必読!聖アフロディジアスを徹底調査!①結局、何者なの?


劇団四季ミュージカル『ノートルダムの鐘(The Hunchback of Notre Dame)』より「エジプトへの逃避(Flight Into Egypt)」の英語歌詞を見てみると、聖アフロディジアス(Saint Aphrodisius)という名前の聖徒が出てきます。
作品を理解する上で重要な脇役とも言える存在ですが、一体何者なのでしょうか?
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Contents:
どういう人?
ベジエの司祭
“Flight Into Egypt(エジプトへの逃避)” の英語歌詞を見てみましょう。ここで聖アフロディジアスがどういう存在か、簡単に説明されていますよ。
Saint Aphrodisius
The bishop of Beziers
I was beheaded by
A mob in Place Saint-Cyr―ミュージカル “The Hunchback of Notre Dame” より “Flight Into Egypt” (作詞:Stephen Schwartz)
意味はこうです。
・Saint Aphrodisius the bishop of Beziers…聖アフロディジアスはベジエの司祭
・I was beheaded by a mob in Place Saint-Cyr…私はサン=シールの地で暴徒によって斬首された。
ここでは聖アフロディジアスがベジエの司祭だと分かりますが、次の記述によるとベジエ初の司祭だということも分かっています。
Local traditions assign Aphrodisius as the first Bishop of Béziers and state that he was decapitated by a group of pagans, along with his companions, on the street now known as Place Saint-Cyr, the site of a Roman circus used for gladiators’ fights.
― “St.Aphrodisius” (wikipedia)
ちなみに、ベジエは南フランスのラングドック内にあるそうです。
Saint Aphrodisius (French: Saint Aphrodise, Afrodise, Aphrodyse, Aphrodite) is a saint associated with the diocese of Béziers, in Languedoc, southern France.
― “St. Aphrodisius” (wikipedia)
ベジエとラングドックの関係性は次の通りです。
サン=シールで斬首
そして、サン=シールの地で暴徒によって斬首されたんですね。
………斬首。
演出でも首がポロッと落ちてしまいますが、ここは笑いどころのようですよ。
『ノートルダムの鐘』はキリスト教が背景にある作品ですから、こういった皮肉な表現はキリスト教が身近にある観客にとっては笑えるんでしょうね。
斬首された理由は、こちらの記事でご覧ください。
ベジエとサン=シールの位置関係です。
聖家族をかくまった
歌詞はこう続きます。
And though I made a choice
I did not know would bring
My grizzly modering
I wouldn’t change a thing
For I kept safe and free
The Holy Family
Of that flight into Egypt
Land of the date and palm
I offered shelter to her―ミュージカル “The Hunchback of Notre Dame” より “Flight Into Egypt” (作詞:Stephen Schwartz)
ここでは、この曲名にもなっている「エジプトへの逃避(Flight Into Egypt)」について触れられています。
「エジプトへの逃避」とは、聖家族であるイエス、ヨセフ、マリアの3人が難を逃れるためにエジプトへ逃げたしたことを指します。
そんな聖家族をエジプトにてかくまったのが、聖アフロディジアスなんです!
聖家族をどこにかくまったかは、この記述を読むと分かります。
Christian tradition states that he was a prefect or high priest of Heliopolis who sheltered the Holy Family at Hermopolis when they fled into Egypt.
―St. Aphrodisius(wikipedia)
「聖アフロディジアスはヘリオポリスの長官(もしくは大司祭)であり、聖家族がエジプトへ逃避した際にヘルモポリスでかくまった」そうです。
エジプトに逃げた理由はこちらをご覧くださいね。
聖アフロディジアスとカジモドの状況を重ねた歌だった!
前半4行では、聖アフロディジアスが聖家族をかくまうまでの葛藤が歌われています。
・かくまうという決断をしたところで、それによってどんな事が起こるか分からない
・でも自分自身がが一人で安全で自由な場所にい続けたとしたら、何1つとして変化をもたらすことはできない
この話しを聞いて似たような場面を思い出しませんか?
そうです。
カジモドがエスメラルダやフィーバスをノートルダム大聖堂でかくまう状況に、そっくりですよね!
フロローの教えを守って大聖堂の中にいるべきか、リスクを負ってでも守るべきか。
そんな葛藤の中にいるカジモドを諭すために、聖アフロディジアスは自分の経験談をカジモドに語りかけるわけです。
大聖堂という場所で、聖人がカジモドを諭す…これは、本作品ならではの演出ではないでしょうか。
最低限押さえておきたい聖アフロディジアスの情報が、以上です。
ここからもっと深く切り込んでいきますので、是非他の記事もご覧ください。
「エジプトへの逃避(Flight Into Egypt)」の、他の記事はこちらから。
