劇団四季ミュージカル『ノートルダムの鐘(The Hunchback of Notre Dame)』より “Flight Into Egypt(エジプトへの逃避)” の英語歌詞を見てみると、聖アフロディージアス(Saint Aphrodisius)という名前の聖徒が出てきます。
作品を理解する上で重要な脇役とも言える存在ですが、一体何者なのでしょうか?今回は斬首された理由と不思議な出来事について説明しますよ。
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何故首が取れたのか
聖アフロディージアス。
『ノートルダムの鐘』で、ちょこちょこ登場するにも関わらず、彼についてほとんど説明されていないのが現状ですよね。
「聖アフロディージアスって誰?」「何で首が取れてるの??」と、もやもやしている方も多いのではないでしょうか。
次の記事では、聖アフロディージアスがベジエの司祭であり、暴徒によって斬首されたことを説明しました。
斬首された場所は、このよう説明されています。
Local traditions assign Aphrodisius as the first Bishop of Béziers and state that he was decapitated by a group of pagans, along with his companions, on the street now known as Place Saint-Cyr, the site of a Roman circus used for gladiators’ fights.
― “St.Aphrodisius” (wikipedia)
斬首されたのはローマ円形広場の遺跡でも知られている、サン=シールの路上だそうです。
摩訶不思議な出来事
湧き出る井戸
聖アフロディージアスに関わる話では、摩訶不思議なことが3つも起こっています。
1つ目から見ていきましょう。
Aphrodisius was executed by beheading. The head was kicked into a well, but the water gushed out and the decapitated Aphrodisius picked up his own head, and carried it through the city.
―St.Aphrodisius(wikipedia)
こういうことが書かれています。
- 切り落とされた頭部を(異教徒が)井戸に蹴り入れたところ、井戸から水が湧き出た
- 頭部のない聖アフロディージアスが、自身の頭を拾い上げ、それを街中に持って行った
…どんな状況なんでしょうか、これ(苦笑)。
想像すると少し不気味な光景ですが、いずれにしても神がかっている感じがしますね。
演出上で自分の頭を手に持っているのは、こういう経緯があったからと言えるでしょう。
しかし摩訶不思議な出来事はこれでは終わりません。
壊れないカタツムリ
2つ目は何でしょうか?
Townspeople spill snails on the road and Aphrodisius stepped on them without breaking one.
―St.Aphrodisius(wikipedia)
こんなことが書かれています。
- 市民はカタツムリを路上にばらまいたが、聖アフロディージアスは1つも壊さずにその上を歩いた
何故市民がカタツムリをばらまいたのかは分かりませんが、頭部を持って歩いていた聖アフロディージアスに対する嫌がらせや冷やかしでしょう。
いずれにしても1つも殺すことなく歩いたというのですから凄いです。
石になった石屋
最後の文章を見てみましょう。
Several stonemasons began to mock him, calling him a madman. They were miraculously punished by being turned into stones (visitors still point out their seven stone heads on the Rue des Têtes, “the street of the heads”).
―St.Aphrodisius(wikipedia)
ここを要約すると、こういうことが書かれています。
- 複数の石屋が聖アフロディージアスを嘲笑い始め、彼を「頭がおかしい人」だと呼んだ。
- 彼らは不思議なことに石に変化させられることにより罰せられた 。
おぉ…聖アフロディージアスを馬鹿にした人間に、天罰が下されましたね…。
面白いもので、この「頭の道(Rue des Têtes/the street of the heads)」という通りは存在し、7つの石の頭を確認出来るそうですよ。
「Rue des Têtes/the street of the heads(頭の道)」は、フランスの東部にあるようです。
「エジプトへの逃避(Flight Into Egypt)」の、他の記事はこちらから。
それでは皆さん、良い観劇ライフを…
以上、あきかん(@performingart2)でした!
こんにちは!
ミュージカル考察ブロガー、あきかん(@performingart2)です。