ミュージカル『ハミルトン(Hamilton)』より “Helpless” の英語歌詞を見てみると、エリザベスがハミルトンに出会ってから恋に落ちるまでの様子が非常に丁寧に、かつ美しく表現されています。
今回は、冬の舞踏会( “A Winter’s Ball” )にて、アンジェリカがエリザベスを紹介するシーンを解説しますよ。
こちらの記事をお読みでない方は、是非先にご覧くださいね。
ちなみに、「冬の舞踏会」がどのようなものだったかはこちらの記事で説明しています。是非併せてご覧ください。
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歌詞のおさらい
今回注目する歌詞は次のパートです。
HAMILTON:
Where are you taking me?ANGELICA:
I’m about to change your lifeHAMILTON:
Then by all means, lead the wayELIZA:
Elizabeth Schuyler. It’s a pleasure to meet youHAMILTON:
Schuyler?ANGELICA:
My sisterELIZA:
Thank you for all your serviceHAMILTON:
If it takes fighting a war for us to meet, it will have been worth itANGELICA:
I’ll leave you to it
ブロードウェイミュージカル “Hamilton” より “Helpless” (作詞:Lin-Manuel Miranda)
英語歌詞を解説
イディオムを知ろう
ここの会話、一見そんなに難しくなさそうに見えるのですが、イディオムが散りばめられているので案外読み解くのが難しいかもしれませんね。イディオムが分かれば会話の内容は、一気に視野が広がります。1つずつクリアしていきましょう。
- by all means…よろしいとも、どうぞ、ぜひ
- lead the way…先頭に立って行く、道案内する
- I’ll leave you to it…あとはよろしく
どうです?半分くらいはシーンの様子がイメージ出来たのではないでしょうか?
難しい表現
また、イディオムではないけれど少し理解が難しい表現も含まれています。それらがこれの2つ、エリザベスの表現です。
- It’s a pleasure to meet you…お目にかかれて光栄です
- Thank you for all your service…お勤めご苦労様です
“It’s a pleasure to meet you” はこのシーンではハミルトンとエリザベスの立場を考慮してこう訳していますが、日常的にも使います。その場合は「お会いできて嬉しいです」といった意味合いで使いますので、覚えておくと良いですよ。
また “Thank you for all your service” が何故このような意味か…ですが、 “service” とは「(他人に対する)奉仕、役に立つこと、功労」のことを言います。このシーンの場合、ハミルトンは戦争に行っている身分ですから、それに対してエリザベスは “Thank you for all your service” と言っているのですね。
ハミルトンの口説き文句がカッコいい
さて、そんな風にねぎらわれたハミルトンが何と言ったかがカッコイイんです。
- If it takes fighting a war for us to meet, it will have been worth it
先頭にあるのが “If” であることから「もし○○、●●だ」という構造になっていることが分かります。なので ” , ” の前後で文章を区切って考えるとスムーズに理解できますよ。
“fighting a war” が「戦争で戦うこと」、 “for us” は「私たち(ハミルトンとエリザベス)にとって」、 “to meet” が「出会わせる」ですから、前半は「もし戦争で戦うことで私たちが出会えたのならば」となります。そして “worth” とは「価値がある」という意味ですから、ハミルトンはこう言っているのですね。
- もし戦争で戦ったことで私たちが出会えたのならば、価値があったよ
さすが、口達者。
とてもキザな言い方ですが、要は「戦争があったから僕たちは出会えたね」と言っているのです。何故ならこのパーティーは、ハミルトンのように戦争で戦っていた人たちと女性たちが出席するパーティーでしたから。
英語歌詞の意味
さて、ここまで分かったらやりとりの内容は分かりますね。
- ハミルトン:僕をどこへ連れて行こうとしているんだい?
- アンジェリカ:あなたの人生を変えてあげようとしているところよ
- ハミルトン:そういうことなら是非、道案内してくれ
- エリザベス:エリザベス・スカイラーと申します。お会いできて光栄です。
- ハミルトン:(アンジェリカと同じ名字だと知って)スカイラー?
- アンジェリカ:私の妹なの
- エリザベス:お勤めご苦労様です
- ハミルトン:もし戦争に行くことであなたと出会えたならば、戦争にも価値がありましたよ
- アンジェリカ:あとはよろしくね!
いかがですか?やりとりをご理解頂けたと思います。とても自然な会話ですよね。妹が一目惚れをしたことに気付いた姉が、世話を焼いて間を取り持つ。
そう、とーーーーーっても自然な会話ですよね…(号泣)。
なぜ、私がここで号泣しているのか、それは次の曲 “Satisfied” を読んで頂ければ分かって頂けるはず。特にアンジェリカの底抜けに明るい “I’ll leave you to it!(あとは頼んだわよ!)” と言って、2人に気を利かせて去って行くところで、毎回涙腺が崩壊します。
こんな自然なやりとりで何故涙するのか…その理由は次の記事をお楽しみに!
“Helpless” の、他の記事はこちらから。
それでは皆さん、良い観劇ライフを…
以上、あきかん(@performingart2)でした!
こんにちは!
ミュージカル考察ブロガー、あきかん(@performingart2)です。