劇団四季ミュージカル『ノートルダムの鐘(The Hunchback of Notre Dame)』の「フィナーレ(Finale)」は、ところどころがラテン語で歌われていて、意味を理解することが難しいですよね。
今回はフロロー達がカジモドを追って、ノートルダム大聖堂の扉を壊そうとするシーン(前半)を解説します。
ラテン語の歌は神との関係が強いシーンで歌われます。
ここでは聖歌『ディエス・イラエ』が引用され、最後の審判について歌われていますよ。
※ これまで「フィナーレ(Finale)」のラテン語歌詞を調べてきましたが、それぞれのシーンで聖歌が引用されていることが分かりました。
・「フィナーレ」冒頭 … 『テ・デウム』
・エスメラルダの処刑台に火が放たれてから … 『リベラ・メ』と『オー・サルターリス・ホスティア』
まだ記事をご覧でないという方、もう一度読み直したいという方はこちらからご覧くださいね。
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「フィナーレ」のラテン語歌詞
火あぶりの刑からエスメラルダを救出し、ノートルダム大聖堂に戻ったカジモド。
フロローは扉を壊してでも中に入るよう命じます。
そこで歌われるラテン語がこれです。
Dies irae
Dies illa
Dies irae
Dies illa―ミュージカル “The Hunchback of Notre Dame” より “Finale” (作詞:Stephen Schwartz)
ラテン語を理解する
『ディエス・イラエ』が使われている!
この歌詞は、聖歌『ディエス・イラエ(Dies irae)』から引用されたものでした。
Dies irae(ディエス・イラエ、ディエス・イレ)とは、ラテン語で「怒りの日」を表す言葉。
キリスト教における終末思想『怒りの日』 (Day of Wrath) を表すラテン語。Dies iræ と綴られることもある。
―Dies irae(wikipedia)
「ディエス・イラエ」は「怒りの日」を意味するラテン語です。
「怒りの日」は「最後の審判」のことを指すようですね。
怒りの日(いかりのひ、ディエス・イレ、Dies irae)とは終末思想の一つで、キリスト教終末論において世界の終末、キリストが過去を含めた全ての人間を地上に復活させ、その生前の行いを審判し、神の主催する天国に住まわせ永遠の命を授ける者と地獄で永劫の責め苦を加えられる者に選別するとの教義、思想。
または、それが行われる日。
―怒りの日(wikipedia)
『ディエス・イラエ』の歌詞
では、具体的にどんなことが歌われているのでしょうか?
まず『ディエス・イラエ(Dies irae)』のラテン語歌詞を見てみましょう。
Dies iræ, dies illa
solvet sæclum in favilla:
teste David cum SibyllaQuantus tremor est futurus,
quando judex est venturus,
cuncta stricte discussurus―怒りの日(wikipedia)
色文字が「フィナーレ(Finale)」で引用されているパートですね。
『ディエス・イラエ』の意味
では、対訳はどうなっているでしょうか?
怒りの日、その日は
ダビデとシビラの預言のとおり
世界が灰燼に帰す日です。審判者があらわれて
すべてが厳しく裁かれるとき
その恐ろしさはどれほどでしょうか。―怒りの日(wikipedia)
『ディエス・イラエ』では、こんなことが歌われていると分かります。
怒りの日は、世界が灰と化す日。
最後の審判は、どのような日になることか…
「フィナーレ(Finale)」では最初の1行が繰り返し歌われていて、その意味がこうですね。
- Dies irae … 怒りの日
- Dies illa … その日は
これをミュージカルのシーンに当てはめると、フロローが裁かれるその日を暗示しているように思えませんか?
「いずれ裁きの日が来る。生前の行いを審判する時が来る。それでもフロロー、お前はそのような行いをするのか…」と神の声が聞こえてきそうな一文です。
ちなみにこのラテン語は、ミュージカルの冒頭「ノートルダムの鐘(The Bells of Notre Dame)」のジェアンの死後にも歌われています。
引用されているのは『ディエス・イラエ』の初めの2行で、意味は「怒りの日、その日は、世界が世界が灰となる日だ。神よ、憐れみたまえ。」ですよ。
また、他のラテン語歌詞については、こちらをご覧ください。
「フィナーレ(Finale)」の、他の記事はこちらから。
それでは皆さん、良い観劇ライフを…
以上、あきかん(@performingart2)でした!
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ミュージカル考察ブロガー、あきかん(@performingart2)です。