてくださいね。

それに重なるように歌いながらやってくるのはjunkies、つまり「麻薬常習者」たちです。

 

JUNKIES (simultaneously):
Got any C man?
Got any D man?
Got any B man?
Got any crack?
Got any X?
―ミュージカル“RENT”より“Christmas Bells”

 

“Got any ~?”は「~持ってるか?」という意味で、語尾に“man”が入ることで相手への呼びかけになっています。決して丁寧な言い方ではなく、訳すならば「おい(兄さん)、~持ってるか?」といった感じです。

何を持っているか訪ねているのか大体想像がつくところかもしれませんが、この“C”とか“D”とかは薬(麻薬、覚せい剤)の隠語です。こういうきっかけでもなければ調べることもないと思うので、それぞれ何の薬を指すのか調べてみました。

 

・C=Cocaine
…局所麻酔薬として用いられ、また精神刺激薬にも分類される

・D=LSD
…リゼルグ酸ジエチルアミド、幻覚剤の一種

・B=Amount of marijuana to fill a matchbox
…マッチ箱に入るマリファナの量

・crack=Cocaine
  …“C”に同じ

・X=Ecstacy
…メチレンジオキシメタンフェタミン(MDMA)として知られる向精神薬がドラッグとして使用される
NoSlang.com Drug Slang Translator

 

こういった薬の名前を羅列して、新しい客(常習者)を作ろうとしているんですね。…恐ろしい。

その後、コートの売り子は「新入荷だよ!」と新しいコートが入荷したことを伝えます。

 

COAT VENDOR:Here’s a new arrival
―ミュージカル“RENT”より“Christmas Bells”

 

入荷といっても、コリンズのコートを盗んだように、どこかからとってきたのだと思いますが…。

 

 

コリンズ、すられたコートを発見

中古のコートを物色していたら、コリンズは見つけてしまいました…すられた自分のコートを!人のものをすっては売りに出して、小銭稼ぎをしているコート売りだったんですね。

 

COLLINS:That’s my coat!
COAT VENDOR:We give discounts
―ミュージカル“RENT”より“Christmas Bells”

 

「それ、俺のコートだ!」に対して「安くしてあげるよ」ですもんね。これは悔しい!それに対してエンジェルはこう言います。

 

ANGEL:Let’s get a better one
COLLINS:It’s a sham
―ミュージカル“RENT”より“Christmas Bells”

 

「もっと良いのを手に入れましょ」、なんて寛容なんでしょうか。盗まれたものだと分かった上で買うことはやめません。コリンズは「(売り子は)いかさまだ」と怒っていますね。そしてさらに素敵な展開がこちら。

 

COLLINS:But she’s a thief!
ANGEL:But she brought us together
―ミュージカル“RENT”より“Christmas Bells”

 

「でも彼女は泥棒だ」と怒るコリンズに対して、エンジェルは「でも彼女が私たちを引き合わせてくれたのよ」です。確かに、コートがすられなければコリンズは怪我をしませんでしたし、エンジェルが声をかけることもなかったかもしれません。なんて前向きな発言なのでしょうか…寛容、本当に寛容。

そんなエンジェルに根負けしたのでしょうか、「じゃあ、レザー(革)をもらう」とコリンズ。

 

COLLINS:I’ll take the leather
―ミュージカル“RENT”より“Christmas Bells”

 

この展開、本当に好きです。ちなみにコリンズとエンジェルの出会いのシーンについてはこちらの記事にまとめていますので、是非ご覧くださいね。

 

エンジェルの交渉

エンジェルにクリスマスプレゼントしてもらうコートがレザーに決まったところで、エンジェルの交渉が始まります。

 

COAT VENDOR:Twenty-five
ANGEL:Fifteen
COAT VENDOR:Twenty-five
ANGEL:Fifteen
COAT VENDOR:No way. Twenty-four
ANGEL:Fifteen
COAT VENDOR:Twenty-four
ANGEL:Fifteen
COAT VENDOR:Not today. Twenty-three
ANGEL:Fifteen
COAT VENDOR:Twenty-three
ANGEL:Fifteen. It’s old
COAT VENDOR:Twenty-two
ANGEL:Fifteen
COAT VENDOR:Twenty-one
ANGEL:Fifteen
COAT VENDOR:Seventeen
ANGEL:Fifteen
COAT VENDOR:Fifteen
ANGEL & COAT VENDOR:Sold!
―ミュージカル“RENT”より“Christmas Bells”

 

お互い数字しか言っていませんが、これはコートが何ドルになるか値段を言い合っているんですね。本日現在1ドルは約110円ですから、価格帯は大体このようになります。コート売り、エンジェルの順番で見ていきましょう。

 

  • Twenty-five…$25(2,750円)
  • Fifteen…$15(1,650円)
  • Twenty-five…$25(2,750円)
  • Fifteen…$15(1,650円)
  • No way. Twenty-four…とんでもない!$24(2,640円)
  • Fifteen…$15(1,650円)
  • Twenty-four…$24(2,640円)
  • Fifteen…$15(1,650円)
  • Not today. Twenty-three…今日は駄目。$23(2,530円)
  • Fifteen…$15(1,650円)
  • Twenty-three…$23(2,530円)
  • Fifteen. It’s old…$15(1,650円)。古いじゃない。
  • Twenty-two…$22(2,420円)
  • Fifteen…$15(1,650円)
  • Twenty-one…$21(2,310円)
  • Fifteen…$15(1,650円)
  • Seventeen…$17(1,870円)
  • Fifteen…$15(1,650円)
  • Fifteen…$15(1,650円)
  • Sold!…成立!

 

エンジェル、とってもお買い物上手です。海外のマーケットに行く場合、買うつもりがないのに安くしろ…などと値段交渉してはダメです。失礼に当たりますからね。エンジェルのように買う気があれば、売り手もある程度は値引きをしてくれますから、見習って買い物上手、交渉上手になりましょう。

最後の“Sold!”は「成立!」と書きましたが、売り子の立場では「売った!」、エンジェルの立場では「買った!」という解釈で問題ありません。

コリンズとエンジェルのやりとり、ご理解いただけましたか?是非内容をしっかりと押さえてくださいね。

歌詞の続きはこちらから!

 

 

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