劇団四季ミュージカル『ノートルダムの鐘(The Hunchback of Notre Dame)』より「陽ざしの中へ(Out There)」の英語歌詞を見てみると、劇団四季版の歌詞からは知ることの出来ないカジモドの気持ちが沢山書かれていると分かります。
英語歌詞を1つ1つ見ていきながら、カジモドの気持ちをもっともっと深く知っていきましょう。
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歌詞のおさらい
この曲は本作品の中で一番メジャーな曲でしょう。
アニメ版を観た際一番印象に残ったのがこの曲で、『ノートルダムの鐘』には何て素晴らしい曲があるのだろうと感銘を受けたのを覚えています。
そして今回、目を潤ませながら向き合ったのがこの歌詞です。
外の世界で過ごす1つ1つのことが彼にとっての憧れで、自分が外に出たらどんな風に1日を過ごしたいかを歌い上げる曲。
彼の現実と理想とが絶妙に比較される歌詞を追いかけながら、カジモドの気持ちをしっかりと理解しましょう。
英語版
Out there
Strolling by the Seine
Taste a morning
Out there
Like ordinary men
Who freely walkAbout there
Just one day and then
I swear
I’ll be content
With my share
Won’t resent
Won’t despair
Old and bent
I won’t care
I’ll have spent one day
Out there―ミュージカル “The Hunchback of Notre Dame” より “Out There” (作詞:Stephen Schwartz)
劇団四季版
朝川沿いを散歩しようか
気の向くまま歩きたい
そうだ今日だけは夢を叶えよう
一度でいいから
ここを抜け出し踏み出そう
陽ざしの中へ―劇団四季ミュージカル 『ノートルダムの鐘』 より 「陽ざしの中へ」(訳詞:高橋知伽江)
この最後のパートは、本当に…泣きます。そして劇団四季版とは結構違います。
カジモドが、どれほど外の世界での生活に憧れているか、しっかりと理解していきましょう。
カジモドが外に出たらしたいこと
カジモドはm、外に出たらしたいことがあります。それが “Strolling by the Seine” の部分で歌われています。
“strolling” は「ぶらつく」という意味なのですが、どこをぶらつくかというと “the Seine(セーヌ川)” です。
劇団四季版では「川」としか訳されていませんが、実は「セーヌ川」のことだったんです。
そしてカジモドは、ただ川沿いをぶらつきたいのではないのではなく「朝を味わいたい(Taste a morning)」んですね。
さらにどんな風に味わいたいのかということが歌われていますが、これは見落とせない点で、劇団四季版では訳されていない部分です。
“Like ordinary men” は「普通の男の人」、そして “Who freely walk” は「自由に歩き回る人」。
つまりカジモドは「自由に歩き回ることのできる普通の男の人のように、朝を味わいながらセーヌ川をぶらつきたい」と歌っているのです。
涙が出てきませんか?
川のほとりを歩くことは、何気ない動作の1つに過ぎないかもしれません。
しかし、カジモドには自由がない。自由がない上に朝をじっくり味わうこともない。
そういった彼の現状がこのフレーズから透けて見えるところに、彼がどれだけ平凡な日を望んでいるかが分かります。
たった一日でいい、そうすれば…
ここまでにも幾度となく「たった一日でいい」と歌ってきたカジモドでしたが、ここでまたそれを強調しています。
それが “Just one day and then” の部分で、ここは「たった一日でいい、そうすれば…」という意味です。
カジモドはたった一日外の世界に出ることができたら、どうすると言っているのでしょうか?
それが、この曲のクライマックスである最後の部分で歌われています。
- I swear … 僕は誓うよ
- I’ll be content with my share … 僕は満足できると
- Won’t resent … 怒ったりしない
- Won’t despair … 絶望もしない
- Old and bent … 年をとって腰が曲がっても
- I won’t care … 気になんてしない
- I’ll have spent one day out there … 1日を外の世界で過ごすことが出来たなら
あー、だめだ…泣く…。
カジモドは歌っているのです。「そのたった一日を僕に与えてくれれば僕は満足できるから。
文句も言わないし、年をとっても気にはしない。一日を外の世界で過ごすことが出来たなら。」と。
劇団四季版の「一度でいい」の中には、これだけの気持ちが含まれていたんです。
そして「今日だけはここを抜け出してみよう」とは歌っていないことに気付いていただけたと思います。
英語版のカジモドは自分にたった一度外に出られれば満足できると歌い、思わず出てしまった…といった感じなんですね。
いかがでしたか?外の世界に出るまでのカジモドの気持ちの移り変わり、そして高揚を感じていただけたら嬉しいです。
それでは皆さん、良い観劇ライフを…
以上、あきかん(@performingart2)でした!
こんにちは!
ミュージカル考察ブロガー、あきかん(@performingart2)です。