①必読!ラテン語で歌われる「間奏曲/アントラクト」の意味

あきかん

こんにちは!

ミュージカル考察ブロガー、あきかん(@performingart2)です。

劇団四季ミュージカル『ノートルダムの鐘(The Hunchback of Notre Dame)』より「間奏曲 – アントラクト(Entr’acte)」の英語歌詞を見てみると、全てがラテン語で歌われており、さっぱり理解出来ません…。

しかし、調べてみると第2幕のオープニングにふさわしい内容だということが分かりました!まずは1ブロック目から見ていきましょう。

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「アントラクト」ってどういう意味?

 

この曲、すごく好きです…。

何かが自分を責め立ててくるようなメロディーが胸を掻き乱し、どんどん気持ちに拍車がかかっていきながらも、後半は心が解き放たれたように穏やかになる曲調。

初めて聴いた時の鳥肌具合は今でも忘れません。

聴いているだけでも十分満たされるのですが、歌詞が分かったらどんなに良いだろう…と思ったのは、10回程聴いた時…。

そして、いてもたってもいられず調べてみることにしました!少し長い記事になりますが、お付き合い頂けると嬉しいです。きっと作品理解を深められるはずですよ。

まず、歌詞に入る前に理解したいのがこの曲の題名です。

“entr’acte” は目にしたことのない単語でしたのでコトバンクで意味を調べてみたところ、次のように説明されていました。

 

(フランス語)幕あい、幕あい音楽

entr’acte(コトバンク)

 

“entr’acte” はフランス語なんですね。

舞台がフランスの作品なだけあって、雰囲気を守る上で好印象です。

劇団四季版でも “entr’acte” は「間奏曲」と訳されていますから、単語の意味としては「間奏曲、幕あい音楽」と理解して良さそうです。

 

ラテン語歌詞を理解する

歌詞のおさらい

 

しかし、問題はこの歌詞の意味。

ラテン語で全く分からず、どんなことが歌われるか理解しようと思ってもできません。分かるのはただ「教会っぽい雰囲気だ」ということだけ。

ひとまず「間奏曲 – アントラクト(Entr’acte)」の歌詞がどうなっているか、おさらいしてみましょう。

 

Libera me domine
De morte aetrna
Quando caeli movendi sunt
Caeli et terra
Libera me dominie
De morte aetrna

O, salutaris hostia
Quae caeli pandis ostium

Agnus dei
Qui tollis peccata mundi
Agnus dei
Dona nobis pacem

―ミュージカル “The Hunchback of Notre Dame” より “Entr’acte” (作詞:Stephen Schwartz)

 

…さっぱり分かりませんね(汗)どこから手をつけて良いものやら。

でも、こう時はやけっぱちで1行目の “Libera me domine” をそのままそっくり検索してみます(笑)すると、ありました、wikipediaに “Libera me” という記事が…!

 

 

聖歌『リベラ・メ』が使われている!

 

“Libera me” について英語での説明しかありませんでしたが、引用してみましょう。

 

Líbera me (“Deliver me”) is a Roman Catholic responsory that is sung in the Office of the Dead and at the absolution of the dead, a service of prayers for the dead said beside the coffin immediately after the Requiem Mass and before burial.

The text of Libera Me asks God to have mercy upon the deceased person at the Last Judgment.

Libera Me(wikipedia)

 

宗教的な単語が立て続けに並んでいて、少し難しいと感じるかもしれませんが、意味さえ分かってしまえばそんなに難しい内容でもありません。

要約すると次のようなことが書かれています。『リベラ・メ(Líbera me/Deliver me)』は…

 

  1. ローマカトリック教会におけるレスポンソリウム(キリスト教聖歌の1つ)である
  2. ローマカトリック教会で埋葬ミサの前に復唱したり、歌ったりされるレスポンソリウムである
  3. 死者に無罪の申し渡しを行う時にも歌われる(主に鎮魂ミサ曲の直後、埋葬式の前に、ひつぎの横で歌われる)
  4. 故人(死者)が「最後の審判」で神に情けを求める内容である

 

…なんと!『リベラ・メ(Líbera me)』は、死者の曲だと!!!

キリスト教の聖歌の1つということは、このミュージカルのために書かれた歌ではなく、もともとある曲を2幕のオープニングに引用して歌っているということなんですね。

これは発見です!知らなかった!心臓のドキドキが止まらない…。

ちなみに、キリスト用語の説明は次をご覧くださいね。

 

  • Roman Catholic … (ローマ)カトリック教会
  • responsory … レスポンソリウム、キリスト教聖歌の曲種の一つ
  • Office of the Dead … ローマカトリック教会で埋葬ミサの前に復唱したり、歌ったりする儀式
  • absolution … 免除、無罪の申し渡し、赦免(しゃめん)、罪障消滅の宣言
  • Requiem Mass … 鎮魂ミサ曲
  • the Last Judgment … 最後の審判(この世の終わりに神が行なう審判。この時には死者もよみがえり、すべての人が「命の書/the book of life)に基づいて裁かれ、生前善行を積んだ人は天国へ入れ、そうでない人は地獄へ落ちるという)

 

聖歌『リベラ・メ』の歌詞

 

歌詞は「死者が最後の審判で神に情けを求める内容」ということですが、一体どんなことが書いてあるのでしょうか?

wikipediaを読み進めていくと、『リベラ・メ』の歌詞がしっかりと記載されていました。実際の歌と共にご覧ください。(引用の色付きは、あきかんによる。)

 

Líbera me, Dómine, de morte ætérna, in die illa treménda.
Quando cœli movéndi sunt et terra.
Dum véneris iudicáre sǽculum per ignem.
Tremens factus sum ego, et tímeo, dum discússio vénerit, atque ventúra ira.
Quando cœli movendi sunt et terra.
Dies illa, dies iræ, calamitátis et misériæ, dies magna et amára valde.
Dum véneris iudicáre sǽculum per ignem.
Réquiem ætérnam dona eis, Dómine: et lux perpétua lúceat eis.

Libera Me(wikipedia)

 

『ノートルダムの鐘』の「間奏曲 – アントラクト(Entr’acte)」とは全く異なる曲調ですね。

色付き部分がミュージカル『ノートルダムの鐘』と歌詞が同じ部分です。

 

聖歌『リベラ・メ』の意味

 

それでは日本語にするとどうなるのでしょうか?

調べてみたところ、世界の民謡・童謡 .worldfolksong.comで日本語歌詞が紹介されていたので引用します。(引用の色付きは、あきかんによる。)

 

主よ 永遠の死から私をお救いください 恐るべきその日に

天と地が揺れ動き
主が炎を持ってこの世を裁く日
来るべき裁きと怒りの時に 私は恐れおののく
天と地が揺れ動く

それは怒りの日 災いと不幸の日 大いなる嘆きの日

主よ 永遠の安息を彼らに与え 絶えざる光でお照らしください

リベラ・メ/Libera me(世界の民謡・童謡 .worldfolksong.com)

 

なるほど。

…ということは、「間奏曲 – アントラクト(Entr’acte)」の最初のブロックでは神に救いを求める内容が歌われているということが分かります。

「恐れすべきその日」というのは恐らく「最後の審判」を指しているのでしょう。

さて、ここまでは理解出来ましたが、1ブロック目以降の歌詞は『リベラ・メ』には書かれていない歌詞でした…。

意味を理解するのも一筋縄ではいきませんが、根気よく調べていこうと思います。

次の歌詞は “O, salutaris hostia” 以降です。

 

あきかん

それでは皆さん、良い観劇ライフを…

以上、あきかん(@performingart2)でした!

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