グロールタイガーの英語歌詞には、オウムとボスと女バーテンが登場?

劇団四季ミュージカル『キャッツ(CATS)』より“Growltiger’s Last Stand(グロールタイガー – 海賊猫の最期)”の英語歌詞を見てみると、劇団四季版では登場しないオウムとボスと女バーテンの話が出てきます

自分がシャム猫軍に襲われて死ぬとは思ってもいないグロールタイガーが、最後に歌う曲。

昔を思い出し、感傷に浸るグロールタイガーの話とはどのようなものだったのでしょうか?今回はそこを詳しく見ていきましょう。

【ブロードウェイミュージカル“Cats”/“Growltiger’s Last Stand”/作詞:T.S. Eliot * 劇団四季ミュージカル『キャッツ』/「グロールタイガー – 海賊猫の最期」/訳詞:浅利慶太】

 

グロールタイガーが通った、実在するパブ“the old Bull and Bush”

 

今回ご紹介するのは、劇団四季版ではごっそり抜き取られている場面です。

思い返しているのは、グロールタイガーがよく通っていたパブでの話。どのようなパブかは、この歌詞から分かります。

 

Oh, how well I remember the old Bull and Bush
Where we used to go down of a Sattaday night,

―ブロードウェイミュージカル “Cats” より “Growltiger’s Last Stand”(作詞:T.S. Eliot)

 

“Oh, how well I remember”というのは、「あぁ、どれだけ~のことをよく覚えていることか」といったニュアンスです。

何をよく覚えているのかというと、“the old Bull and Bush(オールド・ブル・アンド・ブッシュ)”のことですね。

“the old Bull and Bush”について調べてみると、次のような記述がありました。

 

The Old Bull and Bush is a Grade II listed public house near Hampstead Heath in London which gave its name to the music hall song “Down at the old Bull and Bush” sung by Florrie Forde.

The Old Bull and Bush is managed by Mitchells and Butlers under the Premium Country Dining Group brand. The interior was renovated to a modern, gastropub style with an openly visible kitchen and reopened to the public on 24 March 2006. Until the introduction of the English smoking ban on 1 July 2007, The Bull and Bush was one of the few completely smoke-free pubs in London.

the old Bull and Bush(wikipedia)

 

まず初めに書かれていたのは「グレード2のパブリックハウス」だということです。

パブリック・ハウスとは、いわゆるパブのことのようです。

 

パブ(Pub)とは、イギリスで発達した酒場のこと。パブリック・ハウス(Public House)の略。類似呼称にバーがある。アメリカ合衆国では同スタイルの酒場はバーとなる。日本では、洋風の居酒屋のことを「パブ」や「バー」と呼んでいるが、最近では酒類を提供する風俗店にも「パブ」の名が多く使われている。

パブ(wikipedia)

 

では「グレード2」とはどういうことなのでしょうか?

 

There are three types of listed status for buildings in England and Wales:
Grade I: buildings of exceptional interest.
Grade II: particularly important buildings of more than special interest.
Grade II: buildings that are of special interest, warranting every effort to preserve them.

Listed building(wikipedia)

 

どうやらイングランドとウェールズには、保護すべき建物のグレードが3種類あるようです。

グレードを上から順に説明すると、次のようになります。

 

1. 特別な興味を引くような建物

2. 一般的に特別(またはそれ以上)な興味を引く重要な建物

3. 特別な興味を引く建物で、正当な理由でその維持に努めるもの

 

日本でいうところの重要文化財のようなものかと思います。

つまり“the old Bull and Bush”は重要文化財級の建物で、ロンドンの Hampstead Heath(ハムステッドヒース)にあるということです。

“Premium Country Dining Group”というブランドによって運営されており、レンガ造りの建物で、内装はリフォームされてモダンな雰囲気になっているよう。

歌詞内に“A very nice house, from basement to garret(地下から屋根裏部屋までとても素敵な建物で)”とありますから、かなり素敵な空間なんだろうなと思います。

 

 

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“the old Bull and Bush”については、こちらで画像付きでまとめています。是非併せてご覧くださいね。

 

 

ボスと、オウムと、女バーテン

 

では、そのバーで良く合っていた登場人物がどういう存在なのかを見ていきましょう。

登場するのは次の3名です。

 

・Mr. Clark(boss)…ミスター・クラーク(ボス)

・Billy M’Caw(parrot)…ビリー・マコウ(オウム)

・Lily LaRose(barmaid)…リリー・ラローズ(女バーテン)

 

ミスター・クラークとリリー・ラローズが人なのか猫なのか正確には分かりませんが、『キャッツ』は猫目線の物語なので、恐らく猫なんだと思います。

 

ボス:Mr. Clark(ミスター・クラーク)

 

ミスター・クラークは“the boss”と説明がありますので、誰かのボス(上司)だということは明らかです。

 

・it came with a rush,  for the boss, Mr. Clark…それはボスであるミスター・クラークのところへすぐさまやって来た

 

「それ」というのは文脈から捉えると“parrot(オウム)”のことだと分かりますから、オウムとミスター・クラークに上下関係があるようですね。

 

・he was very polite…彼はとても親切だった

 

ミスター・クラークとはオウムであるビリー・マコウのボスで、とても親切な猫だったということですね。

海賊とよく一緒にいる鳥の種類って、なんとなくオウムだなというイメージがあると思うのですが、そう考えると、ミスター・クラークもグロールタイガーのような海賊で、このバーに通い詰めていたのだと推測できます。

 

オウム:Billy M’Caw(ビリー・マコウ)

 

ビリー・マコウはオウムです。彼について書かれている部分を見てみましょう。

 

・when anything happened, it came with a rush, for the boss…どんな些細なことでも、起こったことはすぐにボスに伝えにすぐさまやってくる

・the parrot named Billy M’Caw, that brought all those folk to the bar…名前はビリー・マコウと言い、彼は各地の民謡をバーに持ち帰ってくれた

・Ah! He was the life of the bar…あぁ、彼はバーの中心にいる奴だった

 

オウムのビリー・マコウはミスター・クラークの手下で、情報をミスター・クラークに持ってくる役目を担っていたんですね。

そんな彼はグロールタイガーが通うバーで常に中心にいる存在だったということです。

 

女バーテン:Lily LaRose(リリー・ラローズ)

 

リリー・ラローズは女バーテン。

“lily”は「ユリ」、“rose”は「バラ」ですが、どんなメス猫なのでしょうか。

 

・she was a girl what had brains in her head…頭のキレる女の子だった

・If it came to an argument, or a dispute, she’d settle it offhand with the toe of her boot or as likely as not put her fist through your eye…口論が起きれば即座にブーツのつま先で辞めさせるか、目にパンチを食らわせる

・when we was happy and just a bit dry, or when we was thirsty, and just a bit sad, she would rap on the bar with that corkscrew she had…俺たちが幸せでちょっと喉が渇いて、ちょっと寂しい時、彼女は手に持っているコルクの栓抜きでテーブルをトントン叩いた

 

彼女は恐らくとても機転の利く子だったのでしょう。

客同士の喧嘩が起これば仲裁に入るし、客がセンチメンタルになっている時はリズムをとったりして、空間を和ませているんですね。

 

オウムの踊りと歌、そして女バーテンのリクエスト

 

そんなリリーは、ビリーが来るといつもこう言っていました。

 

She’d say “Billy! Billy M’Caw! Come give us,
Come give us a dance on the bar.”
And Billy would dance on the bar, and Billy would dance on the bar.

―ブロードウェイミュージカル “Cats” より “Growltiger’s Last Stand”(作詞:T.S. Eliot)

 

「ビリー・マコウ、こっちに来てダンスを見せてよ。」とリクエストするんですね。そうするとビリーが踊る…。どんなに愉快な空間だったことでしょう。

その後グロールタイガー達がどうなるかというと…

 

And then we’d feel balmy, in each eye a tear,
And emotion would make us all order more beer.
Lily, she was a girl what had brains in her head;
She wouldn’t have nothing, no not that much said.

―ブロードウェイミュージカル “Cats” より “Growltiger’s Last Stand”(作詞:T.S. Eliot)

 

とても清々しい気持ちになって、涙を目に浮かべて、よりビールを頼みたくなる気分になるそうです。

これは女バーテンリリーの戦略かもしれませんね。そしてリリーはビリーにこんなリクエストもしています。

 

And say “Billy! Billy M’Caw!
Come give us a tune on your pastoral flute!”

―ミュージカル “CATS” より “Growltiger’s Last Stand”

 

“Billy! Billy M’Caw!
Come give us a tune on your moley guitar!”

―ブロードウェイミュージカル “Cats” より “Growltiger’s Last Stand”(作詞:T.S. Eliot)

 

「いなか町の音楽を聴かせてよ」と「ギターを弾いてみせてよ」ですね。いずれも昔懐かしさを感じさせそうなリクエストです。

そしてやっぱり、グロールタイガー達はビールを頼みたくなってしまうという展開。

売り上げを上げるためであると同時に、グロールタイガー達の羽を伸ばす場所を提供するリリーは、なかなか隅に置けない存在だなと思います。

 

いかがでしたか?

日本語では歌われてない、グロールタイガーの一面をお分かりいただけたでしょうか?

観劇の際は、パブでのシーンも思い出してみてくださいね。

 

その他“Growltiger’s Last Stand(グロールタイガー – 海賊猫の最期)”の歌詞解説や、ミュージカル『キャッツ』についてはこちらの記事をご覧ください。


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