劇団四季ミュージカル『ノートルダムの鐘(The Hunchback of Notre Dame)』より「いつか(Someday)」の英語歌詞を見てみると、サビ前でエスメラルダの昔と今の気持ちが綴られています。
時が経っても変わらない彼女の揺るぎない強い意志とははどんなものなのでしょうか。
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エスメラルダの願い
「いつか(Someday)」の歌詞の中身を見てみましょう。こちらはサビ前のフレーズです。
I used to believe
In the days I was naive
That I’d live to see
A day of justice dawnAnd though I will die
Long before that morning comes
I’ll die while believing still
It will come
When I am gone―ミュージカル “The Hunchback of Notre Dame” より “Someday” (作詞:Stephen Schwartz)
私はこの曲を初めてじっくり聴いた時、サビに入るこの部分で泣きました。
エスメラルダは、自分の生き方にまっすぐな女性です。そしていつの日も、ジプシーという自分の身分を卑下することなく、平等・公平のために強く生きています。
そしていつの日(someday)か、それは実現されるとずっと信じてきたところに、フロローから魔女扱いをされ、火あぶりの刑に処されることになります。
1ブロック目で歌われているのは、エスメラルダの若かりし頃の自分について。「純粋だったころ、私はよく公平の日の夜明けに立ち会えると信じていた」という内容が描かれています。
このフレーズのポイントは “used to” 。死刑になる前自分の過去を思い出し、そういった未来がくることを信じていたことを振り返ります。
“And though I will die/Long before that morning comes” は「その夜明け(朝)が来る随分前に私が死んだとしても」という内容です。ずっと立ち会えると信じてきた「公平の日の夜明け」に、結局立ち会わずしてこれから死刑によって命を絶たれようとしている情景が、ぎゅっとこのフレーズに納められています。
続く “I’ll die while believing still/It will come/When I am gone” は、「自分が死ぬと分かっていても未だに信じつづけている、その日は来る、私がこの世を去った後に」というような内容になっています。自分の最期を目前にしながらも、それでも希望を持ちながら、自分の生きられない未来に、この世を去った後の世界に、自分の想いを託します。
シンプルな単語ばかりで構成される歌詞ですが、ジプシーであるエスメラルダの強い願いが込められており、観客の心を捉えてずにはいられない内容ですね。
dawnという単語に注目
この詩で素晴らしいのは、somedayを「dawn/夜明け」や「morning/朝」という言葉で表現していることです。夜明け、というのはいつでも新しい何かの始まりですが、ただ単純に「美しく、輝かしいもの」を表している訳ではありません。
「夜明け」というのはその情景から、「夜(深い闇・孤独・不安など)から、太陽(美しい・輝かしい・新しいものなど)が生まれ出る」ことを暗に意味しています。
この詩の場合、夜は今までの「不公平な世界」、太陽は「someday=公平が訪れる “その日” 」です。そういった大きな変化をもたらす時に使われるのが、このdawn/夜明けという単語です。
ちなみに、『CATS』の “Memory(メモリー)” でもdawnを使った表現が出てきます。記事を書いたらこのページでも紹介しますので、待っていて下さいね。
「いつか」に見える、フィーバスの強い意志
さて、この記事をお読み頂いた方は、『ノートルダムの鐘』における「いつか(Someday)」の重要性をお分かり頂けたと思います。
そこで是非、もう一度「いつか(Someday)」の英語歌詞を見てみて下さい。そこではエスメラルダが “someday” と歌う一方で、フィーバスは “one day” と歌っているのです。
このたった1つの単語の使い方の違いが「いつか(Someday)」ではとても大きな意味を持っています。
残るものは “one day” と…去る者は” someday” と歌うこの意味の違いは何なのか?是非次の記事を順にご覧くださいね。
「いつか(Someday)」の、他の記事はこちらから。
それでは皆さん、良い観劇ライフを…
以上、あきかん(@performingart2)でした!
こんにちは!
ミュージカル考察ブロガー、あきかん(@performingart2)です。