ハミルトンの母親の死後、2人きりとなった兄弟の生活

あきかん

こんにちは!

ミュージカル考察ブロガー、あきかん(@performingart2)です。

ミュージカル『ハミルトン(Hamilton)』より “Alexander Hamilton” の英語歌詞を見てみると、父親が蒸発し母を早くに亡くしたハミルトンは、その後従兄に預けられると歌われています。しかし、預けられる前にどんなことがあったかご存知ですか?

母親のレイチェルが残した負の遺産を受け取ることになったハミルトンと、その後の生活を生活を詳しく解説します。

※ アレクサンダー・ハミルトンについてより詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。

※ 『ハミルトン(Hamilton)』を理解する上で、「ラップ」とは何かも押さえておきましょう。


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母・レイチェルの残した負の遺産

歌詞の中では、母の死後従兄に預けられたと書かれていますが、実はその前に大きな出来事がありました。普通、親が亡くなったらその遺産は子どもに行きますよね。ハミルトンの父親ジェイムスは蒸発していて彼に行くことはなかったため、順当に息子たちがもらえるはずです。

しかし、思い出してください。先の記事でも書いた通り、レイチェルとジェイムスは正式に結婚しておらず、その前の夫・ジョアンと婚姻状態にありました。しかも子どももいたんですよね。そこで何が起きたか…

Rachel had few possessions and even those did not go to the orphaned Hamilton boys after Lavien swooped in to claim them for he son she had left behind with him.
The Hamilton Cookbook: Cooking, Eating, and Entertaining in Hamilton’s World[ Laura Kumin ](p.5)

レイチェルのわずかな財産は、孤児となったハミルトン兄弟(ジェイムス Jr.とアレクサンダー)に行くことなく、ジョアンがせしめることになりました。「レイチェルは俺の妻で、子どもを置いて行ったんだから当然だ」と言わんばかりです。

なので、ここで書いた「負の遺産」とは、ほぼ一銭も受け取れない状況をレイチェルが作ってしまった…ということなんです。本当に、幼少期から凄まじい人生を送っていますよね、ハミルトンは。

従兄に預けられるが…

その後ハミルトン兄弟は従兄に預けられると歌詞には書かれています。

Moved in with a cousin, the cousin committed suicide
―ブロードウェイミュージカル “Hamilton” より “Alexander Hamilton” (作詞:Lin-Manuel Miranda)

しかし、私が読んだ本には、 “uncle-by-marriage(義理のおじ)” に預けられたと書かれていました。

The two penniless, pre-teen boys ended up in the care of their uncle-by-marriage, a widower named Peter Lytton. (Peter’s wife, Rachel’s older sister, had died before Rachel.) Less than two years after Rachel’s death, Peter Lytton died too, apparently, a suicide. He left them nothing and Peter’s own father, who tried to help the boys, died a short time later.
The Hamilton Cookbook: Cooking, Eating, and Entertaining in Hamilton’s World[ Laura Kumin ](p.5)(p.5)

そのおじというのは、レイチェルの姉の夫・Peter Lytton(以下、ピーター)です。ちなみに、レイチェルの姉はレイチェルより先に亡くなっているということなので、それでピーターに預けられたんでしょう。しかし、彼は自殺してしまいます。ここは歌詞と一緒ですね。それで、その後ピーターの父親に預けられ、彼は力になろうとしたものの、間もなく亡くなってしまったとのことです。

この時期、何かの病気が流行っていたのでしょうか…行く先々で大人が亡くなり、ハミルトン兄弟が取り残される状況は想像を絶しますよね。もはや悪夢としか思えません。

兄弟、それぞれが歩む道

そうやって身寄りを亡くした兄弟は、それぞれの道を歩むことにします。

James Jr. was apprenticed to a carpenter and Alexander, who had already begun to clerk in a trading house, left to live with the family of a merchant named Thomas Stevens. Hamilton formed a lifelong friendship with one of the Steven’s five children, Edward,who later became a physician and who, in 1793, saved Hamilton and his wife during a yellow fever epidemic.
The Hamilton Cookbook: Cooking, Eating, and Entertaining in Hamilton’s World[ Laura Kumin ](p.5)(p.5)

ジェイムス Jr.は大工として、アレクサンダーは商人Thomas Stevens(以下、トーマス)の貿易商会で働くこととなりました。ここで2人の人生は分かれるんですね。まだ十代にも関わらずそれぞれ独立して生活していくなんて、なかなか想像できることではありません…。

ちなみにハミルトンはトーマスの息子の1人エドワードと生涯友好を保ち、後に医者となったエドワードは1973年にハミルトンと妻・エリザベスを黄熱病から救うことになります。まさに、命の友…。

彼がどのようにして貿易商会で働いていたかは歌詞にも書かれている通りです。

Started workin’, clerkin for his late mother’s landlord
Tradin sugar cane and rum and other things he can’t afford
―ブロードウェイミュージカル “Hamilton” より “Alexander Hamilton” (作詞:Lin-Manuel Miranda)

サトウキビ、ラムなどを貿易していたと書かれていますが、それ以外にはこのようなものの取引もしていたようです。

As a clerk at a trading house, Hamilton learned how to trade the local crops, sugar, molasses and rum, for timber, flour, and other supplies.
The Hamilton Cookbook: Cooking, Eating, and Entertaining in Hamilton’s World[ Laura Kumin ](p.5)(p.5)

穀物、糖蜜、ラム、小麦粉などですね。生活に必要な食糧品といったところでしょうか。

そしてこ後、彼に大きなチャンスが舞い込みます。それがハリケーン襲来を書いた文章です。是非、他の記事とせてご覧ください。

Alexander Hamilton” の、他の記事はこちらから。

あきかん

それでは皆さん、良い観劇ライフを…

以上、あきかん(@performingart2)でした!

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