ミュージカル『ハミルトン(Hamilton)』は、台詞がなく、曲のみで進行するミュージカルです。
そのため、曲を聴くことは作品を観るのに等しく、歌詞をどれだけ理解したかが作品の理解度に直結します。
曲数が46曲ととても多いですが、1幕と2幕に分けて解説していきますよ。
2幕は独立後のアメリカから、ハミルトンがアーロン・バーとの決闘でこの世を去るところまでが描かれています。
登場人物の関係性も押さえておくと、理解度が上がりますよ。
※ 登場人物については、こちらをご覧ください。
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目次
- 1 What’d I Miss?
- 2 Cabinet Battle #1
- 3 Take A Break
- 4 Say No To This
- 5 The Room Where It Happens
- 6 Schuyler Defeated
- 7 Cabinet Battle #2
- 8 Washington On Your Side
- 9 One Last Time
- 10 I Know Him
- 11 The Adams Administration
- 12 We Know
- 13 Hurricane
- 14 The Reynolds Pamphlet
- 15 Burn
- 16 Blow Us All Away
- 17 Stay Alive (Reprise)
- 18 It’s Quiet Uptown
- 19 The Election of 1800
- 20 Your Obedient Servant
- 21 Best of Wives and Best of Women
- 22 The World Was Wide Enough
- 23 Who Lives, Who Dies, Who Tells Your Story
What’d I Miss?
曲名の意味:何があった?
・ フランスに外交官として駐在していたトマス・ジェファーソンが1789年にアメリカへ帰国
・ 国務長官に任命され、マディソンから財務長官ハミルトンの進めていた財政政策に反対するように依頼される
・ 「私がいない間(フランスに行っている間)に何があった?」と歌い、現在のアメリカの進捗状況を確認していく
Cabinet Battle #1
曲名の意味:議会での論争①
・ 連邦議会で財政政策について激しく討論するジェファーソンとハミルトン
・ ハミルトンの公債償還計画が無謀だと主張するジェファーソンに対して、ハミルトンが反論するかたちをとる
・ ジェファーソンは農本主義のため、お金を転がして利益を得ることに対して反対していた
・ ハミルトンはジェファーソンの理想主義的なところや、奴隷を所有していたことなどを皮肉っている
・ ハミルトンの公債償還計画には反対を主張する者が多く、決定するには賛成票が少ないだろうとジェファーソンとマディソンが陰で言う
Take A Break
曲名の意味:休憩して
・ ハミルトンとエリザベスの息子が9歳になったと分かる
・ エリザベスとフィリップがピアノの練習をしている一方で、ハミルトンはアンジェリカと文通をし仕事の相談をしている
・ この文通では未だにお互いが曖昧な関係にあることが読み取れる
・ 相変わらず忙しいハミルトンに、夏は休暇をとってスカイラー家へ行こうと誘われる
・ アンジェリカはハミルトン一家と父の元へ行くつもりで帰国したが、ハミルトンは仕事のため行かないと知る
・ 「休暇して」と懇願する2人を前に、休憩せずに仕事をするハミルトンの様子がうかがえる
Say No To This
曲名の意味:ダメだと言え
・ エリザベスとアンジェリカがスカイラー家に戻りハミルトンはひとり
・ 仕事に没頭し疲れ果てている時、マリア・レイノルズがハミルトンの自宅にやってくる
・ マリアは「夫が自分に暴力をする上に、行方をくらませてしまったので助けて欲しい」という
・ ハミルトンはマリアにお金を貸し帰ろうとしたが、マリアに誘われ不倫を始めてしまう
・ ある日、マリアにレイノルズの夫・ジェームズから手紙を受ける
・ 手紙の内容は「妻・マリアに会い続けるならば、金を払え。でなければお前の妻にこのことを言うぞ」というものだった
・ ハミルトンはジェームズからのゆすりに応じ、ことを明らかにしないよう要求する
The Room Where It Happens
曲名の意味:それが起こる部屋(政治決定が行われる部屋)
・ 財務長官になったハミルトンに話しかけるバー
・ 自分の味方が少ない中で、親友であるバーに手を貸してくれと珍しく頼むハミルトン
・ 話の途中でマディソンに呼ばれ、政治決定は夕食会で行われると告げその場を後にする
・ 政治決定の経緯は、閉鎖された空間で執り行われているため誰も知らないと歌いながら、同時にこれを羨ましく思う
・ 自分も政治決定が行われる部屋に入りたいと野心を歌う
Schuyler Defeated
曲名の意味:スカイラーの敗北
・ ハミルトンとバーが対立し始める
・ スカイラー家の父親・フィリップはアーロン・バーによって議席を奪われる
・ 連邦派であるハミルトンを引きずり下ろすために、バーは所属政党を民主共和派変えて選挙に出馬
・ 「親友だと思っていたのにこんなことをするとは」と言うハミルトンに対し「チャンスを掴んだだけだ」と答えるバー
Cabinet Battle #2
曲名の意味:議会での討論②
・ フランス革命戦争の勃発により、独立戦争時にフランスと結んだ同盟条約がそのまま残っていたアメリカは、どう立ち回るか判断を迫られていた
・ ジェファーソンは、アメリカ独立戦争時にラファイエットをはじめとしたフランスがアメリカを助けてくれたことを持ち出し、フランスを支援するべきと主張
・ ハミルトンは同盟条約を締結したのはブルボン家とだと、中立の立場を主張する
・ ジェファーソンは「アメリカ独立戦争時にアメリカを助けてくれたラファイエットを忘れたのか?」とハミルトンに対して嘆く
Washington On Your Side
曲名の意味:お前の味方のワシントン
・ ジョージ・ワシントンがハミルトンに肩入れしていることを皮肉るジェファーソン、マディソン、バー
・ 「ワシントンが味方してくれるのはよいものだろうな」と歌い、ハミルトンをはじき出すためには、ワシントンを味方につけるのが良いと話し合う
One Last Time
曲名の意味:これで最後
・ ジョージ・ワシントンに呼び出されたハミルトン
・ トマス・ジェファーソンが辞任し、大統領選に出馬することが告げられる
・ ワシントンも大統領選に出馬すると思い込んでいるハミルトンは「あなたに敵うかどうか」と鼻で笑うが、ワシントンから出馬せず政界を去ることを告げられる
・ 「別れの言い方をみんなに教えてやるんだ」と歌うジョージ・ワシントン
I Know Him
曲名の意味:僕、彼を知ってる
※ 「彼」とは、ジョージ・ワシントンの後に大統領となるジョン・アダムスのこと
・ イギリス国王・ジョージ3世が歌う曲
・ ジョージ・ワシントンが大統領から退くことを知り、アメリカの行く末を野次馬根性で見届けている
・ ジョージ・ワシントンの後継者がジョン・アダムスと知り、驚いている
ジョージ3世が歌う “You’ll Be Back” と “What Comes Next?” の3曲セットで理解すると、イギリスとアメリカの関係性が分かりやすい。
The Adams Administration
曲名の意味:アダムス政権
・ ジョージ・ワシントンからジョン・アダムス政権に
・ 副大統領はトマス・ジェファーソン
・ ハミルトンはアダムスにより首となる
・ ハミルトンはアダムス政権を批判する論文を多数発表
・ 「ハミルトンが執筆できる限り、彼は脅威だ」と、予断を許さないジェファーソン
We Know
曲名の意味:俺たちは知っている
・ ハミルトンがジェームズ・レイノルズに支払った小切手を見つけ、不正な使い込みを問い詰めるジェファーソン、マディソン、バー
・ 「法に反するようなことはしていないと証明できれば、私がこれから話すことを他人に漏らさないと誓えるか?」とハミルトン
・ ハミルトンは、マリア・レイノルズとの不倫を告白
・ ジェファーソン、マディソン、バーは幻滅
・ バーに「この情報を自分の不利なようには使わないよな」と確認するも、「噂は拡大するだけだ」と答えられる
Hurricane
曲名の意味:ハリケーン
・ 自分がいかに「書くこと」で救われて来たか回想するハミルトン
・ どんな時も自分の目で見たこと「書き」、自分で考えたことを「書く」ことで乗り越えてきたため、今回も「書くこと」で乗り切ろうと決断
・ 自身の不倫を公表する『レイノルズ・パンフレット』を執筆する
The Reynolds Pamphlet
曲名の意味:レイノルズ・パンフレット
・ マリア・レイノルズとの不倫を『レイノルズ・パンフレット』で告白したハミルトン
・ このスキャンダルにより「ハミルトンは大統領にはなれないだろう」と喜ぶジェファーソン
・ 妹・イライザの身を案じたアンジェリカがロンドンより帰国
・ 自分のためにアンジェリカが帰国したと安堵するハミルトンだが、アンジェリカに非難される
Burn
曲名の意味:燃やす
・ ハミルトンの不倫を知り、嘆くエリザベス
・ 今まで文通してきた手紙の全てをとっておいたのは、ハミルトンが自分のものだと信じられるためだと歌う
・ しかし不倫を知った今、もはや信じるべきものもなくなったと言い、過去の手紙を燃やす
Blow Us All Away
曲名の意味:みんなを驚かせてやる
・ 19歳になったハミルトンの息子・フィリップ
・ 人前で父親を侮辱したジョージ・イーカーに決闘を申し込む
・ 初めての決闘を控え父親に相談したところ「10カウント目で空に向かってに撃つ」ようにアドバイスされる
・ 「もしイーカーが撃ってきたら?」と心配する息子に対し、相手が紳士ならば撃ってくることなどないと諭す
・ 決闘でカウントが始まりフィリップが銃を空に向けた7カウント目に、イーカーがフィリップを撃ってしまう
Stay Alive (Reprise)
曲名の意味:生きていて(リプライズ)
・ 病院に運び込まれたフィリップの元に駆けつけるハミルトン
・ 呼吸が乱れる中で「言われた通りにした」と伝えるフィリップ
・ 時間差で到着したエリザベスに「決闘が行われるか知っていたのか」ととがめられるハミルトン
・ 母・エリザベスと一緒にフランス語を学んでいたの思い出を語りながら、フランス語で数字を数えるが、フィリップは途中で息を引き取る
It’s Quiet Uptown
曲名の意味:アップタウンは静かだわ
・ 静かなアップタウンに移ったハミルトンとエリザベス
・ 白髪になったハミルトンは街を一人で歩き、日曜日には子どもを教会へ連れていき、祈る
・ 妻・エリザベスには「君さえいえればそれで十分なんだ」伝える
・ 悲しみに暮れながらもハミルトンを受け入れるエリザベス
・ 今までになかった生活をしながら、2人でなんとか息子の死を受け入れようとする
The Election of 1800
曲名の意味:1800年の大統領選挙
・ 1800年の大統領選挙で対立するのはアーロン・バーと、トマス・ジェファーソン
・ お互い良い勝負の中、ジェファーソンとマディソンはハミルトンを取り込めば自分たちに票がつくと話し合う
・ 選挙活動で忙しくしているアーロン・バー
・ ハミルトンは「ジェファーソンと意見は対立するが、彼には信念がある。バーにはない。」という理由で、ジェファーソンを支持
・ ジェファーソンが大統領、アーロン・バーが副大統領となる
Your Obedient Servant
曲名の意味:敬具
・ ハミルトンがジェファーソンに1票入れたことで大統領選に負けたアーロン・バー
・ ハミルトンの行為に怒り心頭し、手紙で積年の嫉妬と恨みを晴らす
・ バーからの手紙に対し「自分は自分の信念を通している。言動にも責任を持っている。ただ君は何を考えているか分からないし、自分のことしか考えていない」と返す
・ 結果、バーにより決闘が申し込まれる
Best of Wives and Best of Women
曲名の意味:最高の妻、そして最高の女
・ 眠らずに何かを一心不乱に書いているハミルトンに、眠りに戻るよう声をかけるエリザベス
・ 「夜明けに人と会う約束があるから」と伝え、エリザベスを「最高の妻、そして最高の女」と呼ぶ
・ これが夫婦の最後の会話となる
The World Was Wide Enough
曲名の意味:世界は十分に広かった
・ バーとハミルトンの決闘がどのように行われたかが歌われる
・ バーはハミルトンに向けて撃ち、ハミルトンは空に向かって発砲
・ ハミルトンは倒れ、この世を去る
・ バーは「世界は(自分とハミルトンを受け入れるだけ)十分に広かったと知っておくべきだった」と嘆く
Who Lives, Who Dies, Who Tells Your Story
曲名の意味:誰が生き、誰が死に、誰が君の物語を語り継ぐか
・ 登場人物が集まり、ハミルトンの功績が歌われる
・ レイノルズ事件で一度はハミルトンの人生の物語から自分を消すと歌っていたエリザベスが、ハミルトンの物語を語り継ぐと歌う
・ エリザベスはハミルトンの残した書物を読み、共に戦った兵士から話を聞き、奴隷制度に反対し孤児院を建てたことが歌われ、本編終了となる
こんにちは!
ミュージカル考察ブロガー、あきかん(@performingart2)です。