劇団四季ミュージカル『キャッツ(CATS)』より「ジェリクルソング(Prologue: Jellicle Songs for Jellicle Cats)」と「ガス – 劇場猫(Gus:The Theatre Cat)」の英語歌詞を見てみると、Whittington(ウィッティントン)という名前が登場するのにお気付きでしたか?
実はこれ、イギリスで知らない人はいない物語『ディック・ウィッティントンと猫』の主人公なんです!
ウィッティントンが『キャッツ』に登場する理由は、猫と深い関わりがある人物だから…。この物語を押さえておくだけで『キャッツ』の味わい方が少し変わります。
今回は彼について詳しく見ていきましょう。
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ウィッティントンに触れている歌詞
それぞれの歌詞には、次のようにウィッティントンが登場しています。
①
Were you Whittington‘s friend?
―ブロードウェイミュージカル “Cats” より “Prologue: Jellicle Songs for Jellicle Cats” (作詞:Trevor Nunn & Richard Stilgoe)
②
And I once understudied Dick Whittington‘s cat
―ブロードウェイミュージカル “Cats” より “Gus:The Theatre Cat” (作詞:T.S. Eliot)
①は「君はウィッティントンの友達だったか?」、②は「私はウィッティントンの猫の代役を務めたことがある」という意味ですが、ウィッティントンの友達であることや、彼の猫の代役を務めることは、そんなに重要なことなんでしょうか?
結論から先に言いましょう。
はい、とても重要なんです!
ディック・ウィッティントンとは、イギリスの昔話 “Dick Whittington and His Cat DICK WHITTINGTON & HIS CAT(『ディック・ウイッティントンとねこ』)” の主人公で、貧しかったウィッティントンが、猫と出会うことで人生が大きく変わるという有名な物語だそうです。
『ディック・ウイッティントンとねこ』のあらすじ
イギリスのとある村に住んでいたウィッティントンは、早くに両親を亡くし、一人貧しく生きることとなった。
村全体が貧しかったため、養ってもらうあてはなかったが、ある時ロンドン行きの馬車に乗せてもらえることとなり、ロンドンへ向かう。
ロンドンに着いてからも、苦労続きだったが、船で貿易をしている主人に料理番として働かせてもらえることとなる。主人は優しかったが、一緒に働くこととなった料理女の性格が悪く日々いじめられた。
寝る場所も屋根裏で、ネズミが出るのに悩まされたウィッティントンは、毎晩なかなか寝付けずにいた。ある時主人がわずかながらもお金をくれ、そのお金でネズミ退治の猫を買うことになる。
この猫は非常に賢く、よく働き、その日からネズミに悩まされることはなくなった。しかし、主人が貿易船に出す品を家族全員から徴収する際、猫しか所持していないウィッティントンはそれを品として出さなければいけなくなる。
唯一のよりどころをなくしたウィッティントンは、主人の家から抜け出してしまう。
途中、教会の鐘が鳴り、その音が自分を呼び戻すように聞こえたため戻ってみると、貿易船に乗った猫が大きな手柄を得たという知らせが入る。なんと、船上でネズミが大量発生したので猫が退治したところ、それを気に入った富豪が大金で猫を買ったというのだ。
その大金はウィッティントンのものとなったが、正直なウィッティントンは、一度主人にそのお金を渡した。しかし受け取らなかったたため、主人の家族全員と猫の世話をしてくれた船乗りにたっぷりとお礼をした。
その行為を気に入った主人は、娘とウィッティントンを結婚させ、ウィッティントンは一躍有名になり、最終的には市長にもなる。
…なるほど。
ウィッティントンの友達であることは光栄で、この役を演ずることは名誉ですね!自慢できること間違いなしです。
イギリスでは、ウィッティントンと言えば猫、猫と言えばウィッティントンというくらい浸透している関係性なのでしょう。
こんな有名な物語でもあるからでしょうか?
“The Whittington & Cat” というホテルがイギリスにあるのをみつけました!ホームページを見ると、レトロで素朴な雰囲気が良い感じです…。
『キャッツ』の曲を聴きながら泊まりたいものですね♪
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それでは皆さん、良い観劇ライフを…
以上、あきかん(@performingart2)でした!
こんにちは!
ミュージカル考察ブロガー、あきかん(@performingart2)です。