ミュージカル『ヘアスプレー』で注目の髪型!その名前と歴史は?

東宝ミュージカル『ヘアスプレー(Hairspray)』の公演が2020年6月に決まりましたね。ミュージカル好きの方は、物語のあらすじをよくご存知かと思います。

しかし、何故「ヘアスプレー」というタイトルが付いているのか考えたことはありますか?

ミュージカルの舞台になっている時代と当時流行した髪型を知ると、その理由が明らかになりますよ。

 

『ヘアスプレー』の舞台は1960年代のアメリカ

 

この時代に流行ったのが髪を盛る「ブフォント・ヘア」です。

 

このファッションが背景にあったことから、「コーニー・コリンズ・ショー」のスポンサー企業がヘアスプレー会社になっていて、ミュージカルの題名になっています。

Music from the Musical・作品名:ヘアスプレー(Hairspray)

・曲名:The Nicest Kids In Town

・作詞:Scott Wittman and Marc Shaiman

アルバムを視聴/楽譜 ・アルバム(英語):Hairspray
・楽譜:

 

何故『ヘアスプレー』というタイトルなのか

60年代にアメリカで流行った髪型「ブフォント・ヘア」

 

何故このようなタイトルなのか。それは、作品のアイコンとも言える「髪型」から説明できます。

登場人物の女性はみな、とっても特徴的な髪型をしていますよね。日本で言う「盛(も)り」のファッションです。

ふんわり、大きく、個性的。

実はこれ『ヘアスプレー』の舞台になっている1960年代のアメリカで流行した「ブフォント・ヘア」という髪型で、この時代を象徴しているファッションだったんです。

もとはフランス貴族の髪型だそうですが、それがアメリカの一般市民の間で流行った…という歴史を持っているようですよ。

 

もともとの起源は、18世紀頃のフランスの貴族女性たちの髪型だそうで、それが時代と海を飛び越えてアメリカで大流行したのです。

アメリカで60年代に流行ったふんわりブフォントヘアー写真集10選(ワラウクルミ)

 

ブフォント・ヘアは遺伝的に髪の量が多くなかったマリー・アントワネットが、それをカバーするために考えられた髪型が元になっていると言われているようなので、フランス貴族の髪型だったことも納得ですね。

 

The bouffant was a mainstream hairstyle in the mid-to-late 18th century in Western Europe. It was thought to be created for Marie Antoinette, as she had relatively thin hair and wanted to create the illusion of having very full hair.

Bouffant(wikipedia)

 

ブフォント・ヘアの画像は次のサイトで見ることができます。

本当に、こんな人達が街中を歩いていたのか…と驚くほどの大きさですよ。

 

どういう手の入れ方をしたらこのような髪型になるのか想像もつきませんが、この髪型を維持するのにヘアスプレーが大量に使われていたのは間違いなさそうですね。

 

スポンサー企業がヘアスプレー会社

 

こんな髪型が流行れば、黙って見過ごすわけないのがヘアスプレー会社。

ミュージカルの中では、トレイシーが出演を夢見るテレビ番組「コーニー・コリンズ・ショー(Corny Collins Show)」のスポンサーがヘアスプレー会社になっています。

The Nicest Kids In Town” の冒頭のコーニーの台詞にも、宣伝文句が入っていることが分かります。

 

Hey there, Teenage Baltimore!
Don’t change that channel!
‘Cause it’s time for the Corny
Collins Show! Brought to you by
Ultra Clutch Hairspray!

―ブロードウェイミュージカル “Hairspray” より “The Nicest Kids In Town” (作詞:Scott Wittman and Marc Shaiman)

 

どんな宣伝文句かというとこうですね。

 

・やぁ、ボルチモア・ティーンエイジャー のみんな

 

・チャンネルを変えないで

 

・だって、これからコーニー・コリンズ・ショーの時間だよ

 

・この番組は「超強力ヘアスプレー(Ultra Clutch Hairspray)」がお送りします

 

「コーニー・コリンズ・ショー」は、 “Ultra Clutch Hairspray” というヘアスプレー商品を出している企業がスポンサーになっているということです。

ちなみに、黒人ダンスを紹介する「ブラック・デー」のスポンサーは、映画ではこのように紹介されていました。

 

Every kink will be gone in a blink
Brought to you by NARA WAY for stubborn hair

―映画『ヘアスプレー

 

宣伝文句はこうです。

 

・全ての縮れ毛が瞬く間になくなる

・この番組は「縮れ毛専用ヘアスプレー」がお送りします

 

アフリカ系人種の髪質を蔑視したものだと分かります。こういった黒人差別がところどころに登場するのも『ヘアスプレー』の見どころですね。

時代を象徴する「ブフォント・ヘア」と、それを下支えしていた「ヘアスプレー」。

『ヘアスプレー』は、そんな2つの意味が込められたタイトルだと言えるでしょう。

 

「コーニー・コリンズ・ショー」については、こちらの記事をご覧ください。

 

また、『ヘアスプレー』における黒人差別については、こちらの記事をご覧ください。

 

 

「ブフォント」とは?

 

ところで「ブフォント」とはどういう意味なのでしょうか?

フランス貴族のファッションであっただけに、語源はフランス語のようです。

 

(髪・衣服など)ふっくらした(語源/フランス語 “bouffante” 「ふわっとふくれた」の意

bouffant(weblio)

 

wikipediaに書かれていた、髪型の作り方を要約するとこうなります。

 

1. 髪の毛を逆立たせるか、けば立たせて頭上にまとめる(小さなメッシュのクッションを入れることもある)

 

2. けば立たせていない部分の髪を、前方からまとめた髪の上にかけ、軽くクシでとかす

 

3. 毛先は揃えたり、切ったり、カールさせたり、ハネさせたりすることで特徴を出す

 

4. 通常、ヘアピンを使わずに髪型を固める仕上げとしてヘアスプレーなどが使われる

 

ブフォント・ヘアはこんな風に作られていたんですね。これは時間がかかりそう…。

いかがでしたか?

ミュージカルの題名が『ヘアスプレー』と付いた理由、そして髪型の歴史についてお分かりいただけたでしょうか?

とても興味深い髪型ですが、観劇時はくれぐれも控えてくださいね(笑)。

 

曲のポイント

 

・1960年代に「ブフォントヘア」が流行。

 

・それを下支えしていたのがヘアスプレー会社

 

・「コーニー・コリンズ・ショー」のスポンサーがヘアスプレー会社

 

The Nicest Kids In Town” の、他の記事はこちらから。


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