アンジェリカの知性が光る英語歌詞②『独立宣言』とは(上)

あきかん

こんにちは!

ミュージカル考察ブロガー、あきかん(@performingart2)です。

ミュージカル『ハミルトン(Hamilton)』より “The Schuyler Sisters” の英語歌詞を見てみると、歌の中盤でアンジェリカとバーがラップバトルのようなことをしているパートがありますよね。

前半がバー、後半がアンジェリカなのですが、アンジェリカのパートは、彼女の知性がものずごく光る内容になっているんです!

実はアンジェリカと妹たちがが歌っていたのは『独立宣言』の名フレーズだって、気づきましたか?

まず、ラップバトル前半部分のバーとアンジェリカのカッコイイやりとりについてはこちらの記事をご覧ください。

また、今回ご紹介する歌詞直前にある、トマス・ペインの『コモン・センス』については、こちらの記事をご覧ください。


『スリル・ミー』の解説・考察本を執筆しました!

「レオポルドとローブ事件」はどのような事件だったのか?何故「終身刑+99年」という判決だったのか?そんな疑問を解消しながら、ミュージカル『スリル・ミー』の刺激に迫る解説・考察本。

実際の事件ととミュージカルを比較しながら「実話」、「ニーチェの哲学」、「裁判」の3つの視点から作品に切り込んだ1冊。

Kindle(電子書籍)ペーパーバック(紙書籍)、いずれも Amazon で販売中。

Kindle Unlimitedを初めてご利用の方は、体験期間中に0円で読書可能

絶対注目してほしい、その歌詞とは

今回取り上げるのはアンジェリカとスカイラー姉妹が歌う次のフレーズ。※韻を踏んでいるところは赤字にしてあります。

ANGELICA:
I’ve been reading Common Sense by Thomas Paine
So men say that I’m intense or I’m insane
You want a revolution? I want a revelation
So listen to my declaration:

ALL SISTERS:
“We hold these truths to be self-evident
That all men are created equal”

ANGELICA and (COMPANY):
And when I meet Thomas Jefferson (unh!)
I’mma compel him to include women in the sequel

WOMEN: Work!
―ブロードウェイミュージカル “Hamilton” より “The Schuyler Sisters” (作詞:Lin-Manuel Miranda)

この中から、2ブロック目に注目します。

今回、この “We hold these truths to be self-evident/That all men are created equal” に注目しようと思った理由…それは「どうして台詞部分なのにわざわざ “ ” が付いているんだろう?」と疑問に思ったからです。

小説の場合、日本語でも英語でも台詞部分には「 」や “ ” が付きますよね。でも台本や歌詞の場合は、役名の後にそのまま台詞が入ります。例えば直前のブロックを見てみると、アンジェリカの名前が入った後、 “ ” が付かずに歌詞が書かれていますよね。それはアンジェリカが言っていると表記上分かるからです。

それが普通なのに、何故あえて “ ” を付けているのか…

「きっと、とても重要な意味があるから “ ” が付いているはずだ…!」と確信し、調べてみました。少し長めの記事になりますが、是非お付き合いくださいね!

“all men are created equal”とは

分からない時は、いつもの通りやけっぱちでこの一文(”We hold these truths to be self-evident that all men are created equal”)をそのままネット検索します(笑)。

すると、出てきたのがwikipediaの “all men are created equal” に関するページです。説明を読んでみましょう。

The quotation “All men are created equal” has been called an “immortal declaration,” and “perhaps [the] single phrase” of the American Revolutionary period with the greatest “continuing importance.” Thomas Jefferson first used the phrase in the U.S. Declaration of Independence, which he penned in 1776 during the beginning of the American Revolution. It was thereafter quoted and incorporated into speeches by a wide array of substantial figures in American political and social life in the United States. The final form of the phrase was stylized by Benjamin Franklin.
All men are created equal(wikipedia)

“all men are created equal” (日本語訳:「全ての人間は平等に造られている」)は不朽の宣言と呼ばれ、アメリカが独立する時代に、持続した重みのあるフレーズだ…と書かれています。

また、トマス・ジェファーソンがアメリカ独立宣言で初めてこのフレーズ使い、それ以来数々のスピーチに引用されたり取り入れられたりしたフレーズだということにも触れられていますね。

…ということは、このフレーズは『独立宣言』の1つのフレーズだ…ということなんです!

※ちなみに、引用されたスピーチの紹介はこちらの記事をご覧ください。

『独立宣言』とは

では、『独立宣言』とは何でしょうか?要点を押さえながら見ていきましょう。

アメリカ独立宣言(アメリカどくりつせんげん、英: United States Declaration of Independence)は、イギリス(グレートブリテン王国)によって統治されていた13の植民地が、独立したことを宣言する文書である。1776年7月4日大陸会議によって採択された。このため、7月4日はアメリカ合衆国の独立記念日として毎年盛大に祝われる。
アメリカ独立宣言(wikipedia)

また、こんなことも書かれていました。

独立宣言は、基本的人権と革命権に関する前文、国王の暴政と本国(=イギリス)議会・本国人への苦情に関する28ヶ条の本文、そして独立を宣言する結語の3部から成る。
中でも、「全ての人間は平等に造られている」と唱え、不可侵・不可譲の自然権として「生命、自由、幸福の追求」の権利を掲げた前文は、アメリカ独立革命の理論的根拠を要約し、後の思想にも大きな影響を与えた。その理論は、名誉革命を理論的に正当化したジョン・ロックの自然法理論の流れを汲む。
アメリカ独立宣言(wikipedia)

『独立宣言』は、イギリスに対して「これはおかしい!」と感じた不満・苦情・反発を文書にしたものですね。そして「全ての人間は平等に造られている」の部分が、先に紹介した “all men are created equal” を指しています。

この文書こそが、「アメリカ独立革命の理論的根拠を要約」したものであり、「後の思想にも大きな影響を与えた」わけですね。

ちなみにジョン・ロックとは、世界史で呪文のように覚えさせられる「ロック、ルソー、モンテスキュー」の内の一人ですよ(笑)。

『独立宣言』を起草した人物、トマス・ジェファーソン

トマス・ジェファーソンについて詳しく知りたい方は、本やwikipediaなどを通して理解を深めて頂けたらと思いますが、この記事では『独立宣言』の起草に関する部分を中心に紹介していこうと思います。

大陸会議が1776年6月にリチャード・ヘンリー・リーの独立決議案を審議し始めたとき、ジェファーソンは決議案に伴う宣言を準備するための5人委員会委員に指名された。ジョン・アダムズ、ベンジャミン・フランクリンを含むこの委員会は、ジェファーソンを、筆が立つとの評判があったために初稿執筆者に選任した。この役割は形式通りの作業に思われ、当時はそれが大きな責任を伴うものだとは誰も考えなかった。ジェファーソンは他の委員に相談し、自分が提案したバージニア憲法の草案やジョージ・メイソンが起草したバージニア権利章典など他の資料から引用した文章で初稿を書き上げた。4ページからなるジェファーソンの独立宣言の草稿は、6月11日から書き始められた。
トマス・ジェファーソン(wikipedia)

ハミルトンもそうですが、ジェファーソンも筆の立つ人物だったのですね。また、ジョン・アダムズやベンジャミン・フランクリンも委員会のメンバーだったと分かります。『独立宣言』が採択されたのが1776年7月9日ですから、ジェファーソンが草稿を書き始めてからわずか1カ月ほどで採択まで至ったということですね。

委員会の5名とは次の通りですが、ジェファーソンが宣言案を起案(起草)し、フランクリンとアダムズがわずかに修正して委員会案とされたそうなので、核となる人物がジェファーソンだと言えるでしょう。

  1. トマス・ジェファーソン(Thomas Jefferson)
  2. ジョン・アダムズ(John Adams)
  3. ベンジャミン・フランクリン(Benjamin Franklin)
  4. ロジャー・シャーマン(Roger Sherman)
  5. ロバート・R・リビングストン(Robert R. Livingston)

また、『ハミルトン(Hamilton)』では描かれていませんが、ジョン・アダムズの次、第3代アメリカ大統領になったのがこのトマス・ジェファーソンですよ。

いかがでしたか?

『独立宣言』についての必要情報はご理解いただけたのではないかと思います。しかし、これだけではまだまだアンジェリカのパートを深く理解は出来ません!

次の記事では、このフレーズによりフォーカスを当てています。是非続きをお読みくださいね!

あきかん

それでは皆さん、良い観劇ライフを…

以上、あきかん(@performingart2)でした!

ブロードウェイで『ハミルトン(HAMILTON)』を観てみたいけど、英語が不安…。そんな方は日本語でチケット予約ができる【VELTRA(ベルトラ)】をご利用ください!

icon icon

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください