劇団四季ミュージカル『ノートルダムの鐘(The Hunchback of Notre Dame)』より「フィナーレ(Finale)」の英語歌詞を見てみると、ところどころがラテン語歌詞で歌われており意味を理解することができません…
そこでラテン語パートの意味を調べてみました!今回は処刑台に火が放たれた直後(前半)です。
クライマックスを彩る “Finale(フィナーレ)” ですが、調べ始めたら奥が深すぎて続きの2記事目を書くことになりました。
引き続きお読み頂いている方、お付き合い頂き有難うございます!
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前回のおさらい
さて、前回の調べをおさらいしましょう。
①必読!「フィナーレ」ラテン語パートの意味の冒頭部分は『テ・デウム』という聖歌の一部が引用され、組み立てられた歌詞だということが分かりました。
まだ記事をご覧でないという方、もう一度読み直したいという方はこちらからご覧くださいね。
歌詞のおさらい
それでは本題に入りましょう。エスメラルダに火が放たれ、カジモドが「エスメラルダ!」と叫んだあと、助けに行くシーンです。
この時、石像/ガーゴイル達の台詞と交互に歌われるのがコーラスのこのラテン語です。「エスメラルダ!」から「聖域だ!」の間で歌われる「フィナーレ(Finale)」前半の歌詞をまずは見てみましょう。
緑色で色を付けたのがラテン語部分です。
Quasimodo:
Esmeralda!Chorus:
Libera me domine
De morte aeternaCongregation:
And at that moment, Quasimodo decided…Chorus:
In die illa
Tremenda
Quando caeli
Movendi suntCongregation:
He could remain still no longer…Chorus(コーラス):
Caeli et terraCongregation:
He broke free of the ropes…Chorus:
Dum venere judicareCongregation:
That were tied to the pillars…Chorus:
Saeculum per ignemChorus:
He slid down the facade like a drop of rain and climbed to the balustrade.―ミュージカル “The Hunchback of Notre Dame” より “Finale” (作詞:Stephen Schwartz)
さて、もうお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、このパート、何となく耳に聴き覚えがありませんか?
そうです、2幕のオープニング “Entr’acte(間奏曲/アントラクト)” で流れる歌詞と一緒ですよね。でも全く一緒という訳ではないんです。まずは、比較のために “Entr’acte(間奏曲/アントラクト)” の歌詞をこちらからご覧下さい。
ラテン語を理解する
聖歌『リベラ・メ』が使われている!
先程の “Entr’acte(間奏曲/アントラクト)” の記事でも記載した通り、ここで歌われているパートも聖歌『リベラ・メ』の一部です。
ただ、 “Entr’acte(間奏曲/アントラクト)” と「フィナーレ(Finale)」とでは引用されている箇所は少し異なるようですね。
『リベラ・メ』の対訳が記載されているサイト「世界の民謡・童謡 .worldfolksong.com」を参考に、 “Finale(フィナーレ)” の歌詞で使われている部分を引用しながら説明していきますね。
聖歌『リベラ・メ』の歌詞
『リベラ・メ』と「フィナーレ(Finale)」とで一致する歌詞を赤字にしながら見ていきましょう。
まず、最初の2行は『リベラ・メ』の冒頭部分と同様です。
Libera me, Domine, de morte æterna,
主よ 永遠の死から私をお救いください―リベラ・メ/Libera me(世界の民謡・童謡 .worldfolksong.com)
問題はその次の歌詞です。このパートは “Entr’acte(間奏曲/アントラクト)” では引用されていませんでしたが、こういう意味だと分かりました。
in die illa tremenda.
恐るべきその日に―リベラ・メ/Libera me(世界の民謡・童謡 .worldfolksong.com)
それに続く以下の歌詞は “Entr’acte(間奏曲/アントラクト)” にもあった『リベラ・メ』の引用です。
Quando cœli movendi sunt et terra.
天と地が揺れ動く―リベラ・メ/Libera me(世界の民謡・童謡 .worldfolksong.com)
ただ、 “et terra” が省かれていますね。terraは「大地」という意味のようですので、それを省いてここは「天が揺れ動く」という意味になりそうです。
続きを見ていきましょう。
Quando cœli movendi sunt et terra,
天と地が揺れ動く―リベラ・メ/Libera me(世界の民謡・童謡 .worldfolksong.com)
cœliが天国という意味らしいので、このフレーズからは「天と地」という意味が抜き取られていると考えられます。
Dum veneris judicare sæculum per ignem.
主が炎を持ってこの世を裁く日―リベラ・メ/Libera me(世界の民謡・童謡 .worldfolksong.com)
ラテン語パートの意味は?
ここまで1つずつ説明をしてきましたが、ラテン語の部分だけを抜き取ってまとめるとこのような意味になると言えそうです。
- Libera me domine
De morte aeterna
⇒主よ 永遠の死から私をお救いください - In die illa
Tremenda
⇒恐るべきその日に - Quando caeli
Movendi sunt
⇒天が揺れ動く - Caeli et terra
⇒天と地 - Dum venere judicare
Saeculum per ignem
⇒主が炎を持ってこの世を裁く日
いかがでしたか?エスメラルダが死に直面しているシーンで、神に救いを求めているように読みとれますね。
「フィナーレ」のラテン語はまだまだ続きがあります。記事が書き上がりましたらこのページでリンクを貼らせて頂きます。今しばらくお待ち下さい!
※続きの記事が書き上がりました!是非ご覧ください。
「フィナーレ(Finale)」の、他の記事はこちらから。
それでは皆さん、良い観劇ライフを…
以上、あきかん(@performingart2)でした!
こんにちは!
ミュージカル考察ブロガー、あきかん(@performingart2)です。