表現が逆!「悪人は罰を受ける」の英語版はどういう意味?

あきかん

こんにちは!

ミュージカル考察ブロガー、あきかん(@performingart2)です。

劇団四季ミュージカル『ノートルダムの鐘(The Hunchback of Notre Dame)』より「ノートルダムの鐘(The Bells of Notre Dame)」の日本語歌詞を見てみると、「悪人は罰を受ける」という表現が登場します。

場面を強調づける表現になっていますが、実はこれ、英語だとより強い表現になっています。

日本語と英語を比較しながらみていきましょう。

『ノートルダムの鐘』の解説・考察本を執筆しました!

中世ヨーロッパにおける「身体障がい者」の扱いはどのようなものだったのか?「ジプシー」はなぜ迫害され、「魔女狩り」はどのようにして起こったのか?

中世ヨーロッパのリアルに焦点を当てながら、ミュージカル『ノートルダムの鐘』の奥深さを紐解く解説・考察本。

Kindle(電子書籍)ペーパーバック(紙書籍)、いずれも Amazon で販売中。

Kindle Unlimitedを初めてご利用の方は、体験期間中に0円で読書可能

 

「悪人は罰を受ける」が登場する曲

 

「悪人は罰を受ける」という表現は『ノートルダムの鐘(The Hunchback of Notre Dame)』を通して3曲で登場しますが、英語では “The wicked shall not go unpunished” というフレーズになっています。

まずはそれぞれのシーン、どのような場面で登場するかみていきましょう。

 

ノートルダムの鐘(The Bells of Notre Dame)

 

ここで言う悪人とはジェアンのことを指していると言えるでしょう。

カジモドの生みの母親は、フロローが毛嫌いするジプシーなのでフロリカのことも指しているかもしれません。

そして2人ともフロローから見た悪人です。

 

日本語

 

日本語の歌詞を見てみましょう。(引用の色付きは、あきかんによる。)

 

ジェアン:
やめてくれ!何て信心深いんだ、俺はもう手遅れだ。でも今更だけど本当に慈悲の心があるなら救って欲しいんだ。

フロロー:
赤ん坊?お前の?…怪物だ!これは神の裁きだ!悪人は罰を受ける

―劇団四季ミュージカル 『ノートルダムの鐘』 より 「ノートルダムの鐘」(訳詞:高橋知伽江)

 

英語

 

英語の歌詞はこうなっています。(引用の色付きは、あきかんによる。)

 

JEHAN:
Enough, Claude! Enough of your pieties! It’s too late for me anyway. But if you have truly discovered charity at this late date, there is someone you can help.

FROLLO:
A baby? Yours? A…a monster! It’s God’s punishment on you! The wicked shall not go unpunished!

―ミュージカル “The Hunchback of Notre Dame” より “The Bells of Notre Dame” (作詞:Stephen Schwartz)

 

エスメラルダ(Esmeralda)

 

ここでいう悪人とはフロローを惑わせたエスメラルダのことですね。

こちらも、フロローから見た悪人です。

 

日本語

 

日本語の歌詞を見てみましょう。(引用の色付きは、あきかんによる。)

 

全員:
探し出せエスメラルダ
逃すな
捕らえるのだ
松明を燃やそう
あの女
見つけるまで

フロロー:
悪人は罰を受ける

邪悪な心は災い
悪人は罰を受ける

―劇団四季ミュージカル 『ノートルダムの鐘』 より 「エスメラルダ」(訳詞:高橋知伽江)

 

英語

 

英語の歌詞はこうなっています。(引用の色付きは、あきかんによる。)

 

All:
Hunt down the gypsy Esmeralda
Don’t let her flee
And vanish in the night
These are the flames of Esmeralda
While she is free
Our torches must burn bright

(Frollo: Have no fear, my boy. We will find her and capture her.)

Frollo:
The Wicked shall not go unpunished
The heart of the wicked is of little worth
The Wicked shall not go unpunished

―ミュージカル “The Hunchback of Notre Dame” より “Esmeralda” (作詞:Stephen Schwartz)

 

 

フィナーレ(Finale)

 

ここでいう悪人とはフロローのことを指しています。

 

日本語

 

日本語の歌詞を見てみましょう。(引用の色付きは、あきかんによる。)

 

フロロー:
あぁ、お前と同じように。だがあいつは邪悪だった、弱かった。

カジモド:
違う、弱いのはお前だ。邪悪なのもお前だ。悪人は罰を受けるんだ

アンサンブル:
悪人は罰を受ける

邪悪な心は災い
悪人は罰を受ける

―劇団四季ミュージカル 『ノートルダムの鐘』 より 「フィナーレ」(訳詞:高橋知伽江)

 

英語

 

英語の歌詞はこうなっています。(引用の色付きは、あきかんによる。)

 

Frollo:
Yes, as I tried to teach you! But he was wicked and weak!

Quasimodo:
He? You are the weak one. You’re the wicked one! And the wicked shall not go unpunished!

Congregation:
The Wicked shall not go unpunished
The heart of the wicked is of little worth
The Wicked shall not go unpunished

―ミュージカル “The Hunchback of Notre Dame” より “Finale” (作詞:Stephen Schwartz)

 

フロローが使ってきたフレーズを、最後の曲ではカジモドが使い、戒めている点が印象的です。

 

“The Wicked shall not go unpunished” の意味

 

では “The wicked shall not go unpunished” とはどのような意味なのでしょうか。

日本語では「悪人は罰を受ける」というストレートな表現になっていますが、英語はそうではないんです。

フレーズを分解して見てみましょう。

 

  • wicked … 「邪悪な」という意味。 “the” がついていることで特定の人間を指す。
  • unpunished … 「処罰されない」という意味。

 

つまり「邪悪な者は、処罰を受けないわけにはいかない」、「悪人は、罰を受けないわけにはいかない」と歌っているんですね。

日本語と比較すると、英語の方がより逃げ場のない表現になっているように感じませんか?

悪人は処罰を受けて当然だ罰を受けるに値する存在だ…というニュアンスが読みとれます。

この違い、是非知った上で鑑賞してくださいね。

 

「中世ヨーロッパにおける身体障がい者の扱い」や、カジモドと「キリスト教における罪の概念」との関係性は【ミュージカル『ノートルダムの鐘』が現実的な3つの理由:~ 中世の身体障がい者、ジプシー、そして魔女狩り ~】で詳しくまとめています。

中世ヨーロッパのリアルを知ることで、作品の見え方に深みが出ます。読んで視野を広げてみて下さいね。

 

あきかん

それでは皆さん、良い観劇ライフを…

以上、あきかん(@performingart2)でした!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください